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産地紹介:山形県 JA庄内たがわ~在来種による加工用えだまめの取り組み~

庄内たがわ農業協同組合 営農販売部 園芸特産課長 奥山 和樹


1 地域の概要

庄内たがわ農業協同組合(以下「JA庄内たがわ」という)は、庄内平野の南西部に位置し、鶴岡市の一部(旧温海町、旧藤島町、旧羽黒町、旧くしびき町、旧朝日村)、庄内町(旧余目町、旧立川町)、三川町を管内とし、その地形は平野部から中山間部を有している(図1)。西側の平野部は日本海に面し海洋性気候の特徴を持ち、東側の中山間部は朝日連峰、出羽三山の麓に位置した内陸性の気候を特徴としている。平野部から中山間部の地域の特性を生かした米づくりを中心に、野菜・果樹・花きの他、養豚・肉牛・酪農などの畜産も盛んに行われている。

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庄内地方のえだまめは在来種である茶豆(さやの表面に茶色い毛があるタイプ)の栽培が古くから行われており、管内においては羽黒・櫛引地区を中心に盛んに行われてきた。近年は、転作田を活用した茶豆栽培が管内全域に普及してきたが、生産者の高齢化や、全国的なえだまめ増産の広がりによる市場価格の低迷や自然災害などにより生産面積の拡大が進まない状況にある。

飼料用米や加工用米に転作をシフトする生産者が多いで、えだまめに関しては加工向けが伸びているのが特徴である(表1)

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2 機械を使ったじかまき栽培と乗用型収穫機による面積拡大

庄内地方におけるえだまめの栽培は、茶豆という在来の品種を栽培し、味へのこだわりが強いことが大きな特色と言える。そのため小規模な面積での経営が多く、効率良く収量を上げるために苗を育苗し、定植を行う体系が一般的な栽培方法である(表2)。

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一方、数年前から、生産者の中で経営面積の拡大志向が高まってきたこともあり、生産者、JA、行政が連携しながら機械化体系によるえだまめ栽培の取り組みを進めてきた。機械化体系の導入に際しては、えだまめ栽培と類似している大豆栽培に注目し、既に体系的に確立していた大豆栽培の機械化作業をえだまめ栽培に応用した。機械化と従来の手法における栽培方法の大きな違いは、苗定植からしゅ機による直播栽培に転換したことである(写真1)。直播栽培の導入により効率化が図られ面積拡大へつながった。なお、直播栽培については、品種ごとの特性が収量を上げるためのポイントとなるため、品種毎に播種時期や播種体系の検討を行い直播栽培に対応した体系作りを実施している(表3)。

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栽培期間全般の管理作業は、大豆栽培で使用している除草機械や防除機械を転用して行っている。しかし、収穫については、大豆コンバインが使用できないため専用の収穫機を導入している。乗用型えだまめ収穫機については、部会内につあるえだまめ生産集団がそれぞれ所有しており、加工向けえだまめの収穫に使用している(写真)。現在、加工用えだまめを生産している68.26ヘクタールのじょうで17名の生産者が3台の乗用型えだまめ収穫機により収穫作業を行っている。乗用型えだまめ収穫機の導入以前は歩行式のバインダー型収穫機を使用していたため、1日当たり20アール程度しか収穫ができず、規模拡大には踏み切れなかったが、圃場において脱さやまで行う乗用型えだまめ収穫機の導入により1日当たり70~80アールの収穫が可能となり経営面積の拡大を実現した。生食用えだまめの収穫については、バインダー式収穫機を使い、手作業で脱さや、選別を行っている(写真3)

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3 生食用えだまめと加工用えだまめの出荷形態の違い

当地では、昔から規格外のえだまめをお菓子向けに出荷していた。えだまめは日持ちのしない品目であることから、生食用えだまめでは収穫直後に行う丁寧な手作業による選別や包装の処理能力が商品管理を左右する大きな要素となる(写真4)。一方、加工向けえだまめの規格は生食用より緩和されていることもあり、機械化の導入に伴う加工向けへの参入は自然な流れであったといえる。梱包についても、加工用えだまめでは袋詰め作業を行わず、選別後、コンテナにより出荷を行ってる(写真5)。機械の導入により、収穫から加工までの時間が短縮され鮮度を保持したまま、茶豆の風味を損なわず出荷先に供給することが可能となった。なお、品種については、生食用、加工用ともに同じ在来の品種を使っている。

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 加工用えだまめの用途

加工用えだまめは、主にお菓子の原料や冷凍えだまめに加工される。でてすり潰したペースト状にしたものを「ずんだ」と呼んでいるが、加工向けえだまめの多くは製菓店で原料えだまめから「ずんだ餡」に製造され、ずんだ餅やずんだまんじゅうとして販売されている。冷凍用えだまめは、加工工場へ作業を委託しており、JAの冷凍えだまめとして関東地域の量販店を中心に販売されている(写真6)

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近年、食味の良さから認知度も高まっている山形県庄内地方特産の「庄内ちゃまめ」だが、販路の拡大とともに、産地維持という観点から面積当たりの収量の拡大も引き続き努力していきたい点である。

一言アピール

当地の在来品種である「茶豆」は、さやの毛が茶色く小ぶりだが独特の甘みと濃厚な風味によりえだまめの中でも突出した存在となっている。生産においては、味や風味を損なわぬよう鮮度保持管理を徹底すると共に、山形県版GAPを導入し安全・安心な生産に取り組んでおります。
 庄内産えだまめをお見かけの際は、ぜひ、お召し上がり下さい。

お問い合わせ先

 担当部署:庄内たがわ農業協同組合 営農販売部 販売課
 住  所:〒9997611 山形県鶴岡市上藤島字備中下3-1
 電話番号:(0235644972
 FAX番号:(
0235644920
 ホームページ:http://ja-shonai.or.jp/


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