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今月の野菜

長崎県 JAながさき県央
~活発な部会活動を展開する早生たまねぎ産地~

長崎県央農業協同組合 営農部
指導振興課 係長 南 康弘


1 地域の概要

長崎県央農業協同組合(以下「JAながさき県央」という)は、長崎県の南部に位置し、諫早市、大村市、東彼杵町、川棚町、波佐見町の2市3町を管轄としている(図)。気候は温暖で、年平均気温が16.3度、降水量2294ミリメートル、日照時間1866時間である。冬も比較的暖かく、降雪は数年に一度程度である。管内では、たまねぎ、ばれいしょ、いちごなどの野菜や畜産、果樹など多様な農業が展開されている。

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平成28年度のJAながさき県央(諫早地区)の販売額は、154億9600万円である。その内訳は、野菜66億5800万円(約43%)、畜産37億6900万円(約24%)、米15億1200万円(約10%)、果樹11億4300万円(約7%)などで、野菜が多くを占めている。たまねぎの販売額は2億8000万円で、野菜全体の約4%を占めている。

2 たまねぎの生産状況

JAながさき県央(諫早地区)のたまねぎは、多良山系山麓の丘陵地から諫早干拓を含む諫早平野で栽培されている。当JAのたまねぎ部会では、青果用超極早生たまねぎから加工・業務用たまねぎまで生産しており、9月中旬からしゅが始まり、11月から12月にかけて定植し、3月下旬から6月上中旬まで出荷する。

当地のたまねぎは、100年以上前の明治34年から栽培され、昭和48年に野菜指定産地の指定を受けたことで本格的な共販出荷が始まった。その後、選果場の整備など部会員の要望に応える取り組みを継続し、現在でもほぼ100%の共販率を維持している(表1、写真1)。出荷先を見ると、神戸、大阪、京都などの関西市場が70%、広島などの中四国市場が20%、福岡など九州市場が10%となっている。

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当部会でも部会員の高齢化により生産者が減少しており、平成10年には300名を超えていた部会員が25年には200名を割る状況となった。しかし、この間、機械導入による省力化などによって栽培面積は約70ヘクタールから90ヘクタールへと増加し、23年には出荷量が4000トンを突破した。また、新たに加工・業務用たまねぎの生産に取り組み、26年には販売額が4億円を上回った。直近、平成28年の部会員は176名で、作付面積は108ヘクタール、生産量は3116トンとなっている(表2)。

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部会では、8年に開始した生協との取引をきっかけに、安全・安心なたまねぎ生産を目指し環境に配慮した栽培技術を導入した。14年には残留農薬の分析を開始、15年には農薬散布履歴記帳を徹底させ、16年にエコファーマーの認定を受けた。さらに、22年からは、農作業工程におけるリスク管理や生産者の健康維持を目的とした長崎県版GAPの取得に取り組んでいる。

また、当地域には閉鎖性水域である諫早湾干拓調製池があり、水質の改善が課題となっていることから、たまねぎ収穫後にソルゴーなどの緑肥作物を栽培し、土壌の流亡を防ぐとともに、土壌分析の実施による適正施肥に努め、調製池の水質浄化に取り組んでいる。

当部会は、長年にわたり青果用早生たまねぎを生産してきたが、定植や収穫の作業に労力が集中し、栽培面積の拡大が難しい状態にあった。そこで、24年から出荷時期が遅いことから作型が延長され労力の集中が回避でき、定価格で出荷調製作業が簡素化されていることが特徴の加工・業務用たまねぎの栽培に取り組んだ(表3)。

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26年以降は(独農畜産業振興機構の公募事業である加工・業務用野菜生産基盤強化事業を活用し、栽培面積の拡大による所得の向上、経営の安定を図っている。

このほか部会では、総会や出荷協議会、支部別座談会、生産振興大会、出荷ぞろい会、品評会を開催するとともに、病害虫のための防除巡回や、新たな品種・肥料の検討会、新規機械の実演会など、活発な活動を展開している(写真2~4)。また、13の支部別座談会などを通じて意見の集約や調整を図り、部会員の総意による部会運営に努めている。

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3 販売促進活動

販売促進面では、関西地域の市場や生協での活動を継続的に実施している。地元の諫早でも、平成19年からつつじ祭りでの販売促進活動を継続している(写真5)。また、25年には宅配運賃500円を助成する「ワンコインPR配送のサービス提供」を開始し、26年にはサッカーJ2リーグの地元チーム「ビファーレン長崎」のホームでの試合における販売促進などを通して知名度向上に努めている。さらに、26年にイメージキャラクター「いさタマくん」の着ぐるみを作成し、各種イベントなどでのPR活動を行うとともに、27年にはイメージソング「あるある音頭」も製作した(写真6)。

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一言アピール

JAながさき県央のたまねぎは、よくな土壌で栽培されている。エコファーマーの認定や長崎県版GAPの取得など、安全・安心な生産に積極的に取り組んでいる。3月下旬から出荷されるみずみずしいたまねぎをぜひ味わっていただきたい。

お問い合わせ先

担当部署:JAながさき県央 営農部 指導振興課
住  所:〒854-0055 長崎県諫早市栗面町174-1
電話番号:(0957)24-3006 FAX番号:(0957)24-4764
ホームページ:http://www.janagasakiken-ou.or.jp/


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