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今月の野菜

産地紹介:群馬県 JAおうたてばやし
~品質第一のブランドはくさい「むらじん」を生産~

邑楽館林農業協同組合 園芸部園芸指導課 係長 松島 寿明


1 産地の概要

邑楽館林農業協同組合(以下「JA邑楽館林」という)は、平成21年3月1日に、JA館林市(館林市・明和町)、JA群馬板倉(板倉町)、JA西にしおう(邑楽町・千代田町・大泉町)の3つのJAが合併し、1市5町の広域農協として誕生した。

当地域は群馬県の南東部に位置し、北は渡良瀬川を境に栃木県佐野市・足利市、群馬県太田市、南は利根川を境に埼玉県と接する館林市・板倉町・明和町・千代田町・大泉町・邑楽町からなる標高10メートルから35メートルの平坦地である(図1)。総面積は、193.30平方キロメートルで、面積が多い順に、館林市60.98平方キロメートル、板倉町41.84平方キロメートル、邑楽町31.12平方キロメートル、千代田町21.76平方キロメートル、明和町19.67平方キロメートル、大泉町17.93平方キロメートルとなっている。

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自然条件としては、年平均気温が約15度、年間降水量が1180ミリ程度で、県内では比較的温暖な気候と言える。夏季は内陸的気候で雷雨が多く高温多湿、冬季は雨の日が少なく日照時間が長いという特徴がある。太陽に恵まれた日本一暑い大地と、赤城おろしの「からっ風」が吹く、利根川と渡良瀬川に挟まれた、日本有数の野菜の産地である。

JA邑楽館林では、ハウスなどの施設を利用したきゅうりやトマト、露地野菜では、夏は、なす、にがうり、冬ははくさいやしゅんぎくなど、多くの農産物が生産されている。

平成29年度のJA邑楽館林の青果物販売金額は約99億円となっており、はくさいは、きゅうり、もやし類に次ぐ、第3位で、約6億円の売り上げがあり、JA邑楽館林の主力農産物になっている(図2)

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2 産地形成の歴史

JA邑楽館林では、旧JA西邑楽地区(おう町・千代田町・大泉町)においては、昭和40年ころからはくさいの栽培が始まった。平成13年より「むらじん」というブランドで出荷されている。これは、JA邑楽館林の中でも、旧JA西邑楽地区では、「邑美人白菜挌付検査要綱」を定めており、同要綱に基づく品質検査を通過したものに関しては、ブランドはくさい「邑美人」として出荷されている。名前の由来である邑楽町を中心に、西邑楽白菜部会会員約100名の生産者により、約60ヘクタールの面積で作付されている。11月上旬から3月まで出荷され、年間約4500トンの出荷量がある。

1月から出荷されるものは、しっかりと葉が締まったはくさいにするため、主にはくさいの頭部をしばる結束作業を行う。地元では「頭しばり」と呼ばれ、冬の寒さから守るため、1個1個丁寧に結束する。中腰での作業のため、はくさい栽培の中で1番大変な作業だが、厳寒期に高品質なはくさいを届けるためには欠かせない作業であり、生産者は腰痛と闘いながら結束を行っている。はくさいの結束作業は、JA邑楽館林の12月の風物詩となっている(写真1)。近年では頭しばりの手間がいらない年内どりの、生産者が増加傾向にある。

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3 邑美人の栽培について

当方のはくさい邑美人の栽培暦は、以下の通りとなっており、8月下旬からしゅが始まって、3月までが収穫期間となっている(図3)。

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① 播種・育苗

昔から「苗半作」と言われるほど、苗の良し悪しで作柄の半分は決まってしまうと言っても過言ではない。播種・育苗は生産者にとっては気の抜けない作業となる。当産地では8月末か9月上旬より播種が始まり、10アール当たり約3200株を用意する。

② 定植

9月上旬から定植が始まり、定植後は定期的に病害虫防除を行う。

③ 結束作業

1月から出荷されるはくさいは11月下旬から12月下旬にかけて、主に頭部の結束作業を行う。

④ 収穫・出荷

収穫時には専用包丁を使用してはくさいの株を切断する(写真2)。収穫時には、何個かの株を切断後、必ず半分に切り、中身の出来具合や病害虫の有無を見て、問題がないと確認後、収穫する。京浜市場を中心に、11月から出荷が始まり、3月まで続く。ダンボールで4個入りの出荷が中心となり、1月下旬から2月中旬ころが出荷のピークになる。最盛期では1日約100トン(4トン車で約25台分)の出荷がある(写真3、4)。

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⑤ 挌付検査

JA出荷担当職員および、西邑楽白菜部会役員により、「邑美人白菜挌付検査要綱」に基づき、結球度・葉色・株尻・色沢・病害虫・花芽の長さ・土、砂ほこり・鳥害・葉先・むき・玉ぞろい・重量の計12項目をチェックしている。チェックに通らないものは、すべて返品となる。

 鳥害対策 

近年、年明け出荷のものを中心に、鳥による食害が増加している。カラスやスズメなども食害するが、その多くはヒヨドリで、気温が低くなり、屋外にある他のエサが少なくなる1月中旬以降に多くなってくる。結束した外葉のみを食害されているうちはまだ良いのだが、出荷物まで食害されると出荷できなくなるため、良品出荷には鳥害への適切な対策が必要と考え、防鳥網の設置を促している。

4 安全安心な農産物の生産への取り組み

すべての圃場の生産履歴(トレサビシート)を記帳することはもちろん、品種検討会、栽培講習会、育苗講習会、現地研修会が行われる都度、農薬に対して注意喚起を行っている。また、西邑楽白菜部会では独自の、「邑美人白菜栽培管理マニュアル」を作成し、管内の生産者の圃場や作業場などの、衛生管理にも気を使っている。

一言アピール

邑美人はくさいは、生産者の高い意識の中、他産地にはない、厳しい検査項目を設け、品質を第一に考えています。寒い中結束作業を行い、年明けの北風の吹く中の収穫作業です。はくさいは寒さにあたると、どんどん甘みを増します。生産者の思いの詰まった、邑美人白菜をぜひご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:邑楽館林農業協同組合 園芸部園芸指導課
 住  所:群馬県館林市赤生田町847
  電話番号:0276ー73ー4991  FAX:0276ー73ー7140
 ホームページ:http://www.ja-ouratatebayashi.or.jp/


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