[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

今月の野菜

産地紹介: 長崎県 JA島原雲仙~清涼感あふれる風味“しょうが”~

島原雲仙農業協同組合 島原地区営農センター
センター長 佐藤 明成


1 地域の概要

島原市は長崎県の南東部島原半島の東端に位置し、雲仙普賢岳のふもと、有明海に面した温暖な気候で水と緑に恵まれた地域である(図1)。

034b

島原市内の耕地面積は1830ヘクタールで総土地面積(8297ヘクタール)に対する耕地率は22.1%であり、全国の11.8%、長崎県全体の11.2%に比べ高い比率となっている。

総農家数1438戸のうち販売農家数は999戸となっており、販売農家率69.5%も全国の61.7%、長崎県全体の63.0%を上回る比率となっている(図2)。

034c

島原市の平成30年度の農業産出額(推計)は160億5000万円で、中でも野菜は79億1000万円で農業産出額の49.2%を占める(図3)。

035a

2 島原雲仙農業協同組合島原地区営農センターの取り組み

島原雲仙農業協同組合(以下「JA島原雲仙」という)島原地区営農センターでは旧島原市(平成18年:有明町と合併し現在の島原市となる)で生産される農産物を管轄し、生産部会部会(だいこんにんじんはくさいレタス果菜しょうが)と研究会(軟弱野菜いちご)の計225部会員で構成されており、年間を通じて主に施設・露地野菜を中心に年間約30種類の野菜の生産・販売を行っている。

特に、だいこん、にんじんについては、大型共同選果場を完備し、秋冬作~春作まで長期安定出荷を行っている。

JA島原雲仙島原地区営農センターでの販売高(図4)、品目別割合(図5)は以下の通りとなっている。

035b

035c

特徴的なのは、年間を通じ農作物の収穫を中心に労力支援を積極的に行っているところである。現在、JA島原雲仙農援隊16人を柱にパート作業員25人に、令和年より外国人作業員人も加わり、計46人の収穫作業員を農家へ派遣し収穫を行っている。

農家主体の収穫では、日ごとの収穫量が不安定なものとなり、同時に選果施設の能力を十分に発揮出来ないが、JA作業員による収穫を中心に農家個別の収穫を併用することで、安定的な収穫量が実現し、同時に選果施設の日選果能力をフルに発揮し、長期間安定的に青果物の出荷を行うことが可能となる。

しょうがについても、主に収穫作業から選果選別作業まで一貫してJAの作業員で行っており、年間の収穫支援スケジュールの中で、労働力の確保としょうが産地の維持拡大に繋がっている(図)。

036a

3 しょうがの栽培

旧島原市のしょうが栽培については、平成16年当時21ヘクタール農林水産省統計部公表であったが、当時、土壌消毒に用いられていた臭化メチルがオゾン層破壊物質として指定され、17年全廃となったことから、しょうがの主要病害である根茎腐敗病の被害の懸念と、併せて輸入しょうがの増加に伴う価格の低迷により栽培面積は徐々に減少(栽培品目転換:ほうれんそう、小玉すいかなど)し、22年には野菜価格安定事業の指定産地も解除となった。

旧島原市の農地については、畑地かんがいは整備されていたものの不整形な農地が分散していたことと、従来のかんがい施設の老朽化に伴い、14年から開始された畑地総合整備事業(畑地総合整備事業は令和年度(現計画)まで継続して実施予定)が25年に一部完了(写真)したことから、新規じょう(写真)でのしょうが栽培が可能となったこと、また、完全ではないが、土壌消毒技術も代替え薬剤での処理方法が確立され、国産しょうがの需要の高まりから価格も比較的安定してきたため、現在、栽培面積は回復基調にある。

037a

037b

品種は長崎大生姜を使用しており、作型は、ハウス無加温の場合3月~4月に定植し、8月~9月に収穫する。露地の場合は、4月~5月に定植を行い、10月下旬11月まで収穫作業がある。規格は、表1の通りである。

037c

4 出荷の工夫

担当JA職員が生産者より提出された管理台帳を基に、圃場検見を実施し、収穫計画を立て、JA収穫作業員の派遣手配により生産者と共に収穫(写真)を行う。

038a

5 販売戦略

月~月に収穫されるハウス新しょうがについては、JA選果作業員が洗浄・選別・箱詰(写真)を行い新しょうがとして主に中国・九州市場へ出荷される。

038b

露地しょうがについては、土付のまま取扱業者へ販売し、貯蔵され囲いしょうがとして用途に応じて販売される。

囲いしょうがとは、収穫した新しょうがを一定時期貯蔵した後、出荷するしょうがの名称であり、島原地区営農センターとしても長崎県島原産しょうがの長期出荷による知名度アップのため、農家貯蔵のしょうがを選果・選別・箱詰し出荷を行っている(月~月)。

また、漬物業者との契約により、一部漬物用の受注栽培を行っている。生鮮と同じ品種を用いて、漬物に合うように通常の栽培より土寄せ回数を増やし深植え栽培を行い、根茎部を長くタケノコの様に仕上げ、若いうちに収穫している(写真5)。

039a

一言アピール

長崎県島原市の“しょうが”は、豊かな水と自然の中で栽培されています。清涼感あふれる風味は、嗅覚を刺激し食欲増進効果があり、また、新陳代謝が促進され体を温める効果があります。生薬として多くの漢方薬に用いられており、効能としては、胃粘膜保護、胃液の分泌促進による健胃、発汗作用促進、風邪、吐き気止めなどが挙げられます。

辛味成分(ジンゲロールやショウガオール)は生のしょうがに多く含まれ、強い殺菌作用により口直しや、食欲増進効果に加えて食中毒防止が期待できます。また、抗炎症作用、消化促進作用などによって疲労回復や病気に対する治癒力を手助けする働きがあるとされています。

健康パワーを秘めた長崎県島原産“しょうが”をぜひご賞味ください。

お問い合わせ先

担当部署: 島原雲仙農業協同組合 島原地区営農センター
 住  所: 〒8550012 長崎県島原市大手原町甲2130
 TEL:0957643121
 FAX:0957643146
 ホームページ:https://www.ja-shimabaraunzen.or.jp

039b


今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ