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今月の野菜

宮崎県 JA西都さいと~日本一の早出しスイートコーン産地を目指して~

西都農業協同組合 営農経済部 営農指導課 松浦 牧男


1 産地の概要

西都農業協同組合(以下「JA西都」という)は、宮崎県のほぼ中央に位置する西都市と西村を管内としている。一ツ瀬川、さんざい川、のう川の流域に平野が広がり、豊かな水と土、温暖な気候に恵まれた西都市では、野菜や果樹、畜産が盛んである(図1)。

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果樹では、「太陽のタマゴ」のブランド名で知られる完熟マンゴーの産地である。畜産も盛んで、平成24年に開かれた全国和牛能力共進会では、管内の生産者が西都生まれ・西都育ちの牛で優等賞首席に輝き、宮崎牛日本一2連覇に大きく貢献した。

野菜では、冬春ピーマンが国内有数の産地となっており、西都産ピーマンは「促成型」といわれるハウス栽培が中心で、主な出荷時期は10月~翌年6月である。また、赤・黄・オレンジの3色が鮮やかな中型カラーピーマンなどの施設園芸やにがうりなどの露地野菜の生産が盛んに行われている。

また、スイートコーンでは、宮崎県内では作付面積が一番多く、県内だけでなく全国有数の早出し産地として位置付けられている。JA管内では、早期水稲や施設園芸、露地野菜、畜産などの複合経営が行われているが、その一品目を占めている。

2 スイートコーン栽培の経緯

JA管内でのスイートコーン栽培は、1963(昭和38)年、こおりながその地区の生産者 田原 武氏がアールのじょうで露地栽培に取り組んだのが始まりである。当時、その甘味が評判を呼び、生産者の手取り価格で1本当たり10円という高値で販売されたという。それから、数人の生産者が長園地区を中心に作付面積を広げ、水田にも栽培されるようになったことから、転作作物としても有望視され、生産者・作付面積とも急激に増加した。

1972(昭和47)年にJA管内の生産者部会であるJA西都スイートコーン部会が発足した。部会発足以降は、部会員および作付面積が増え、収穫時期の集中による出荷量の急増で価格の低迷が続いた。

そのため、これらへの対策として、西南暖地特有の冬春温暖多照な気象条件を生かした早進化栽培への取り組みと、収穫時期の平準化・早進化および労働力の分散を図るため、ミニハウス栽培やトンネル栽培を積極的に普及させ、さまざまな作型ごとの栽培技術の確立を行い、先進的・模範的な産地体制を築いてきた。

現在は、ハウス栽培、ミニハウス栽培、トンネル(大型・小型)、露地栽培の作型を駆使ししゅ期間をずらすことで、5~6月を出荷期間とし、特にピークが5月中旬~6月上旬となっている(図2写真1~2)。

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3 JA西都スイートコーン部会の取り組み

(1) JA西都スイートコーン部会の概要

JA西都スイートコーン部会は設立して47年経ち、2018(平成30)年現在、部会員210名、作付面積80ヘクタール、販売金額2億7785万円となっている。

また、多様な作型、栽培上のさまざまな課題を克服しつつ、10アール当たりの平均収量1.3トンを目標にして栽培に取り組んでいる。

主な出荷先の地域は東京で、次いで名古屋、大阪が多く、東北や北陸まで広く出荷している。JA西都の直売所での販促イベント実施や地元の小学校で学校給食への提供を行うなど、地域での消費拡大にも取り組んでいる(写真)。

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1997平成9)年には日本一早出しの大型産地となり、現在においても早出し産地として市場から高い評価を受けている。2005平成17)年には農業産出額から見たスイートコーンの品目別順位で西都市が全国第位(1000万円)となり、現在も県内の他地域よりも高い産出額となっている。

(2) 消費者ニーズへの対応

JA西都スイートコーン部会による展示圃を設け、年ごとに需要に即した各種試験の実施や情報収集・販売促進のための産地視察や販促活動を行い、栽培技術習得や市場の新規開拓など販売面においても継続して力を入れている。

毎年の出荷開始時期には、目ぞろえ会を実施し、生産者同士で規格の統一を図るとともに、生産者は毎日圃場を回り、高品質のスイートコーンの出荷に努めている(写真4、5)。

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スイートコーンは、品質の劣化が早いので、鮮度維持には気を使っている。消費者ニーズに対する生産者の意識が高く、県内外の需要に対応するため、生産者は、午前時ごろから収穫し、選果選別箱詰め作業を行って、その日の午前中には出荷というめまぐるしい忙しさの中で作業を行っている。

また、近年では出荷輸送用に繰り返し使用できる通いコンテナの利用で資材費軽減に努めている。なお、マルチ栽培を行っているが、ポリエチレンマルチから、土壌還元が可能な「生分解性マルチ」の利用が拡大しており、省力化と環境に配慮した産地づくりに努めている。

一方、栽培現場ではアブラムシ、ヨトウムシの難防除害虫(注)の発生やカラス、アナグマ、タヌキといった鳥獣被害の発生の他、冬場の凍霜害や春先の突風などの気象災害の問題が山積しているが、これらに関しては、宮崎県農業共済組合(旧NOSAIみやざき)のスイートコーンの農業共済への加入などで産地の維持を図っているところである。

注:防除するに当たり、農薬に対して抵抗性を示す害虫 。

(3) 新作型導入の検討

バーベキューには、スイートコーンが必需品であるが、近年は涼しくなった秋がベストシーズンと言われている。そのため、当JAでは、このような需要を見越して、月播種で1011月に収穫を行う秋作スイートコーンの新しい作型を検討中で、温暖な宮崎県だから秋に収穫が可能といえる作型を目指しているところである。

また、年後の2022(令和)年には、JA西都スイートコーン部会設立50周年を迎えることから、関係機関を含めた総勢300名が一に会す祝賀会を開催することを予定している。

一言アピール

JA西都発、初夏の味覚スイートコーン、出荷は5~6月です。その代表は「ゴールドラッシュ」という品種で、特徴はなんといってもその甘さで、果肉がとても柔らかく先端まで実がつまって、ボリューム満点です。生産農家は、午前1~2時ごろから収穫し、新鮮でおいしいスイートコーンをお届けするために頑張っています。
 当地のスイートコーンを見かけたら、是非ご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:西都農業協同組合 営農経済部 営農指導課
 住  所:〒881-宮崎県西都市大字右松2071
 電話番号:0983-43-3113 FAX:0983-43-3320
 
ホームページ:http://www.ja-saito.or.jp/


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