◆一言アピール◆
当JA管内の生産者は、地域ごとにこだわりを持って長年しゅんぎく栽培に努力を重ねてきた。そうした日々の努力の結晶であるJA兵庫六甲の安心・安全なしゅんぎくを、この機会にぜひご賞味いただきたい。
◆お問い合わせ先◆
担当部署:兵庫六甲農業協同組合 営農経済事業部
住 所:〒651-1313 兵庫県神戸市北区有野中町2-12-13
電話番号:(078)981-6871 FAX番号:(078)981-0997
ホームページ:http://www.jarokko.or.jp
産地紹介:兵庫県 JA兵庫六甲
~都市近郊という立地を生かしたしゅんぎく生産~
兵庫六甲農業協同組合 神戸西営農総合センター
石井 康裕
兵庫六甲農業協同組合(以下「JA兵庫六甲」という)は、平成12年に9JAが合併して発足し、神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市、伊丹市、川西市、宝塚市、三田市、猪名川町の8市1町を管内としている(図1)。そのエリアは都市部から緑豊かな農村地域まで幅広く、各地区の特色を生かしたさまざまな農畜産物が生産されている。
平成28年度におけるJA兵庫六甲の総販売額は133億円であり、その内訳は米穀15億1600万円(11.4%)、野菜68億5800万円(51.6%)、畜産物44億5200万円(33.5%)などとなっている。しゅんぎくの年間出荷量(28年)は312.8トンで、販売額は1億7100万円(野菜全体の2.4%)である。
JA兵庫六甲におけるしゅんぎくの産地は、都市近郊に位置する神戸西地区と、西宮市や尼崎市、伊丹市といった都市部にある阪神地区の2地区が挙げられる。両地区とも消費地に隣接した産地であり、鮮度の良さを特徴としている。兵庫県内で生産量1位を誇り、全国で見ても6位と、一大産地を形成している。
神戸西地区では昭和40年ごろからしゅんぎくの生産が開始され、現在は伊川谷町、平野町を中心に栽培されている。しゅんぎくは、全国的には株の抜き取り栽培と茎の摘みとり栽培の二通りの栽培方法ある。神戸西地区では、根付きの束出荷、根切りのFG(袋詰め)出荷の二通りの荷姿で出荷しているが、いずれも株を抜き取る栽培方法が主流である(写真1、2)。
しゅんぎくの生産者は、こまつなやみずなといった軟弱野菜(葉物野菜)を生産するいくつかのグループに所属しているが、それぞれがルールやこだわりを持って、安心・安全な生産・出荷に努めている。中でも「こうべ旬菜軟弱野菜部会」は、神戸市が実施しているこうべ版GAPに取り組み、農薬や化学肥料を兵庫県の地域慣行レベルの半分以下にする減農薬・減化学肥料栽培など、安心・安全に配慮した生産を行っている。葉物野菜は鮮度が要求されるが、都市近郊産地という特性を生かし、新鮮なまま市場や量販店、直売所に出荷することで、高い評価を得ている。
阪神地区は、武庫川水系や猪名川水系などの水に恵まれ、砂地で排水性の高い土壌も相まって、江戸時代から野菜産地として発展してきた。現在は、農業を取り巻く厳しい状況に負けない低コスト経営を実現しており、消費地の中にあるという立地の良さに加え、生産者のたゆまぬ努力で都市農業として発展を続けている。
しゅんぎくは、当地では「菊菜」とも呼ばれ、特に冬場の鍋料理には欠かせない野菜である。通年栽培が可能で夏場でも生産されるが、3月から4月にかけて播種をする春まきと、9月から10月にかけて播種をする秋まきが基本であり、特に旬となる秋から冬の栽培が多い(図2)。しゅんぎくは、こまつななどアブラナ科の軟弱野菜に比べ葉柄がもろく、傷みやすいこともあり、出荷ピークは11月から翌3月となっている(図3)。
栽培品種や露地栽培か施設栽培かの違い、気温によっても生育期間は異なってくるが、春まきはおおよそ40日程度、秋まきは50日程度で収穫可能となる。
栽培品種は地域による違いもあるが、「中大葉春菊」「百万石」「菊次郎」などが選定されており、どれも葉の色が濃く香りの良いのが特徴である。
同じ圃場で収穫後すぐに次の作付けを行う連作が難しい品目であるが、土づくりなどの栽培の工夫により周年栽培を行う生産者もあり、グループで品質や収量の向上に取り組んでいる。
また、栽培面では、部会組織、県、市、JAが一丸となって化学肥料や化学合成農薬の削減に力を入れている。そのため、夏場の太陽熱消毒、防虫ネットやフェロモントラップの利用など、複数の病害虫防除技術の中でそれぞれの圃場に適したものを採り入れている。さらに、高温期はまばらに播種をすることで密植によって軟弱な葉が伸びるのを防ぎ、厳寒期は地温確保のために通気性のある被覆資材で覆う「べたがけ」を行うなど、季節ごとの栽培上の工夫が見られる。
阪神地区においては、軟弱野菜を年間5回作付けするが、多くの圃場が周囲を住宅に囲まれているため、それに配慮した工夫もなされている(写真3)。ほとんど毎作施用される堆肥は、袋入りの完熟した臭いの強くないものを使用している。かん水作業も、通行人や車にかからないように注意しながら、かん水チューブなどを利用して生育を揃えるように栽培している。農薬散布については、背負いのエンジン付きの動噴(動力噴霧器)による散布が主流であるが、極力使用回数を減らし、栽培方法の工夫による耕種的防除で対応するようにしている。トラクターなど圃場での機械作業も、朝9時以降に行うようにしている。
生産者は、収穫したしゅんぎくを出荷先に応じて異なる荷姿に調製した上で、各地区にある集荷場へ持ち込む(写真4、5)。持ち込まれたしゅんぎくは検品を経て、当日のうちに阪神間の市場へ出荷され、翌日には小売店などの店頭に並ぶ。
出荷用の資材は段ボールではなく、再使用可能なコンテナを使うなど、環境面の配慮がなされている。生産や流通の現場でコンテナがルールに則って循環するように、生産者やJA、市場などで「軟弱野菜コンテナー利用組合」を組織し、コンテナの在庫調査や回収運動を定期的に行うなど、円滑な利用に努めている(写真6)。
また阪神地区では、しゅんぎくが傷みやすいことを考慮し、結束帯は軽く結び、湿らせた新聞紙を敷いた上に直立させて出荷している。
出荷先は、阪神間の市場とスーパーのインショップ(地場産コーナー)が主流であり、神戸西地区では直売所でも販売している。市場出荷では、しゅんぎく生産者が在籍する複数の部会組織が、それぞれ異なる市場に出すことで所得の最大化を図っている。
市場出荷では、前もって数量の予約を行うことで、販売先を確保し、安定した価格の確保につなげている。インショップにおいては、出荷者が自由に売価を設定できるが、価格競争にならないよう、各売場ごとにリーダーを中心に相場管理を実施している。鮮度が強みとなり需要も多いことから、インショップを設ける店舗は増えつつある。
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当JA管内の生産者は、地域ごとにこだわりを持って長年しゅんぎく栽培に努力を重ねてきた。そうした日々の努力の結晶であるJA兵庫六甲の安心・安全なしゅんぎくを、この機会にぜひご賞味いただきたい。
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