ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 愛知県 JA愛知みなみ~消費動向を見据えたカラフルな新品種を栽培するカリフラワー産地~
愛知みなみ農業協同組合(以下「JA愛知みなみ」という)は愛知県の南部、渥美半島に位置し、田原市全域を管内としている。東は豊橋市に接し、南は太平洋に臨み、西は伊良湖水道を経て伊勢志摩に対し、北は三河湾に面している(図1)。渥美半島は、中央部を東西に標高200メートル前後の赤石山系の延長部が貫き、これらを境に太平洋側と三河湾側に区分される。地質は第4紀古層に属し、洪積台地が多く、砂壌土、壌土、植壌土、植土が散在しており、耕地は一般にせき悪で、酸土が強く有機質に乏しい。
気候は、暖流の影響で冬期も暖かく、年平均気温はおよそ16度である。雪を見ることはまれで降霜日数も極めて少なく、降水量は年間平均1700ミリ前後である。冬期は北西の季節風が平均5メートルと強いが、寒気は比較的弱い。直接外洋に面しているため潮風による塩害を受けやすい。
管内では、昭和43年の豊川用水の通水により、恵まれた気候と農業技術の進歩に加え、農家の高い営農意欲により規模拡大が進んだ。用水型畑作や施設園芸など、近代的な農業が推進され、米、野菜、花き、果樹、畜産と多岐にわたり、特色ある農畜産物を供給している。
JA愛知みなみの田原洋菜部会は、洋菜類野菜を中心に生産する農家で結成され、カリフラワー、ブロッコリー、玉レタス、サニーレタス、グリーンリーフレタス、セルリー、レッドキャベツ、ちんげんさいを栽培している。部会の歴史は古く、昭和41年の結成から今年で55年目を迎えた。部会員数は236人で、そのうちカリフラワーの栽培者は20人である。耕作面積は12ヘクタール(昭和60年頃は栽培面積100ヘクタール)で、カリフラワーは主に旧田原町(市の東側)の地域で栽培されている。
同部会の令和2年度の販売高は18億1400万円となっており、そのうちカリフラワーは7000万円である。
栽培では16品種が導入され、播種は7月中旬から、定植は8月中旬から始まり、秋冬作の出荷は10月~翌年の4月上旬頃まで行われる(図2)。春出荷は11月下旬に播種、12月下旬頃に定植し、出荷期間は5月中旬から5月下旬である(写真1)。
花蕾(からい)の白色の度合いが出荷等級に影響を及ぼすため、花蕾に直射日光が当たって黄化しないよう、本圃(ほんぽ)の管理として、花蕾がピンポン玉大になったら葉を結束するか、内側の葉2枚程度を折り曲げて花蕾に被せることを推奨している。
消費動向も見据え平成19年頃よりロマネスコ、近年ではカリフラワーオレンジ、カリフラワーパープル、カリフローレなどの新品種を導入し、販売者の要望に対応している(表1、写真2)。
彩り豊かな新品種は食卓を華やかにしてくれることから、特にクリスマスシーズンの需要が高く、その時期には注文数が増える。
栽培しているカリフラワーは白色(輝月・雪月など)、オレンジ、パープルと多岐にわたるため、生産者からシーズン作付け計画を提出してもらい、計画的かつ安定的な出荷を励行している。
収穫の翌朝出荷を基本としているが、暖候期は朝収穫したものを当日の夕方出荷に切り替えるなど、品質保持のため集出荷場での荷受け時間を変えている。気温が高い時には、真空予冷、冷蔵庫での貯蔵、運送時における冷蔵対応なども行い、コールドチェーンによる鮮度保持に努めている。
出荷時の荷姿は段ボール出荷であり(写真3)、家庭選別で色、病害虫被害、花蕾の損傷などを入念に確認し、集出荷場では選任の検査員(JA職員)が無作為での抜き取り検査を行い、品質確保に努めている。
平成24年度には適期収穫、収穫作業の軽減、販売形態の変化に対応し、出荷規格を8キログラム段ボールから6キログラム段ボール(中心玉数8玉)へ変更した。