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今月の野菜

産地紹介:石川県 JA金沢市~砂丘育ちのシャリっと甘い「金沢すいか」~

金沢市農業協同組合 営農部 園芸販売課 鈴木 恵理


1 地域の概要

金沢市農業協同組合(以下「JA金沢市」という)は、南北に長い石川県のほぼ中央に位置する金沢市を管内とし、霊峰白山に連なる山間の丘陵地帯や日本海に流れるさいかわ、浅野川の扇状地に広がる平野部および日本海に面した砂丘地帯とそれぞれ土壌条件が異なる農地で多彩な農産物が生産されている。主要な園芸作物はすいかを始めとして、だいこんやトマト、なし、ぶどうなどを地元である金沢市や北陸、関西、首都圏に向けて出荷している。すいかは金沢市の北西部に位置する砂丘地帯で栽培されており、昭和40年に完了した農業構造改善事業によってスプリンクラー散水による畑地かんがい施設が導入整備されたことで後作のだいこんとの作付け体系で急速に産地が拡大した(図1)

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当地域の農家戸数は130戸で、野菜を主体とした専業農家が大半を占め、若い後継者が多く就農しており、水稲が主体の北陸地域においては有数の畑作園芸地帯である。

露地野菜ではすいか、だいこん、さつまいも、施設野菜ではきゅうり、トマトを主体に経営しており、近年はストックや葉ぼたん、フリージアなどの冬季の切り花生産も増えている。また、金沢市が認定する伝統野菜である「加賀野菜」の主力を担う生産地でもあり、さつまいも(ろうじまきんときのほか、ふときゅうり、げんすけだいこん、うつあかがわあまぐりかぼちゃ、きんそうなどが栽培されている。

2 すいかの生産状況

すいかはJA金沢市管内においても農家数、栽培面積、販売額が最も大きい品目であり、JA金沢市砂丘地集出荷場を集荷・出荷の拠点として、下安原町・打木町からなる南部地区と粟崎町・大野町からなる北部地区の2地区で形成されており、県全体のすいか栽培面積の6割以上を占める県内最大の産地となっている。昭和30年代に春夏の表作にすいか、夏秋の後作にだいこんの露地栽培の栽培体系が確立し、40年代に灌漑施設や集出荷場が建設整備されたことで飛躍的に栽培面積が増え、ハウスや大型トンネルによって出荷の前進化や品質向上が図られ、大玉でおいしいすいかを安定生産できるようになった。また、海岸砂丘地で豊富な地下水を汲み上げ栽培しており、砂土特有の水はけの良さと昼夜の寒暖差が大きいことで歯触りの良いシャリ感とみずみずしい甘みがあるすいかの産地として評価されている。最近の生産状況は、作付面積、生産量、農家戸数ともに横ばいの傾向となっている(1)。

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3 産地栽培カレンダー

栽培は2月上旬にハウス栽培のしゅが始まり、3月中旬からハウス、大型トンネル、中型トンネルで順次、定植を行っている(図)。収穫は6月中旬から7月下旬まで行われ、北陸関西中京、京浜市場へ約42万ケースを出荷している。高品質の大玉生産を実現するため作型に応じた品種、栽培管理を行っている。

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 生産、栽培上の特色

砂丘土壌は保肥力、保水性が低く水や肥料の調節がしやすい反面、こまめな管理が必須である。特に水管理は重要でかん水チューブとスプリンクラーを時期に応じて使い分けている(写真2)。また、追肥作業は着果状況や草勢に応じて数回に分けて行っており、空洞果や変形果の発生を防ぐとともに収穫期まで樹勢を維持し、糖度や食感の向上に努めている。

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大型トンネル作型では、部分的に子づる切除を省略する省力的な整枝方法(注やミツバチによる交配を行っており、中型トンネル作型では株当たりの着果数が確認しやすい振り分け栽培(注を導入するなど、トンネル(露地)作型でも気象条件に左右されない大玉で高品質生産が可能な省力栽培技術を積極的に導入することで、主たる農家の作付け規模2ヘクタールを超える大規模な経営を実現している(写真3、4)

注1:子づるを切らずに遊びづるとして伸ばし省力化を図る。

注2:すいかを千鳥に定植して条ごとに同じ方向につるを誘引する方法。着果数と着果位置を容易に把握できるため摘果等の果実管理が簡便となり、果重と品質のばらつきが小さく、上物収量が増加する。

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 出荷の工夫

収穫適期を逃さず出荷するため玉毎に着果標識を立て、各農家の作型別・品種別に試し切りをして収穫日を決定している(写真5)。玉、玉丁寧にはさみで収穫し、一輪車や運搬車でじょうから搬出し、トラックに積み替えて集荷場へ持ち込んでいる(写真6)。

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集出荷場に持ち込まれたすいかは、選果ラインに載せられ4L~Mまでの重量別に分け、形状やキズを画像で判別し、内部センサーで糖度や空洞を判定し段階(秀、優、良、マル良)に選別して箱詰めされ各市場へと発送している。

 販売戦略

当地のすいかは、平成22年度に金沢市農産物ブランド協会の「金沢そだち(金沢産農産物)」(注に認証され、部会およびJAと連携しブランド育成とPRに努めている(写真7)。28年月にはこだま西瓜も加わり、大玉すいかとこだま西瓜あわせて「金沢すいか」となっている。また、販促ツールも工夫を凝らしており、地元市場だけではなく関西・関東など県外仕向先でも生産農家自ら販促活動を行っている他、地元保育園・幼稚園・小学校での食育活動、JA主催のすいか祭りや収穫体験などイベントを実施し、お客さまとのつながりを大切にしている。

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地元のすいかを使った加工品の開発も盛んで、すいか餅やすいかゼリーなどさまざまな商品が開発されている(写真8)。

注3:金沢の風土を生かして生産された、優れた品質や豊富な生産量を誇る農産物のうち、一定の条件を満たすものを、「金沢そだち」ブランドとして認証している。

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一言アピール

シャリっとあまい「金沢すいか」をみなさん食べてみまっし!

お問い合わせ先

 担当部署:金沢市農業協同組合 営農部 園芸販売課
 住  所:〒9200011 金沢市松寺町未591
 
電話番号:(0762373945
 FAX番号:(076
2370015
 ホームページ:https://www.is-ja.jp/kanazawa/


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