大分県農業協同組合(以下「JAおおいた」という)は、県内17JAが広域合併して運営しており、中西部事業部は大分市、由布市、日田市を区域としている。
大分県のにらは大分市、由布市、臼杵市、佐伯市、日出町などで栽培されているが、その約8割が中西部事業部管内の大分市で生産されている(図1)。
大分市は大分県の県庁所在地で、県のほぼ中央に位置し、気候学的には瀬戸内気候区に属し、年平均気温16度、年間降水量約1600ミリメートルと温暖で比較的降水量も多く、豊かな自然環境に恵まれた地域である。特に、市の南北を貫流する一級河川の大分川・大野川水系下流域の平野部には、土壌条件の優れた農地が広がっている。
こうした恵まれた条件を生かし、昭和43年、大分市滝尾地区で露地と雨よけのにら栽培が開始された。50年には大幅な減反により水田転作を模索していた同市川添地区でも栽培が広がった。その後、旧野津原町(現大分市)、旧庄内町(現由布市)にも産地が拡大した。
大分市のにらは都市部の豊富な雇用労力を生かし、周年出荷による雇用型農業を確立し、1戸当たりの栽培面積は110アールと企業的な大規模経営体が多いのが特徴である(図2)。さらに販売金額と販売数量は近年右肩上がりで推移している(図3)。