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今月の野菜

滋賀県 だいなか地域
~琵琶湖の干拓地で漬物用の大かぶを栽培

滋賀県 東近江農業農村振興事務所 農産普及課 主幹 田中 寿


1 地域の概要

滋賀県の中央部にあり、琵琶湖の東岸に位置する干拓地である大中の湖地域は、現在の近江八幡市大中町、近江八幡市安土町大中(旧安土町)、東近江市大中町にまたがっている図1。気候的には、瀬戸内気候と日本海気候の中間の内陸性気候で、年平均気温は14.7度、年間降水量1571ミリ、年間日照時間は1826時間(彦根気象台)である。

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琵琶湖には水深2メートル前後の内湖が40余り存在し、その内の最大の内湖であった大中の湖の干拓は、昭和32年から着手され、新たに1000ヘクタールの農地ができた。当時では珍しく1.5ヘクタールと1ヘクタールの大区画のじょう整備がなされ、昭和41年から入植が始まった。入植者は1.5ヘクタール圃場を2筆と1ヘクタール圃場を1筆の合計4ヘクタールの経営規模で、水稲単作で経営開始した。

しかし、昭和45年から始まった減反政策を契機に、すいかをはじめとする露地野菜生産が開始され、その一品目として40年代後半から大かぶなどの漬物用野菜の生産が開始された。この頃から水稲との複合経営が定着し、水稲+露地野菜、水稲+施設園芸、水稲+畜産経営に分化し、県内有数の専業農家地帯となった。水稲+露地野菜の農業経営形態には、大かぶのほかに秋冬キャベツや秋冬ブロッコリーなどの栽培が盛んである。大かぶ栽培は、その後普及拡大し、最大で100ヘクタール前後まで増加し水田野菜の中心品目となった写真1。生産者は、現在30である。

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2 大かぶの作型

大中の湖地域では、秋冬期の作型で大かぶ生産が行われている。近年の温暖化に応じて、以前に比べてしゅ時期は若干遅くなってきている。播種は、8月下旬から9月下旬にかけて行い、収穫は10月末から3月中旬まで行っている、写真2、3

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3 生産栽培上の特徴

昭和40年代後半から生産が始まった大かぶは、当初大中の湖地域で、水稲との輪作を行ってきた。しかし、一経営体当たりの経営面積の拡大と昭和60年ころより根こぶ病の発生が大きな問題となってきたことから、大中の湖地域外での生産も増えていった。

滋賀県では水稲+麦+大豆のブロックローテーション(注1)が一般的な土地利用体系である。大中の湖地域内の圃場と地域外の麦跡の生産調整田を期間借地することで、連作障害と規模拡大を実現していった。

連作障害の回避には輪作体系の構築と併せて、根こぶ病に登録のある土壌処理剤の利用や根こぶ病抵抗性品種の導入も進んでいる。主な品種は、表1の通りで、生産者が漬物業者と相談の上、決めている。

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大中の湖地域の大かぶ生産は、ピーク時の平成20年ごろには100ヘクタールを超える産地に発展し、一経営体当たり10ヘクタールを超える大規模生産者も点在するようになった。

注1:生産調整作物の生産性を向上させるため、地区全体を数ブロックに区分し、順次、移動させる集団的な土地利用の方法。

4 大かぶ栽培の省力化

大かぶの大規模生産を実現するため、省力化に向けた機械化一貫体系が構築され、圃場準備から収穫、調製作業まで手作業を極力削減し、10アール当たり50時間注2の労働時間を実現している表2。特に、真空播種機を導入したことで正確に少量播種ができるようになり、手作業が必要な間引き作業が省力化した。また、ビーグルや中間管理機の導入で、追肥、中耕や防除などの管理作業も機械化された。特に、追肥や中耕作業には、中古の田植機を改良した安価な作業機が普及している。

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最も労働負荷が掛かる収穫、搬出、洗浄作業も、地域独特の体系が確立している。収穫作業こそ手作業であるが、運搬車を用いた圃場からの搬出、ダンプでの搬送と洗浄槽への投入、ベルトコンベアと洗浄機を組み合わせた洗浄作業と出荷コンテナへの積み込み作業、リフトでの出荷用トラックへの積載を行っている写真4~7玉当たり2キログラムを超える大かぶに触れる回数を極力減らしている。重量野菜である大かぶの収穫作業をさらに軽作業化するため、産地では自動収穫機やアシストスーツ利用の検討も始められている。

注2:滋賀県農業経営ハンドブックによる。

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5 大かぶの販売と戦略、課題、展望

大中の湖地域の大かぶは、漬物加工業者との契約栽培である。契約先単位で生産者のグループがあり、グループと業者との間で生産数量や価格の契約が行われ、生産販売出荷計画が作られる。生産品目も業者との話し合いの中で決定される。

近年では大かぶの生産が減少する半面、赤かぶ、日野菜、ぐきなど、需要に合わせた多様な漬物用野菜の生産が行われている。今後も実需者ニーズに合わせ、品質の向上、品目の選定が行われていくことであろう。

一方生産面では、温暖化による夏季の異常高温や乾燥、台風などの影響により、病害の発生を始め生産が非常に不安定となっている。今後は、作型の変更や栽培のさらなる工夫により安定した生産出荷がされる産地として維持発展していくであろうと思われる

一言アピール

大中の湖地域は多様な野菜を生産しています。中でも漬物用野菜を大量に供給している産地です。滋賀県や京都府の漬物としてお客様の食卓に上がっています。当地ではお漬物の原料として高品質で安全安心な農産物生産に努めています。見かけたら是非、ご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:滋賀県 東近江農業農村振興事務所 農産普及課
 住  所:〒521-1301 滋賀県近江八幡市安土町大中516
 電話番号:(0748)46-6504  FAX番号:(0748)46-7411


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