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今月の野菜

静岡県 JAハイナン
~温めてもシャキシャキしておいしいハイナンレタス~

ハイナン農業協同組合 営農経済部 営農企画課長 峯野 利也


1 産地の概要

ハイナン農業協同組合(以下「JAハイナン」という)の管内は、静岡県の中西部に位置し、東は大井川、西は御前崎、北には牧之原台地に囲まれ、駿河湾に面している(図1)。JAハイナンは、1993(平成5)年にはいばら郡の南部に位置する4町(御前崎町、相良町、榛原町、吉田町)の3JAが合併して誕生し、さらに2004、5(16、17)年の市町村合併により、2市1町(牧之原市、御前崎市の旧御前崎町、吉田町)が管内となった。「ハイナン」という名称は、榛原郡の南側に旧3JAが位置していたことから、榛原の「榛」と「南」を組み合わせ命名された。年間の平均気温16.4度で、太平洋岸側で積雪もなく温暖な地域である。

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管内の最大の特産品はお茶であり、2000ヘクタールの茶園が牧之原台地を中心に広がっている。当管内は温暖で肥沃な土壌に恵まれ、JA単位の荒茶(注)生産量では、全国2位を誇る。また、野菜では、国の指定産地となっている水田裏作で栽培するレタス類、海岸の砂地で栽培されるだいこんなどの生産が盛んである。

2018平成30年度のJAハイナンの販売額は38億円、そのうち青果物は17憶6500万円で全体の46.4%を占め、また、レタスは6億100万円で、青果物の34.1を占めている。

注:お茶は、生葉の収穫後、産地で荒茶(蒸し・揉み・熱乾燥した状態)に加工され、消費地で製茶(仕上茶)にして販売される。

2 産地共販60年目を迎えたハイナンレタス

(1) 産地の歴史

JAハイナン管内でのレタスの生産は、1954(昭和29)年から試験的に始まり、その後JAが集荷業務を担うようになった。1960(35)年からは、共同販売(共販)を行うようになり、2019(令和元)年で共販60年の節目の年を迎えた。

(2) 生産状況

管内のレタスの生産者は、JAの生産者組織「ハイナンレタス委員会」に属し、2018(平成30)年時点で生産者数は131名、生産面積は140ヘクタールとなっている。また、JAハイナンを通じて出荷されるレタスは、「ハイナンレタス」と呼ばれている。

レタスは水稲が終了した水田で生産されており、育苗についてはしゅは8月下旬に始まり、全生産面積の3割程度をJA育苗センターが請負い、7割が自家育苗となっている。収穫は10月下旬から5月下旬までとなっている(図2、写真1)。最盛期は12月中旬から3月上旬で、ほとんどの生産者がお茶との複合作であるため、4月には一番茶の作業で忙しくなる。また、8割程度がトンネル栽培である。

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品種はモデナ、アスレ、オーデブルなどで30品種以上が生産されている。

(3) 販売状況

JAハイナンで生産されるレタスは、7割が市場出荷、3割が加工・業務用である。市場出荷は京浜市場を中心に県内の市場などにも出荷している。2018(平成30)年の出荷量は、4644トンで気象条件も良く安定した出荷量となった(図3)。2019令和元年度は出荷量は4500トンを計画し、日々の出荷物検査、目ぞろい会、品評会を実施し高品質の安定出荷を目指している。また、近年は産地と市場の情報共有に力を入れており、時期ごとの定植面積や生育状況、病害虫の発生状況などを情報収集し、今後の出荷量等の予測を立て有利販売に役立ててもらうため、市場などにそれらの情報提供している。

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3 生産販売の強化

(1) ハイナンサラダ王国プロジェクトの概要

JAハイナンでは品目別にチームを結成し、産地支援体制を組んでいる。これは生産指導を担当する営農技術員と集出荷を行う販売担当者、生産資材を手配する営農アドバイザーがチーム結成し、生産者および生産者組織を支援している。全部で6チーム(洋菜、果菜、根菜、柑橘、花き、茶)あり、レタスは洋菜チーム(ほかにサニーレタス、ブロッコリー、ロメインレタスなどを生産)が担当し、チーム内で情報共有を図っている。

全チームの目標は「生産者が減っても生産面積、出荷量は減らさない」で、高齢化で生産者が減っても、生産期間の延長や省力化資材で生産面積の維持を目指している。

洋菜チームでは、このプロジェクトを「ハイナンサラダ王国プロジェクト」と名付け、平成29年9月よりを始動させ、特に以下の5つの課題改善の取り組みを行っている。

ア 耕作条件の改善

水田で栽培しているため排水対策は必要不可欠である。土中に排水路を設置するあんきょ排水工事を国の補助事業、JAの助成事業を活用しこれまでに約30ヘクタール実施した(写真2)。近年の異常気象が続いている中で、乾きやすいじょう作りは生産性、作業性の向上に役立っている。

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イ 省力化機械リース

厳寒期のレタス生産では、ポールをドーム状に設置後、ビニール被覆による防寒作業を11月下旬から実施する(写真3)。それには10アール当たりポールを1000本近く打ち込む手作業が必要となるがその作業は重労働である。そのため、JAではこのポールを打ち込む機械を購入して、生産者に貸し出している。

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ウ 無包装コンテナ出荷の推進 

全出荷の70%のレタスはラップで包装し、ダンボールに詰めて市場へ出荷している。また近年は、調製作業の省力化のため無包装でコンテナに入れ販売する形態を進め、現在30%が無包装での出荷となっている。基本的に無包装レタスは加工・業務用(契約取引)が多く、価格も安定しているため大規模農家が今後広めていきたい形態である。

エ 労働力支援

高齢化後継者不足で労働力が不足している状況であり、特にレタスをラップ包装する調製作業の人手不足が顕著な状況である。そのためJAの無料職業紹介を活用して求職者を募集し、雇用を求める生産者へ紹介を行っている。

オ 省力化資材の利用推進

収穫後にマルチをはがさず、そのまま土中に混ぜ微生物によって水と炭酸ガスに分解する生分解性マルチの導入推進を行い、昨年度87ヘクタールで利用され片付け作業の省力が図れている。また、高成分の配合肥料も70ヘクタール程度で使用され施肥作業の省力にもつながっている。

(2) 静岡県レタス協議会の結成と真空予冷機更新

レタスは静岡県内で6JAが出荷している。県内でまとめると最盛期は日量1万2000ケースを超す出荷があり、量をまとめると個々のJAで販売を行うより戦略として有利に販売ができることから、県内の6JAで静岡県レタス協議会を結成し、県1本で販売を行い、京浜市場でのシェア拡大につなげている。

また、より鮮度を保って出荷するため、JAハイナンでは、2017(平成29)年9月に真空予冷機、保冷庫を更新した(写真4)。シーズン中は多い時でレタス、サニーレタス合わせて1日7000ケース程度を処理し、低温を保ったまま市場や実需者に出荷し鮮度維持に努めている。

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一言アピール

当地のレタスは葉肉が厚く、シャキシャキとした食感は生食はもちろんのこと、温めて食べても感じることができます。炒め物や鍋に入れてもおいしくいろいろな食材、味付けにも合います。またサラダのような生食ではたくさんの量を食べるのは大変ですが、温めると柔らかくなってたくさん消費でき、野菜不足の方にも最適です。是非ご賞味下さい。

お問い合わせ先

 担当部署:ハイナン農業協同組合 営農経済部 営農企画課
 住  所:〒421-0422 静岡県牧之原市静波73-5
 電話番号:0548-22-9539 FAX番号:0548-22-8592
 
ホームページ: http://hainan.ja-shizuoka.or.jp


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