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今月の野菜

北海道 JA道北なよろ
~食感や食味の良さが高く評価されている「なよろかぼちゃ」

道北なよろ農業協同組合 営農センター 青果課 森重 晶太


1 産地の概要

道北なよろ農業協同組合(以下「JA道北なよろ」という)が所在する名寄市は、北海道北部にある名寄盆地の中央、天塩川と名寄川という二つの川に挟まれた位置にあり、東西よりも南北に長い形である(図1)。地理的には、北緯44度、東経142度、北海道でもかなり北の方に位置し、旭川市から国道40号を北に進んだ場所にあり、上川管内では旭川に次ぐ中核地として栄えている。名寄地域は北海道の中でも「気温差」が大きい盆地特有の気候にあり、夏と冬の寒暖差は実に約60度(最高39.3度最低マイナス38.5度)にもなる。そして、季節を問わず昼夜の寒暖差が大きい気候が特徴で、この寒暖差が農作物の糖度を高めたり病害虫の発生を抑制してくれるため、安全安心なクリーン農業に適している。名寄地域ではその気候を生かし、日本一の作付面積を誇るもち米をはじめ、青果物ではかぼちゃやアスパラガス、スイートコーン全国でも有数の産地となっている。

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2 かぼちゃ生産の概要

名寄のかぼちゃ作りは、昭和42年に当該地域の生産者6名がこの地方にえびすかぼちゃを導入し、現在の生産者部会「JA道北なよろ南瓜部会」の前身である「えびす会」を立ち上げ、その商品を「なよろえびす」として、本州の市場に売り込んだのが始まりである。かぼちゃの代金より輸送費の方が高かったり、輸送途中で腐敗するなど、当初はさまざまな苦労の連続だったが、努力の結果良質な商品であることが次第に認められるようになり、他産地の物より高値で取引されるようになった。

名寄地域の気候は、前述した通り、夏場では昼間30度を越え夜になると20度前後まで落ちるという昼夜の寒暖差があることが特徴だが、それがかぼちゃの甘みや身の柔らかさをひきだし、食感や食味の良さにつながり高く評価されている。現在は、JA道北なよろ南瓜部会の生産者戸数115戸で生食用の生産を行っている。また、生食用以外に、加工用かぼちゃの生産も行っている。

当JAのかぼちゃは、5月上旬~6月上旬にしゅを行い、5月15日~6月中旬までに定植、収穫・出荷は8月上旬~10月下旬まで行っている(図2、写真1、2)。

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3 生産、栽培の特徴

当JAでは、早生品種の導入や、味・品質などの消費者ニーズに応えることをモットーとして、以下の通り生食用(生鮮用)・加工用と用途に分けた栽培を行っている。

(1) 生食用

生食用については、前述した通り、食味の良さなどが高く評価されていることから、作付面積が増えたが、近年は労働力不足の関係から面積が減少傾向となっている(図3)。生産部会では、出荷時期による品種の選定や道外市場協議や販売促進活動などさまざまな活動を行っている(表1、2、写真3、4)

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(2) 加工用

加工用については、現在9品種の栽培を行っており、生産部会はなく、JA独自の取り組みとなっている(表3)。過去において最大作付面積約280ヘクタールほど拡大された時期もあったが、生食同様に労働力不足から作付面積が減少している。

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生食用との大きな違いは、収穫から出荷までの工程が簡素化されており、作業が省力化されていることである。また、以前は加工業者向けのみの栽培だったが、現在は商社との直接取引も加工用として取り扱っている。その他、生食用の選別時に発生した規格外品も加工かぼちゃとして販売している

4 出荷、規格など

(1) 生食

生食用かぼちゃは、すべて共選施設で選別している。出荷規格は表の通りで、等階級は、A品、Ⓐ品とし、1玉重量は1.05キログラム以上であること、また、10玉規格については、市場の相場によっては規格外品扱いの場合があるとしている。

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当JAでは、共選施設を平成26年から稼働させ、生産者が圃場で収穫したかぼちゃについて、選果から出荷、出荷先までの一元管理を可能としている。出荷段ボールには全てバーコードシールを貼り、選果日や生産者の確認、および出荷先での生産履歴の確認などができる。さらにカメラの画像処理による等階級の選別が稼働する前に比べて飛躍的に向上した(写真5)。なお施設内の作業人員の確保並びに安全管理運行は、外部の業者に委託して行っているところである。

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当JAでは約30万ケース(3000トン)をシーズン(8月上旬~10月末)出荷ている。出荷先は北海道から九州まで全国市場約23社および量販店などで、全体の約80%はトラックの輸送、残りはJRコンテナ出荷ている(写真6)。

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(2) 加工用かぼちゃ

加工用かぼちゃには、混み玉と規格外品の2つの出荷区分がある。それぞれの特徴は、表の通りである。多くは、コロッケやカットかぼちゃなど冷凍品の原料として、使われている。

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混み玉の販売先としては、加工業者2社および商社3社となっており、加工場への直接搬入または販売先での引き取りのどちらかとなっている。

規格外品は、1キログラム以上のものについては加工業者への販売1キログラム未満 については、小玉かぼちゃとし箱詰め、トレーラー(大型トラック)などで出荷をしている

5 販売戦略

生食用かぼちゃは、前述した通り生産部会で品種や出荷時期を選定し、市場などに事前に品種などを伝えることで有利販売へつなげている。また、黄色の箱を使い厳選出荷をすることにより、名寄ブランドを掲げ高評価を得ている(写真7)

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また、消費者の安全安心に対する関心に応えるため、全圃場の土壌診断や全戸で生産履歴の記帳をしている。また、全品種抽出による残留農薬検査を行い、出荷後もバーコード管理により出荷日および生産者の特定ができるような体制をとっている。

加工用かぼちゃについては、混み玉は品種によりある程度出荷先が分かれており、加工業者および商社用のニーズにあった出荷を行っている。また、加工業者向けに生食用には向かない大玉品種などを取り入れている。

また、規格外品については1キログラム以上のものは加工業者向けが中心となっているが、小玉の一部については、アジア向け輸出されている。

一言アピール

かぼちゃは代表的な緑黄色野菜でビタミンA(カロテン)、ビタミンEを多く含んだ野菜です。特に当地で作っているかぼちゃは西洋かぼちゃに属すためビタミンCも多く含んでいます。また、食物繊維も豊富に含み、栄養成分の高い野菜です。
 その中でも当地のかぼちゃは、昼夜の寒暖差が大きい気候を生かした生産を行い、全国でも食味・品質ともに高い評価を受けておりますので、量販店などで見かけた際は、是非一度ご賞味下さい。

お問い合わせ先

 担当部署:道北なよろ農業協同組合 営農センター 青果課
 住  所:〒096-0036 北海道名寄市西6条北11丁目58-20
 電話番号:01654-3-4307 FAX:01654-2-5763
 
ホームページ:http://www.ja-douhokunayoro.or.jp/


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