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産地紹介:富山県 JA高岡~天然海藻アルギット肥料を使用したさといも栽培

高岡市農業協同組合 
営農部 農業振興課 課長代理 高嶋 康弘


1 産地の概要

高岡市農業協同組合(以下「JA高岡」という)は、富山県北西部に位置する高岡市を管轄としており、市内の西側は山間地域で西山丘陵や二上山が連なり、北東側は富山湾、東側は庄川・小矢部川によって形成された良質な地下水を有する扇状地が広がるなど、深緑と清らかな水に包まれたとても自然豊かな地域である(図1)。

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気候は日本海側気候で、風上に能登半島があるため風が弱まり雪雲が停滞しやすく、豪雪地帯に指定されている。交通ネットワークの面では、南北のアクセスには東海北陸自動車道と能越自動車道が整備されており、東西の新しい交通機関として平成27年には北陸新幹線が開業した。また、高岡市と富山市、射水市にわたる伏木富山港は、本州のほぼ中央の日本海側に位置し、ロシア、中国、韓国など環日本海諸国とのアクセスが容易であるため、総合的拠点港として選定され、飛越能地域の玄関口、環日本海沿岸地域における交流拠点となっている。

水稲がメインであるJA高岡の農畜産物取扱実績(令和元年度)は、31億4000万円で、そのうち米が23億600万円、野菜が5億2500万円(うち、さといも3000万円)、畜産が1億3000万円となっている。今回紹介するさといもは、富山県で古くから栽培され、県の伝統野菜の一つとして知られており、JA高岡では特色ある栽培を行っている。

2 さといも部会について

JA高岡のさといも部会の始まりは平成19年度、米の販売額の下落や生産調整が進む中、新たな転作作物の収入源として「農閑期中」に作業が終わり、農業収入が見込める園芸作物としてさといもに注目したことである。栽培面積については、当初は3ヘクタールだったが、令和2年度は約9.5ヘクタールとなっており、個々により面積は違うが、栽培面積が多い生産者で2ヘクタール、少ない面積では、30アール程度となっている。会員についても年々、変動はあるが、令和2年度は13人の生産者で栽培を行っている。

3 栽培の特色について

さといもの定植時期は4月~5月で、普通堀り栽培の場合は、8月~9月頃にかん水を行う。さといもは、高温多湿の気候を好み、粘土質の土壌が適しており、乾燥には弱いため、水管理が重要となる。普通掘り栽培の場合は10月~11月が収穫時期となる(図2、写真1)。その後、風乾を行い選別・調整をしながら順次出荷市場へ出荷しており、出荷時期は、11月下旬~翌3月上旬となる。

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品種は、芋質は粘りがあり、子・孫芋の着生が良く、芋の肥大も良好で、収穫適期が比較的長い「大和」である。

部会の中で当初より、新たにさといもに取り組み県内外に販売するには特徴のある栽培が必要であるとの意見があり、米栽培でアルギット米(注)を栽培していた部会員から、里芋にも応用してみてはとの提案から、アルギット肥料(注)を使い栽培を行っている(写真2)。

注:アルギット肥料とは、北欧ノルウェーで、太陽の光と海の栄養分をしっかり吸って育った、100%天然海藻肥料のことで、この肥料を使用し、化学合成農薬や化学肥料の使用を一般栽培の50%以上減らして栽培した特別栽培米のことをアルギット米という。

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県内の他JAでもアルギット米やアルギットニラなどを生産しているが、このアルギット肥料は、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、多糖類などが豊富に含まれており、肥料に使うことで農産物の品質向上に役立つといわれている。この資材を使って栽培したさといもの特徴としては、一般のさといもより日持ちがよく、しっかりとした歯ごたえと粘りがあり、味わっていくにつれて広がる甘みが挙げられる。県内外の市場や仲卸の間でもこのような評価をしていただいており、直接注文する消費者が毎年いるほどである。

栽培方法については、生産者および関係機関と協議し栽培指針の作成をしじょう巡回を行い、圃場管理の方法について部会員同士で目合わせを行うことで、高品質で安定したさといも栽培を行っている。

また、必要となる機械については、共同利用できるものはなるべく共同で取得し、コスト削減を図り、面積の拡大や新たな生産者の確保に取り組んでいる。

4 販売戦略について

販売方法についても「高岡産さといも」をPRするために、独自のPRシールを作成し、出荷時には各市場へ送っている。出荷箱には、「海藻アルギット」を表記したり、保存方法についての説明書も入れている(写真3)。

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部会では、12月~翌3月までを出荷期間としており、さといもの消費量が増加する時期に合わせて出荷を行っている。毎年、出荷前の11月には、市場関係者を招いて目揃会を開催する事で品質の統一化を図っている(写真4)。

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規格についても毎年、市場関係と協議をしながら決めている。その他にも、出荷途中に抜き打ち検査を行い、規格が違うものが混入していないか、カビが発生していないか確認を数回行い、安全・安心な生産・出荷に取り組んでいる。そうした活動により、より品質の良い「アルギット里芋」を栽培すること目指している。

また、JA高岡などのイベントで里芋田楽を販売し、消費者へPRを行ったり、アルギット里芋で作った焼酎「高岡そだち」も販売しており、加工品にも今後、力を入れて行く方針である(写真5)。

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一言アピール

「アルギット」で栽培したさといもは、日持ちがよく、粘りがありしっかりとした歯ごたえです。また、味わっていくにつれて広がる甘みが特徴です。

さといもの主成分はでんぷん質ですが、水分が多いので芋類の中では低カロリーで、カリウム、ビタミンB1、食物繊維などが含まれています。さといもは、健康維持を考える方にお勧めの食材です。

《保存方法》 さといもは寒い季節に食べますが、もともとは暖かい地方の植物です。5度以下にならない場所に保存してください。また、乾燥にも弱く、乾腐病(イモが乾いた状態で腐敗し、内部が赤褐色になってスポンジ状に腐る)にもなりますので、新聞紙に包むなどして乾燥を防ぎ、おいしいさといもを味わってください。

お問い合わせ先

担当部署: 高岡市農業協同組合 営農部 農業振興課
 住  所:〒933-0824 富山県高岡市西藤平蔵226-1
 TEL:0766-63-7331 FAX:0766-63-3872
 ホームページ:http://www.ja-takaoka.or.jp/


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