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産地紹介 野菜情報 2021年7月号

和歌山県 JAありだ ~期待の新品種!辛くないししとうがらし 「ししわかまる」の産地化~

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ありだ農業協同組合 金屋営農センター 副調査役 片田 守孝
ししとう

1 産地の概要

 ありだ農業協同組合(以下「JAありだ」という)金屋営農センターは、紀伊水道より、有田川中流域約20キロメートルの内陸部に位置する和歌山県有田郡有田川町を所管する。太平洋気候、瀬戸内気候を上手く生かし、温暖な気候と適度な降雨量により有田みかんを代表として、果樹類はもちろんのこと各種野菜も小規模ながら個性的な農産物が生産されている(図1)。

ず1

 中でも当営農センター管内では、ししとうがらし栽培が昭和の中頃より盛んになり、昭和50年代の最盛期には、旧金屋町管内では約300戸の栽培農家が生産に勤しんでいた。それに伴い、50年代初頭に有田中央蔬菜部会が発足し、栽培面積も10ヘクタール前後となり、関西一円の市場に出荷され「紀州ししとう」のブランドが確立された時期もあった。
 その後、少子化・人口減少の波と就農人口の減少がししとうがらし栽培農家にも影響を与え、栽培農家は現在では10分の1程度にまで減少した36戸である。生産者の高齢化は避けられず、50年代~60年代初頭では平均年齢40代から50代が主力であったのが、現在では70代から80代半ばと高年齢化している。そのため、労力的に栽培面積の縮小も余儀なくされ、1戸当たり平均約3アールという規模に縮小されている。
 そのような中、令和2年に和歌山県農業試験場暖地園芸センターが京都教育大学との共同研究で辛味果実が発生しない新品種の「ししわかまる」を開発し、当営農センター管内でも栽培が行われている。

2 栽培概要

 ししとうがらしの栽培は、半促成栽培は1月に播種(はしゅ)、3月に定植し、収穫期間は5月中旬から11月下旬まで行われる。露地栽培は2月に播種、4月に定植し、収穫期間は7月初旬から11月初旬まで行われる。促成栽培は、6月から7月に播種、9月から10月に定植し、収穫期間は12月初旬から翌5月下旬まで行われる(図2)。  

図2

 可能な限り低農薬栽培を目指すため、特に土作りに重点を置いている。樹勢が強くないと病害虫の被害の原因となるため、腐葉土や有機土壌改良剤などの投入で微生物などの活動が活発な腐植酸系のしっかりとした土づくりを目指している。また、植物に必須の光合成を盛んにするため、整枝・徒長枝の誘引を入念に行い、採光と風通しを良好にしている。さらに、露地栽培は台風、冷害・凍害などの自然災害から防御するための防風設備や被覆資材などの準備も怠りなく行っている。水管理については、マルチドリップ、散水チューブなどで徹底した管理を行っている。
 主な栽培品種は、「葵ししとう」と「ししわかまる」の二品種で、約6割が葵ししとう、残りの4割がししわかまるである。

3 新品種「ししわかまる」の特徴

 新品種のししわかまるの最大の特徴は辛み成分が存在しないというところにある。ピーマンに和歌山県在来品種の紀州ししとうを交配し、辛み成分であるカプサイシンをなくした品種を数年以上にわたり開発し、従来のししとうがらしにある辛みの元であるカプサイシンを遺伝的になくすことに成功した。子供が食べて敬遠する俗にいう「当たり」という辛みが、まったく出ない品種を提供したい、その一念から新品種の開発が始まった。さらに、姿かたちは従来のししとうがらしで、緑が濃く艶があり、食感もししとうがらしらしいライトな歯ごたえを持てるよう開発に努力されている。
 令和元年度に試作品を関西主要卸売市場3社に試験販売をしてもらい、2年度は本格的に、前述の3社から卸販売委託が開始された。3年度の出荷パック数は約2万8000パックを予定しており、栽培戸数は24戸である(写真1)。  

写真1

 今後の新品種ししわかまるの販売出荷目標は10万パック、販売売上2000万円を目指している。

4 出荷

 前日収穫したものを翌日出荷し、貯蔵は行わない。出荷規格は、50グラムミニパックおよびS200グラム袋の二つである(写真2、3)。出荷時期は、半促成栽培は5月中旬から11月下旬、露地栽培は7月初旬から11月初旬、促成栽培は12月初旬から5月下旬と周年で出荷している。

写真2

写真3

 主な販売市場は、大阪中央卸売市場、大阪北部市場、大阪東部市場、岸和田市中央市場、奈良中央市場である。
 人材不足はどこの地域でも同じであるが、当営農センター管内では、可能な範囲で家庭内での労働力を確保している。

5 販売戦略

 厳選な出荷を心掛け、卸売市場との連携を密にしている。荷姿はパック詰めに細心の注意を払い、傷果、病害虫被害果は家庭選別の段階から入念にチェックし、さらに集荷場で当番制の検査員が最終のチェックをしており、品質を確保している(写真4)。

写真4


◆一言アピール◆
 新品種「ししわかまる」は、辛み成分がないので食材としての裾野がかなり広がります。生食にも適しているため、サラダはもちろんのこと、麺類の薬味、とりわけ冷やし中華などにはうってつけです。焼き物にも合い、特に「ピザ」などにはインスタ映えするほどの彩りです。
 また、ピーマン嫌いのお子さんにも、ししとうなら食べるというので、辛みがない「ししわかまる」は緑黄野菜を摂取するのに最適です。育ち盛りに必要なビタミンCが豊富で、自然の食材から摂取が出来ます。
 緑が濃いのが特徴で、辛みのない分、舌に優しい凸凹が自然の野菜らしさを感じさせ業務用にもぴったりです。
 ぜひ、新品種「ししわかまる」を一度ご賞味ください。

ししわかまる

◆お問い合わせ先◆
担当部署:ありだ農業協同組合 金屋営農センター
住  所:〒643-0143 和歌山県有田郡有田川町中野31
電話番号:0737-32-4751  FAX:0737-32-3423
担  当:片田 守孝



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