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今月の野菜

新潟県 JAたいない市~オレンジ色が鮮やかで甘味が強いJA胎内市の にんじん~

胎内市農業協同組合 園芸支援センター
営農経済部 営農指導課 高橋 正弘


1 産地の概要

胎内市農業協同組合(以下「JA胎内市」という)は、平成26年日にJA中条町とJA黒川村が合併した農協であり、管内は胎内市(平成17年に合併した中条町と黒川村)である。

胎内市は新潟県の北部に位置し、東には飯豊いいで連峰、西には日本海が広がる自然豊かな地域である。飯豊連峰を源とする胎内川を中心に、上部流域は四季の変化に富んだ渓谷美に彩られ、肥沃な扇状地では稲作が盛んである。日本海に面した海岸線には砂丘が広がり、チューリップをはじめ、ねぎやにんじん、かんしょなどの全国有数の産地となっている。

29年度の農産物販売金額は、米24億8000万(全体の43.9%)、野菜・果実億9000万(同5.1%)、花き球根億3000万(同4.1%)、畜産26億5000万(同46.9%)となっている。

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2 栽培状況

JA胎内市管内でのにんじんの栽培は、昭和56年ごろから砂丘地に合う品目として栽培が開始された。

現在JA胎内市管内で作付されているにんじんは、月上旬にしゅ月上旬から収穫される夏にんじんと、7月下旬に播種し10月中旬から12月旬まで収穫される秋冬にんじんがある。また、カゴメ株式会社(以下「カゴメ(株)」という)との契約栽培による野菜ジュース向けの加工用にんじんの栽培もある。平成30年の栽培面積は、夏にんじんが5.6ヘクタール、秋冬にんじんが約19ヘクタール、加工用にんじんが約18ヘクタールで計約42ヘクタール、出荷量は1201トン、生産者は23戸になっている。これを27年度と比較すると、作付面積はすべてで増加しているが、特に加工用にんじんが約倍に増加し、全体の出荷量も155.6%と1.5倍近い伸びとなっている(表1)。また、30年は、夏場の高温の影響や台風21号の影響などにより29年より出荷量が減少している。

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主な栽培品種は、夏にんじんは「紅うらら」「まな」「紅ひなた」の3品種で、秋冬にんじんは「紅ほのか」「あいこう」の品種が栽培されている。

夏にんじんは、月上中旬に播種し、月上旬から下旬にかけて収穫する。また、秋冬にんじんは、7月旬に播種し、主に10月下旬~11月旬にかけて収穫を行う(図2)

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JA胎内市のにんじん生産者は、同JAのにんじん部会に属しており、30年現在、23戸の生産者が属している。部会では、収穫時の掘り取り日程表を作成し、収穫日から逆算して、播種を行うことにより収穫や出荷が集中しないように調整している。

3 砂丘地で栽培されるにんじんの特徴

当地では、砂丘地でのにんじん栽培を行っている。砂丘地で栽培されているにんじんは、色つきが良く甘みが強いのが特徴である(写真1、2)。

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砂丘地は、透水性(注1)は高いが保水性に乏しく乾燥しやすいという性質があるため、地下水などを利用したスプリンクラーかん水設備が、全じょうに完備されている。

また、近年は、台風などによる飛砂(注2)の被害による欠株や葉の損傷による被害により収量・品質の低下が見受けられるので、今後は、ライ麦やコブトリソウなどを障壁作物として植栽し、飛砂の被害を受けないように対策することが求められている。

 

注1:水を通す性質のこと。

注2:海岸の砂浜や砂漠の砂が風によって移動する現象。また、その砂。

4 選果および出荷

収穫機の利用による収穫作業の効率化などにより、年々にんじんの栽培面積が拡大してきており、選果施設の処理量も増加している。平成28年には、選果施設の老朽化と処理能力の限界からにんじん選果施設を新設した(写真34)。

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新施設の日当たりの処理能力は約20トンに増加し、カメラ選果の導入により選別の向上を図っている(写真5)。主な出荷規格は、品質別にA、B、C品に分け、それを大きさで、2L、L、M、Sに4種類に分けている。

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その後、製品すべてを真空予冷することにより品質保持を実現している。

主な出荷先は、県内市場社と県内大手スーパー向けで、主に品を出荷している。また、品などを県内の加工会社向けに出荷され、生産者の手取り価格の維持に努めている。

加工用にんじんは、選果選別は行わず生産者が掘り取り終了後、専用のフレコンバックに入れてそのままカゴメ(株)の工場へと出荷され、野菜ジュースの原料となっている(写真6)。

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このようなさまざまな取り組みにより、JA胎内市は、にんじんの安定した生産、出荷を行い、栽培面積を拡大させているところである。

一言アピール

にんじんには、体内に入るとビタミンAに変わるβ‐カロテンが豊富に含まれていて、中サイズのにんじん1本で、1日に必要な量を摂ることができる。β‐カロテンは、抗酸化作用に加え、免疫力を高め皮膚や粘膜を強くし、がんや心臓病・動脈硬化などの予防に効果があるといわれています。
 砂丘地で育ったJA胎内市のにんじんは、オレンジ色が鮮やかで甘みが強いのが特徴です。当地のにんじんをお見かけの際は、ぜひご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:胎内市農業協同組合 営農経済部 営農指導課
 住  所:959-2655 新潟県胎内市本郷字家の下493番地2
 電話番号:0254-43-7402 FAX 0254-43-5210
 ホームページ:http://www.ja-tainai.or.jp/


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