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今月の野菜

青森県 JAおいらせ
~これからますますおいしくなる〝ごぼう"
シャキシャキとした食感と香りが自慢~

おいらせ農業協同組合 営農部指導課 宮古 和也


1 産地の概要

おいらせ農業協同組合(以下「JAおいらせ」という)は、青森県の県南部に位置する三沢市と六戸町を管内としている(図1)。

当地方一帯における最も特徴的な気象は、夏期においてやませと言われる冷たい風が太平洋から吹くことである。このやませにより稲作では冷害に見舞われることが多いこともあり、天候に左右されにくい根菜類の栽培が盛んである。土質も、ローム質火山灰が堆積し、地表面より黒色の腐植に富む層が50センチから深いところでは1メートルに達し、れき(注)などが含まれていないことも、ながいも、ごぼう、にんにく、にんじん、だいこんなどの根菜類を中心とした野菜の産地を形成する要因になっている。

JAおいらせ管内では、稲作、畜産、野菜の複合経営が行われており、とりわけ野菜の生産が盛んな地域である。正組合員数は1982名で、野菜を出荷している生産者にて構成されるやさい推進委員会の会員数は591名、その中のごぼう部会員数は373名である(内訳は三沢219名、六戸154名)。

平成30年度のJAおいらせの野菜販売額は、全体で66億3700万円であり、内訳はながいも16億8100万円(全体の25.3%)、ごぼう15億3900万円(同23.2%)、にんにく17憶400万円(同25.7%)、にんじん10億1100万円(同15.2%)、だいこん億4500万円(同5.2%)となっており、ごぼうはながいもに次ぐ販売額になっている。

ごぼうは、ながいも栽培の輪作体系の一つとして栽培が盛んになった。現在では、青森県全体がごぼうの作付面積・出荷量とも日本一となり、その中でもJAおいらせは、作付面積383ヘクタール、出荷量7002トン(平成30年度実績)と取扱量が青森県で一番の産地となっている。

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注:小さい石、こいし、粒径2ミリ以上の岩石の破片をいう。

2 栽培概要

ごほうの作型には、「春き」と「早春播き」がある。春播きは、5月上旬~6月中旬に播種し、収穫は9月中旬から11月末(年内収穫)と、翌3月中旬から4月末(越冬ごぼう)まで2つの期間に分けて収穫する。また、早春播きは、4月中旬から5月上旬に播種し、8月中旬から9月上旬まで収穫する2つの作型があるが、ごぼう全体においては年内収穫するものがほとんどの割合を占めている(図2、写真1~3)。

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品種は、春播きは「柳川理想」、早春播きは「常豊」を主に栽培している。

販売先は主に市場出荷としているが、価格が安定している加工業者と連携した契約栽培にも取り組んでいる。

3 出荷体制

出荷は、10キログラム段ボールとキログラムのポリ袋の2種類で出荷している。選別基準は、小売りにおいて1、2本売りが中心となるため、1本重量と本数で分けている。また、ごぼうは地域で好みが違うので、関東地域はM以上の太さで、中京地域以西は2M以下の細物を中心に、その地域が好む規格のごぼうを出荷している(表1)

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4 販売戦略

管内のごぼうは、生産者が個々に収穫および選別を行う個人選別(以下「個選」という)と、生産者が収穫したものを農協で預かり選別を行う共同選別(以下「共選」という)がある。個選は主に収穫時期のみの選別作業となるが、共選は収穫したものを冷蔵庫に保管しておくため、収穫できない時期でも選別作業し、出荷をすることができる。

平成18年までは、10月から12月の収穫時期に出荷が集中し、値崩れの大きな要因となっていた。そこでJAおいらせでは、出荷時期の集中を解消するために共選体制の強化を図り、平成19年にごぼう専用の大型冷蔵庫を建設した(写真4、5)。冷蔵保管することにより品質の安定化および長期保管が可能となったことと早春播きの作型の導入により 、共選により出荷時期を8月下旬から5月上旬まで分散し、計画出荷による長期販売が可能となった。現在の体制になってから出荷量の割合は個選7割、共選3割であり、共選によって出荷調整することにより販売が安定し価格の維持につながっており、出荷の集中による値崩れは解消された。近年は、収穫作業のできない冬期間でも個選できるよう、秋のうちに収穫した原料の一時保管も請け負っている。

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そのほかに、平成23年から国の基礎GAPに基づいて作成したJAおいらせ独自のGAPを実践しており、農薬の適正使用や異物混入の防止など生産から出荷まで食の安全・安心の確保に努めている。今後は、GAPへの関心が高まっている中で、オリンピックも近づき、第三者認証GAPの取得を検討している。

食の多様化により、ごぼうの機能性が理解されるようになったこともあり、JAおいらせ管内はごぼうの一大産地として注目されている。テレビの料理番組などでも数多く取り上げられ、マスコミを活用した宣伝も多く実施している(写真6)。

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また、生産者が消費地での対面販売を実施して消費者の声を直接聞いたり、料理方法や保存方法を教えたりしている。そのことで、販売者側のノウハウ、消費者ニーズを理解して、販売戦力に生かしている(写真7)。

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ごぼうは、食物繊維を多く含むことで知られている。食物繊維には、整腸作用や便秘解消、大腸がんを防ぐ効果があり、他にもコレステロール値を下げたり、動脈硬化やがんを予防する効果などが期待できる。さらに血圧の上昇を抑えるカリウム、他にカルシウムやマグネシウムなどのミネラル、抗酸化作用のあるポリフェノールなどが含まれている。

これらごぼうの効用は、テレビなどのメディアで取り上げられることも多くなり知られるようになったが、一般の人にはまだ十分には浸透していないため、これからもPR活動を積極的に行い、もっとたくさん食べてもらいたいと考えている。

一言アピール

冷涼な気候を生かして栽培した良質なごぼうです。風味が良く、シャキシャキとした食感が消費者に大好評をいただいております。これから、旬を迎えて、ますますおいしくなります。当地の自慢のごぼうを是非ご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:JAおいらせ 営農部 指導課
 住  所:〒033-0022 青森県三沢市大字三沢字堀口16番地7号
 電話番号:0176-54-2211 FAX番号:0176-54-4470
 
ホームページ:https://www.ja-oirase.or.jp/


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