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今月の野菜

岡山県 JAまにわ
~シャッキリとした歯ざわりと風味と甘味が特徴の「ひるぜん大根」~

真庭農業協同組合 ひるぜん営農経済センター
営農指導課 係長 福富 栄寿


1 産地の概要

真庭農業協同組合(以下「JAまにわ」という)は、岡山県の最北西に位置し、北部は蒜山高原に代表される高原地帯、南部は旭川流域に平坦地が広がる地域を管轄としている(図1)。水稲を中心に野菜果樹、花きなどを栽培しており、米はアキヒカリや、ヒノヒカリ、野菜はひるぜん大根やトマト、果樹はピオーネやシャインマスカット、花きはソリダゴやリンドウなどを生産している。

その中でも蒜山地域は、岡山県の最北部、鳥取県との県境に位置し、中国山地を織りなす大山連峰の東に連なる蒜山三座と呼ばれる上蒜山(1202メートル)、中蒜山(1123メートル)、下蒜山(1100メートル)の山々に囲まれた標高400~600メートルの蒜山高原と呼ばれる高原地帯である。年間を通じて降水量が多く、冬は1~3月中旬ごろまで1メートル以上の積雪となり、冬の寒さが厳しい地域である

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平成29年のJAまにわ蒜山集送センター販売金額を見ると、だいこんが販売金額のトップを占め、次いでトマト、ミニトマト、キャベツなどとなっている(表1、写真1)。

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2 産地形成の歴史

蒜山地域の土壌は安山岩の風化したものに火山灰が混じった「黒ボク」で、酸性が強く作物の栽培には不向きであったが、戦後開拓者が入植し、だいこん(みの早生だいこん)を試作したところ、夏期冷涼な気候と軽しょう土(注1)という自然条件が栽培に適合し、良品が生産された。

その後、昭和30年代から「ひるぜん大根」としての出荷が始まり出荷量は増加していった。多い時で250名の生産者がいた時期もあったが、一時は、連作障害に苦しめられ、栽培生産者も減少した。現在は、青首系で連作に強い品種の選定や生産者の懸命な土づくりにより、連作に耐えうる技術を身につけ、高い品質を誇るだいこんを毎年出荷できるようになった。

当初は、夏だいこんの産地として知られていたが、栽培技術の発展と需要の増大により、5月下旬~12月上旬まで出荷できるようになり、だいこんの一大産地として知られるようになっている(写真2)。

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平成29年度の生産の概要は、表2の通りで、部会員15名、栽培面積が20ヘクタール、1会員当たりの平均栽培面積1.3ヘクタール、出荷量は972トン、1会員当たりの平均出荷量が65トンとなっている。

注1:整地や耕起にあまり労力を要しない軟弱な耕地表土。

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3 「こだわり大根」の栽培

ひるぜん大根の中でも、霜に遭わせて糖度を高めたものを「こだわり大根」と名付けて栽培している(写真3)。こだわり大根は、堆肥や緑肥をたくさん投入し、期間限定の寒締めだいこんで、味・肉質の良い品種を選定し、食味にこだわっただいこんである。品種は、冬職人、冬自慢、秋の翼を栽培している。

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番の特徴は「寒締め栽培」で、寒さから身を守るために昼間光合成で蓄えたでん粉を糖に変える野菜の働きを利用した栽培方法である。通常のだいこんより度高い糖度となり、甘味や風味が増し、まるで梨のような甘味とみずみずしさと、きめ細やかな食感が特徴である。また、煮物は、下ゆでをしなくても味が良く染み、おでんなどにすると、ふんわり柔らかい食感に仕上がるのが特徴である。

4 栽培暦

当地のだいこんの栽培暦は、図2の通りである。だいこんは、しゅ後55~60日後に収穫となる。春だいこんは、3月下旬~月に播種し、月下旬~6月に収穫する(写真4)。夏だいこんは、5~6月に播種し7月から収穫を行う。また、秋冬だいこんは、暑さが厳しい7~8月にかけて播種し、9月下旬から収穫を行う。寒さに当てるこだわり大根は、8月下旬から9月上旬にかけて播種し、10月下旬から12月上旬の収穫となっている。こうして時期をずらした播種や栽培管理を行うことにより、月下旬~12月上旬までの出荷を行っている。

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5 出荷量を維持するための取り組み

出荷は、主にJAを通じて、卸売市場に出荷している。大阪や岡山、山陰の市場に出荷しているが、岡山市場への出荷が最多となっている。こだわり大根は、地元からの要望が強く、岡山市場のみの出荷となっている。

ひるぜん大根は、真庭ブランド(注に認定されており、出荷が待たれる蒜山きっての特産品である。

他産地と同様に生産者の高齢化が進んでいる中、現在の出荷量を維持することが近年の課題でとなっている。生産者の作業の負担となっている間引き作業や収穫作業等を外部業者に委託し、労力軽減と栽培面積の維持に取り組んでいる。

また、前述したように高付加価値・差別化のため土づくりと品種・出荷期間を限定し食味を重視した「こだわり大根」の生産・販売に取り組んでいる(写真5)。

注2:真庭市がやさしい、おいしい、うれしいにこだわり、自然と環境を守りゆくことをモットーに認定しているブランド。

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一言アピール

みずみずしく、きめ細やかで真っ白な肌で、シャッキリとした歯ざわりと風味、甘味が特徴のひるぜん大根。本来の味が楽しめるサラダやスティックで食べるのがお勧めである。また、こだわり大根は、下煮をしなくても、味がよくしみこみ、おでんや煮物にすると、ふんわり柔らかい食感に仕上がるので、見かけたらぜひご賞味ください。

お問い合わせ先

 担当部署:JAまにわ蒜山営農経済センター 営農指導課
 
住  所:〒717-0505 岡山県真庭市上長田490-15
 
電話番号:0867-66-2540
 FAX番号:0867-66-4202
 ホームページ:https://www.ja-maniwa.or.jp/tokusan/hiruzen-daikon.html


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