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今月の野菜

産地紹介:和歌山県 JA紀州
~春を告げるうすいえんどうの魅力~

紀州農業協同組合 みなべ営農販売センター 営農指導員 萩野 翔大

1 産地の概要

紀州農業協同組合(以下「JA紀州」という)は、平成26年にJAグリーン日高、JA紀州中央、JAみなべいなみのJAが合併して誕生した組織である。JA紀州は和歌山県の中央に位置し、御坊市、日高郡6町、田辺市龍神村からなる県下一の農業地帯で、日高川をはじめ大小河川の豊かな水資源と緑あふれる山々など、美しい自然の恵みを受け、一年を通じてさまざまな農産物が生産されている(図1)。

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野菜では高糖度ミニトマトの「赤糖房あかとんぼ」「優糖星ゆうとうせい」「王糖姫おとひめ」、西日本一の生産量を誇る小玉スイカ「ひとりじめ7セブン」、果樹では極早生高糖系みかんの「ゆら早生」、樹上越冬はっさくの「木成り八朔はっさく」「さつき八朔はっさく」などのブランド作物を生産するほか、花き栽培も盛んでスターチスは生産量が日本一、カスミソウも第2位となっており、野菜、果樹、花き生産の一大産地を形成している。特に、南高梅とうすいえんどうは日本一の生産量を誇り、「紀州みなべのなんこううめ」「紀州うすい」は地域団体商標も取得している。

JA紀州の平成28年度の総販売額は約104億円であり、その内訳は野菜類で約42億円(約40%)、果実で約28億円(約27%)、花き類で約30億円(29%)、その他で約4億円(約4%)となっている。その内うすいえんどうやきぬさやえんどうなどの豆類で15億5千万円(約15%)を占める。

2 うすいえんどう生産の概要

(1)生産地区

うすいえんどうの栽培地区については、みなべ町、印南町、御坊市、日高川町、美浜町、日高町、由良町と多くの市町村で栽培している。

うすいえんどうは、露地うすい(抑制うすい、春取りうすい、初夏うすい)、ハウスうすいと多くの作型で栽培しており、10月下旬から6月上旬まで長期間にわたり消費者に提供できる体制で生産を行っている。

うすいえんどうの栽培は、明治時代に米国から大阪府羽曳野市に導入されたことから始まったとされている。その後、当地で品種改良が行われ、温暖な気候が適していたこともあり、生産者が増加していった。

現在、当JAのうすいえんどうの栽培面積は、約90ヘクタールとなっている(表)。えんどう類では、うすいえんどうの他にきぬさやえんどうも全国有数の産地を誇っている。

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(2)作型

うすいえんどうの栽培体系は、8月上中旬にしゅし、10月下旬から12月に収穫する「抑制うすい」、9月上旬から10月に播種し、12月下旬から翌5月上旬まで収穫する「ハウスうすい」、10月に播種し、3月下旬から5月上旬まで収穫する「春取りうすい」、1月から2月に播種し、5月から6月に収穫する「初夏取りうすい」の4つの作型に分かれる。(図2)

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うすいえんどうは、連作障害が発生するため、栽培終了後ビニールをじょうの上に被せ太陽熱土壌消毒を行う。

(3)収穫・出荷作業

うすいえんどうは、収穫期になったら、さやを傷めないよう手で収穫する。収穫は、さやの付け根が白くなったり、中心が白っぽくなれば適期となる(写真1、写真2)。適期を目で確認しなければいけないため、今のところ手作業での収穫となる。収穫が手作業であるため、面積を多く栽培している方は、収穫繁忙期になると季節雇用も導入しての収穫作業となる。

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収穫後は、作業倉庫で級(実入り粒以上、形状・色沢良好で実入りの良いもの)(写真3)、級(実入りから粒、形状・色沢良好で実入りの良いもの)(写真4)、級(級以下の物)とさやを目で確認して選別する。JAに出荷後は、主に京阪神市場に出荷される。

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3 部会の取り組み・販売活動

当JAは合併して3年と比較的新しいJAだが豆部会連絡協議会を発足し、出荷物の一元販売を目標に取り組んでいる。

協議会では、出荷ごとの検査や地区別ぞろえ会、現地検討会、勉強会、FAXなどでの栽培管理や病害虫などの情報提供を行うことで、品質向上や経営の安定を目指している。

また、部会として食育や消費宣伝にも力を入れており、食育では小中学校や幼児園、老人ホームへの食材提供、消費宣伝においては、各イベントでの豆むき大会の開催、消費者や現地販売員に産地に来ていただいての収穫体験、テレビやラジオなどのメディアの取材対応を行っている。

販売活動についてはJA紀州では、価格を安定させるため、市場の関係者との情報交換を密にしている。また、需要期や出荷最盛期には、消費宣伝を積極的に行っている。

4 5月4日は「うすいえんどうの日」

うすいえんどうの収穫最盛期は5月のゴールデンウイーク頃となり、ゴールデンウイークの祝日「みどりの日」とうすいえんどうの「さわやかな緑」とをダブらせ中国語の数字で5「ウー」と4「スー」をかけて5月4日を「うすいえんどうの日」としている。地元では、うすいえんどうの早むき大会などのイベントが開催され、多くの方が訪れる。

5 おすすめ!さやのままグリルするうすいえんどうの丸焼き

うすいえんどうは、さやから出してしまうと一気に鮮度が落ちてしまいます。そこで、おすすめしたいのがさやのまま焼く丸焼きです。アルミホイルでさやごと包み、オーブントースターで15分程度、焦げ目が出来るくらい焼きます。粗塩を降り、えだまめのように召し上がって下さい。シンプルな調理方法ですが、うすいえんどうの魅力がぐっと引き立ちます。茹でて冷凍すれば長期保存も可能でいつでも食べることができますので、是非、うすいえんどうをお見かけの際はお試しください。

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一言アピール

うすいえんどうは、さやをとって中の実を食べる「実えんどう」の仲間で、実が大きくホクホクと甘みがあり、皮が薄くて柔らかいのが特徴である。関西では、春の野菜として親しまれており、豆ご飯や卵とじなどさまざまな料理に使用する。カリウムやβカロテンの他にも、ビタミンB1やビタミンC、食物繊維も含まれている。
 うすいえんどうの豆ご飯で春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ先

担当部署:紀州農業協同組合 みなべ営農販売センター
住  所:〒645-0001 和歌山県日高郡みなべ町東吉田602-1
電話番号:(0739)72-1174  FAX番号:(0739)72-1174
ホームページ:http://ja-kisyuu.or.jp/


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