産地紹介:香川県 JA香川県
~消費者に選ばれるブロッコリー産地を目指すために~
香川県農業協同組合 営農部園芸課 神尾 信宏
香川県は、四国の北東部に位置し、昭和63年に開通した瀬戸大橋により本州からのアクセスが良くなり、四国の玄関口として産業が発展していった。冬も温暖で年間降水量の少ない瀬戸内海気候を生かして秋冬作物が盛んに栽培されている。
香川県の令和元年田畑別耕地面積は2万9900ヘクタール(全国第40位)であり、1戸当たりの耕地面積は78アールと全国平均の半分以下の規模である。このような条件の中ではあるが、水田の裏作として秋冬作物栽培は半世紀も栄えており、代表的な秋冬品目はレタスと小麦である。
ブロッコリーは、高度成長期後半の昭和40年代後半に多様化した野菜品目の需要により初めて県内に導入された。多度津町で栽培が始まり、その後、県全域に作付け拡大したものの、中国産や米国産の安価な輸入ブロッコリーの増加により一時は生産量が低下した。その一方で、三豊地区では生産技術の革新や氷詰め出荷などの出荷形態を工夫することで商品価値を高めていった。この取り組みが県内に広がり、ブロッコリーが秋冬品目の代表となった。機械化とJAによる支援、生産部会の協力により、現在の作付面積は全国でも5本の指に入る大産地となった。平成12年に香川県内はJA広域合併により香川県農業協同組合(以下「JA香川県」という)が設立され、ブロッコリーは県の主力品目として位置付けられるとともに、現在も作付面積が拡大している(図1)。
県内におけるブロッコリーの栽培面積を直近の10カ年で比べると平成20年産は565ヘクタールであったのに対し、30年産は1170ヘクタールと2倍以上に増加している(図2)。背景には米価格の下落と経営所得安定対策(旧農業者戸別所得補償制度)の米麦助成金の廃止、団塊の世代の農業参入などがあった。加えてJAによる支援体制の整備や品質の高位平準化による取引価格の上昇、末端消費の拡大もあって作付面積が伸張していった。
令和元年度のJA香川県における農産物取扱高は野菜部門で185億9000万円、そのうちブロッコリー取扱高は、54億3900万円であり、県内1位の品目である(図3)。
香川県における代表的な作物として、10月下旬には県内一円でブロッコリー畑が見られるようになる(写真1)。
ブロッコリーの生育適温は15~20度と香川県の秋~初冬に気候が適合しているため、作りやすい品目である。栽培方法は生産者とJA香川県が一体となって試行を繰り返し、収穫時期は10月~翌6月中旬にかけて9カ月間出荷している。早生・中生・晩生・促成と品種を使い分けながら、長期間収穫できるように生産者部会、JA香川県が品種試験に取り組んだ結果である(図4)。
また、JA香川県では生産者に対して、三つの支援作業を行っている。まず「育苗支援」として、JA香川県の広域育苗センターにて生産者から受注を受け、全ての苗を育苗し供給している。これにより、品質の統一が図りやすくなっている。さらに「定植支援」として、JA香川県が生産者の定植作業を受託し、作業負担の軽減に一役買っている(写真2)。そして、これまで生産者の大きな負担であった収穫したブロッコリーの荷造調整をJA香川県が行なえるように施設整備を進め、「荷造り調整支援」を行っている(写真3、4)。JA香川県による作業支援により、生産者は栽培に専念することができ、個人農家の面積拡大を後押しし、今日の作付面積増加に繋がっている。
平成12年の農業協同組合の広域合併に合わせて、香川県内の野菜・花き・果樹の生産者部会の中心団体である香川県野菜花き生産者の研究会が設立され、この生産者部会が年次毎に生産・販売の方針、決定を担っている。香川県野菜花き生産者研究会ブロッコリー部会では、役員会を年2~3回実施し、生産状況報告や販売の状況報告などを行っている。
また、販売における消費宣伝も生産者部会、香川県、市町長との協力により毎年実施している。生産者部会役員およびJA香川県では、消費者との意見交換を重要視しており品質、形状などのニーズは、翌年の品種や出荷規格に反映される。香川県のブロッコリーをより多くの消費者に買い求めてもらえるよう日々努力を重ねている。
◆一言アピール◆
ブロッコリーは栄養価の高い野菜として人気があります。ビタミンCや植物性たんぱく質などが豊富です。近年では、ブロッコリーに抗酸化作用と解毒作用があるスルフォラファンが含まれていることが分かりました。香川県のブロッコリーは「ボリューム」と「品質」にこだわったものを出荷しています。生産者は、消費者に選ばれる商品を提供するために日々取り組んでいます。是非、香川県産の栄養豊富でボリューミーなブロッコリーをご賞味ください。
◆お問い合わせ先◆
担当部署:香川県農業協同組合 営農部園芸課
住 所:香川県高松市一宮町刷塚1431ー1
T E L:087ー818ー4122 F A X: 087ー818ー4123