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産地紹介 野菜情報 2021年4月号

大分県 JAおおいた中西部事業部 ~大規模経営体が支えるにら産地~

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大分県中部振興局 生産流通部 野菜班 主幹 今村 香織
にら

1 産地の概要

 大分県農業協同組合(以下「JAおおいた」という)は、県内17JAが広域合併して運営しており、中西部事業部は大分市、由布市、日田市を区域としている。
 大分県のにらは大分市、由布市、臼杵市、佐伯市、日出町などで栽培されているが、その約8割が中西部事業部管内の大分市で生産されている(図1)。

おおいた

 大分市は大分県の県庁所在地で、県のほぼ中央に位置し、気候学的には瀬戸内気候区に属し、年平均気温16度、年間降水量約1600ミリメートルと温暖で比較的降水量も多く、豊かな自然環境に恵まれた地域である。特に、市の南北を貫流する一級河川の大分川・大野川水系下流域の平野部には、土壌条件の優れた農地が広がっている。
 こうした恵まれた条件を生かし、昭和43年、大分市滝尾地区で露地と雨よけのにら栽培が開始された。50年には大幅な減反により水田転作を模索していた同市川添地区でも栽培が広がった。その後、旧野津原町(現大分市)、旧庄内町(現由布市)にも産地が拡大した。
 大分市のにらは都市部の豊富な雇用労力を生かし、周年出荷による雇用型農業を確立し、1戸当たりの栽培面積は110アールと企業的な大規模経営体が多いのが特徴である(図2)。さらに販売金額と販売数量は近年右肩上がりで推移している(図3)。

図2

図3

2 産地栽培カレンダー

 作型は主に夏から秋にかけて収穫する「夏にら」、冬から春にかけて収穫する「冬にら」に大別され、夏にらは12月下旬に播種(はしゅ)、3月~4月に定植、7月~11月に収穫、冬にらは4月上旬に播種、7月~8月に定植、11月~翌7月まで収穫しており、これらを組み合わせて周年出荷を行っている(図4)。

図4

 また、品質の良いにらを出荷するため、全圃場(ほじょう)で毎年定植株の植替えを行っている。

3 生産・栽培上の特色

 栽培品種は分けつが多く、伸長性の良い「タフボーイ」を主体に、「スーパーグリーンベルト」「ハイパーグリーンベルト」などが導入されている(図5)。

 ず5

 にらは地上部を刈り取り収穫した後、一定の日数を経過すれば再萌芽し、夏にらでは4~5回、冬にらでは6~7回にわたって収穫が継続できる。そのため、収穫を始めるまでに地下部に養分をしっかりと蓄えておくことが重要で、夏にらでは約90日、冬にらでは約120日の株養成期間を確保するとともに、定植前には有機質資材の投入と深耕が行われている。
 定植作業については、生産者と機械メーカー、県試験場と共同でにら移植機の開発・導入に取り組み、省力化を図っている(写真1)。

写真1

 栽培については、夏は単棟ハウスを利用し、遮光被覆資材を活用しながら品質の低下を防ぎ、冬は連棟ハウスで内張(2重被覆)を活用し保温効果を高めている(写真2)。

写真2

4 出荷の工夫

 収穫したにらの外葉を取り除き、葉先の品質を確認し、1束100グラムに結束する出荷調製作業がにらの労働時間の約7割を占めている(写真3)。大分市のにらでは雇用体制を整備し、圃場作業と出荷調製作業の分業化を進め、出荷にはパート従業員や外国人実習生などを活用し、規模拡大を図っている。さらに、大規模経営体では近年、にらの外葉を取り除く機械の導入によって出荷調製作業の省力化と効率化を進めている(写真4)。

写真3

写真4

 また、にらは傷みやすく、夏場のにらの品質低下が長年の課題であったが、県試験場が鮮度保持密封包装技術(ベジブレスパック)を開発、平成25年に県内で一斉導入したところ、にらの黄化や腐敗に対するクレームが減少し、市場における評価は格段に上がっている(写真5)。

写真5

5 販売戦略

 以前は県内各産地がそれぞれの銘柄で市場出荷していたが、有利販売を推進するため、平成25年から銘柄を「大分にら」とし、県域一元出荷体制を確立し、福岡、広島、大阪、京都の市場などに出荷している。
 また、市場出荷だけでなく、外食や加工食品向け需要の拡大に対応し、業務向け取引などにも積極的に取り組んでいる(写真6)。

写真6

 さらに、若手生産者自らがJA、大分市などと連携し、メディアやイベントなどを通じて大分市発祥のメニューである「にら豚」の消費拡大や認知度向上に取り組んでいる。その成果として、コンビニエンスストアでの「にら豚丼」の販売や地元企業によるにら豚のタレ製造などが行われている(写真7)。

写真7
 

◆一言アピール◆

 にらは香り成分のアリシンを含んでおり、アリシンには疲労回復効果があるといわれており、ビタミンB1の吸収を高めます。ビタミンB1が豊富に含まれている豚肉とにらを組み合わせた「にら豚」を是非ご自宅でも作ってみて下さい!レシピはにら豚PR大作戦HPでもご紹介しています!
 緑鮮やかで香り豊かなスタミナ野菜「大分にら」を是非ご賞味下さい。
レシピHP:http://nira.oitacity.info/sp/

◆お問い合わせ先◆

 担当部署:JAおおいた中西部事業部 園芸1課
 住  所:大分市花園3丁目2番10号
 電話番号:097-546-1115   FAX番号:097-545-1144
 ホームページ:https://jaoita.or.jp/