ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > 栃木県 JAはが野 ~産地基盤強化に向けたしゅんぎく作り~
(注)平成21年に真岡市と二宮町が合併し、現在の真岡市となった。
JAはが野管内では生産者の高齢化に伴い、重量野菜、重量果実の生産と労働時間の投下が難しくなってきている中で、比較的初期投資の少ない軽量施設作物としてしゅんぎくの生産振興を行ってきた。水稲の育苗ハウスを活用し、夏は夏秋なすを、秋から春にかけてはしゅんぎくを栽培するという組合せによって水稲農家にも園芸品目を勧めて産地基盤を固めている。また、夏秋なすとしゅんぎくとの組合せは、初期投資の少なさから新たに農業を始める人のファーストステップとしての役割も果たしている。
基本的な作型は、9月上~中旬に購入種子を連結ポットに播種し、10月中~下旬に定植した株の側枝を11月下旬から収穫する作型である。収穫は3月下旬から4月中旬の間に終了する。近年は種子をまき直しすることで収穫期間を延ばす作型も取り入れられており、これを繰り返すことで真夏を除く約10カ月間栽培可能な例も見られ、ほぼ周年作物として栽培されている(写真1、2、3、4、図2、表1)。
JAはが野では、しゅんぎくの栽培による産地基盤強化のために「反収・品質の向上」「安全・安心の確保」「新規栽培者の確保と支援」を掲げた春菊部会が結成されている。令和2年度の同部会の構成員は78人である。同部会では「反収・品質の向上」においては、指導会にて土壌診断に基づいた施肥設計を行い、播種・定植講習会、現地検討会(写真5)を行っている。これらを通じ、適切な肥培管理、ポイントを押さえた栽培管理を指導することで「反収・品質の向上」に繋げている。「安全・安心の確保」においては、農薬安全使用講習会、年2回以上の残留農薬検査、年3回の栽培日誌検証、GAPの実践を行うことで、部会員の農薬安全使用と生産工程管理に関する意識を高めている(写真6、7)。「新規栽培者の確保と支援」においては、JA広報誌などを活用し、管内全域に新規者を募るとともに、農業振興事務所や営農経済渉外と連携をとり個別訪問を推進している。また、部会新規加入から3年間を新規者と位置づけ、播種・定植・荷造りに関する新規者向けの講習会(写真8)を実施し、栽培に関する支援を行っている。