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今月の野菜

岩手県 JAいわて平泉
~豊かな自然と歴史の中で育まれる平泉トマト~

いわて平泉農業協同組合 営農部園芸課 佐々木 俊之


 産地概要

いわて平泉農業協同組合(以下「JAいわて平泉」という)は、岩手県の最南端に位置し一関市、平泉町の1市1町で構成されている(図1)。南は宮城県と隣接し、“岩手県の南玄関”として東北新幹線・東北自動車道の主要駅・インターチェンジなど交通の便に優れている。また、平泉町には平安時代末期に栄えた奥州藤原氏などの寺院や遺跡が数多く残っており、その中の5件が「平泉-仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群-」の名でユネスコの世界遺産に登録されたことで観光地としても注目を集めている。

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四季を通じ温暖で、波状起伏のゆるやかな山と高原、自然景観に優れた丘陵地が北国の詩情を漂わせている。また、北上川流域をはじめ栗駒山を源流とする磐井川夏川や金流川流域の平坦地は農業生産の適地として水田の整備や農地の集積が進められている。

管内のこのように恵まれた自然の中でさまざまな野菜が栽培されている。特にトマト、ミニトマト、ピーマン、なす、きゅうりの果菜5品目の栽培が盛んで、これをセットで提供出来る産地は稀であることから「いわて平泉」の大きな特徴となっている。

JAいわて平泉の令和元年度の総販売高は約112億円で、そのうち米穀約42億円、畜産関係約49億円、園芸は野菜の約14億円を中心に花き、果実を合せ約21億円の販売高となっている。

その中でもトマトは約3億7000万円の販売高となっており、約20ヘクタールの作付面積から年間34万ケース(1ケース当たり4キログラム)を越える出荷がある。部会には139名の生産者が在籍している。主な出荷先は県内を始め、関東への出荷となっている。

 栽培状況・栽培カレンダー

現在、JAいわて平泉管内で栽培されている主な品種は桃太郎セレクトとりんか409の2品種となっている。

当JA管内では大きく分けて、3月の上旬から定植が始まる半促成作型と4月下旬から定植が始まる夏秋作型の2つの作型で栽培している(図2)。また、夏秋作型の中でも定植時期が異なるハウス長期、簡易露地、ハウス遅植を組み合わせる事で出荷のピークを分散させ、山谷の少ない安定した出荷を目指している(写真1)。特に、ハウス遅植は市場での取り扱い数量が少なくなる9月の出荷安定を目指し、普及に努めている。

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近年、単収向上を目的とした環境制御技術の普及が進んでいるが、初期投資が高額であることが課題となっている。そこでトマト部会では、既存のハウスにモニタリングシステムを導入した上で、ミストや二酸化炭素発生装置などの試験的な導入による効果を検証している(写真2)。ハウス内の環境モニタリングによって、温度、湿度、二酸化炭素の変化を数値で見える化した結果、既存技術の再検証という副次的な効果も得られている。今後、環境制御技術は費用対効果の高い栽培面積の大きい生産者、新技術の導入に積極的で柔軟な若手の生産者を中心に普及を進めていく。

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 出荷、販売について

JAいわて平泉では、主に5月から11月にかけて収穫、選果、出荷をしている。出荷のピークは、それぞれの作型のピークが重なる7月から8月になっており、最盛期では選果量が日量30トンに及ぶ(写真3)。

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出荷規格は等級がAからC、階級が2Lから3Sとなっている。主に4キロ箱と1キロ箱に梱包し出荷しているほか、フードパックとスタンドパックのアイテムを増やす事で有利販売につなげている(写真4、5)。

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トマトは消費者の手元に届いた時にちょうど良い赤みであることを求められている。時期によって着色スピードが違う事から収穫時の適切な着色具合を示したカレンダーを生産者に配布している。生産者がこのカレンダーを参考に適時収穫、出荷することで、市場に求められる品質の良いトマトの提供に努めており、これにより市場からの評価を得ている。

JAいわて平泉では前述した通り、果菜5品目のセット販売が特徴の産地である。毎年この5品目の部会長と管内の首長、当JA組合長が市場に赴きトップセールスをする事で産地のアピールに繋げている(今年は新型コロナウイルス感染症の拡大により、残念ながら中止となっている)(写真6)。

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一言アピール

現在、日本中が新型コロナウイルス感染症の影響を受けていますが、消費者へおいしいトマトをお届けするべく、生産者は常と変わらず栽培努力をしております。トマトはさまざまな栄養素が含まれ「医者いらず」と言われています。ぜひ、JAいわて平泉のトマトを食べて、たっぷり栄養を取ってください。

お問い合わせ先

担当部署:いわて平泉農業協同組合 営農部 園芸課
 住  所:029-0202 岩手県一関市川崎町薄衣字久伝18-1 営農振興センター
 電話番号:0191-34-4003
 FAX番号:0191-34-4004
 ホームページ:https://ja-iwatehiraizumi.or.jp/


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