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今月の野菜

産地紹介:福岡県 JAふくおか八女やめ
~苺一笑(いちごいちえ)でたくさんの出会い・ 笑顔を届けます~

福岡八女農業協同組合 営農指導部 園芸指導課 係長 壇 信弘


1 産地概要

福岡八女農業協同組合(以下「JAふくおか八女」という)管内の八女市、筑後市、広川町は、福岡県南部に位置し、南は熊本県、東は大分県と隣接しており、東部から山間・中間・平坦農業地域に区分された、総面積562平方キロメートルの地域である(図1)。南北に国道3号線、東西に国道442号線が走り八女市で交差しているのに加え、九州縦貫道が国道3号線と並行して走り、管内に八女、広川2つのインターチェンジを有しており、福岡市まで約50分、東京都心まで約20時間で農産物を輸送できる。また、管内西部にはJR鹿児島本線、九州新幹線も通り、交通の便に恵まれた場所である。

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年平均気温16.6度、年間降水量1953ミリ、年日照時間1702時間と年間を通して温暖な地域である。

水利は、管内中央を流れる矢部川および星野川から導かれたかんがい用水路とのう山脈のほっしん山を源泉にした広川があり、土性は砂壌土としょくじょう(注)で、肥沃で生産性が高くまた、平坦地では良質で豊富な地下水があり、施設園芸のかんがい水に適している。

このように、 自然豊かに恵まれた管内では、米・麦、みかん・ぶどう・なしなどの果、いちご・なす・トマトなどの野菜、電照菊・ガーベラなどの花き、そして茶の生産が行われている。特にいちごは、JAの販売高のトップに位置し、平成29年度のJAの販売高の24%を 占めている。

注:粘土が37.5~50パーセント混じった土壌。好適な土地条件とされることが多い。

2 産地の歴史と栽培品種

平成8年4月に、旧八女市・筑後市・旧立花町・広川町・旧上陽町・旧星野村・旧矢部村・旧黒木町の8農協が合併し、「福岡八女農業協同組合」が誕生した。農協合併に伴い、12年10月に部会員662名、栽培面積139ヘクタールの「福岡八女農業協同組合いちご部会」を設立した。

一層の技術力の向上と平準化、生産資材の共同購入による経費削減、県内一のロットによる有利販売に努め、販売高・販売数量ともに県域シェアトップとなり、全国のトップブランド「あまおう」を牽引している。

当地域では、昭和60年に「とよのか」を導入し、「博多とよのか」のブランド名で高く評価され、平成元年に福岡県は系統販売額日本一に、3年には販売単価は1キログラム当たり1318円までになった。しかし、10年ごろから他県で着色と食味が優れた「とちおとめ」、「さちのか」などの品種が普及すると、「とよのか」の販売単価は下落しはじめ、安売り商材として扱われるようになった。そこで、ポスト「とよのか」に変わる品種試験を行う。数多く実施してきた品種試験の中から、大玉で着色が良い福岡県農林業総合試験場の系統品種「福岡S6号」(商標:あまおう)の栽培を14年度に開始した。17年度に「あまおう」へ全面更新し、現在に至っている(写真1)。

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29年度のJAふくおか八女いちご部会の栽培面積は107ヘクタール、出荷量は4284トンで、市場販売額は63億2000万円である。部会員数は474名で、1会員当たりの平均面積は、22.6アールとなっている。

当地でのいちご生産は高く評価され、28年3月に第45回日本農業賞大賞(農林水産大臣賞)、同年11月に第55回農林水産祭内閣総理大臣賞などを受賞してい る。

3 栽培カレンダー

当JA管内のいちごの栽培カレンダーは、図の通り促成栽培で行っており、作型としては、低温暗黒処理と普通作型がある。低温暗黒処理は、冷蔵庫で苗を強制的に冷やし、花芽を誘導させる技術のことをいい、その技術を使った作型である。

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まず、11月初めに親株植付を開始し、6月にさいびょう(親株からの切り離し)を行う、8月中旬頃~9月上中旬頃に低温暗黒処理の夜冷処理を行い、その後、圃場に戻して生育し、11月~5月まで収穫する。また、いちごの生育や草勢維持は、日照時間に影響されるので、電照で日照時間の延長をし、厳寒期の草勢維持に務めている。

普通作型は、11月下旬に親株植付を行い、6月に採苗を行い、その後夜冷処理は行わず、12月中旬~5月中旬まで収穫を行っている(写真2)。

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4 販売活動

あまおうを高級いちごとして位置付け、高級百貨店や果実専門店、グレードの高い量販店などをターゲットにして、あまおうの特性を生かしニーズに沿った商品づくりと販売活動を行っている。

JAでは、あまおうへ全面更新決定後に、あまおうの高級感を表現する新規格の平パックやホールトレーの開発、消費者の期待を裏切らない商品を届けるための出荷選別基準の設定などを行った(写真3、4)。

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さらに部会員と関係機関が一体となって、あまおうの認知度向上のための広告宣伝やイベント活動、販売促進などを行い、販売の諸課題の改善に取り組んできた(写真5)。そうした取り組みにより、激化する品種間競争の中でもトップブランドとしての市場評価を得て、高級いちご「博多あまおう」ブランドを確立している。

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5 その他の活動

取引先からの多様なニーズに対応するため、平成11年に県内で初めてパッケージセンターを開設した。管内には、パッケージセンターが2カ所あり、平成29年の利用者は160名、取扱量1377トン、販売高20億4000万円である。

パッケージセンターの稼動により、取引先の要望に応じた多様なパック詰めが可能となり、また、いちごは収穫後の調製作業に時間を要するが、出荷者は、10アール当たり約450時間(個別調製2002時間→パッケージセンター利用1552時間)の労働時間の削減につながっており、労力軽減などに寄与している(写真6)。

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また、27年に開設したJA就農支援センターでは、新規就農者を毎年受け入れ、技術習得と、就農に向けた農地やハウスの確保支援を行っている。部会では、部会員が講師となり、栽培技術の指導のみならず、新規者に部会や地域行事への参加を促し、早く地域になじむような環境づくりを関係機関と連携して行っている。これまでに6名 が、就農している(写真7)。

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一言アピール

「あまおう」という名の通り、あかい・まるい・おおきい・うまいの4拍子そろった見た目も味も自慢のいちごである。また、当方の苺一笑(いちごいちえ)のスローガンの下、おいしさともに、笑顔を届けます。是非、福岡八女産の「あまおう」をご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:福岡八女農業協同組合 営農指導部 園芸指導課
 住  所:〒8340063 福岡県八女市本村422
 電話番号:0943231163 FAX:0943231243
 ホームページ:http://www.jafyame.or/jp


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