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今月の野菜

産地紹介:北海道 士幌馬鈴薯施設運営協議会
(JA士幌町、JA上士幌町、JAおとふけ、JA木野、JA鹿追町)
~高品質ばれいしょの安定生産体制の確立を目指して~

士幌町農業協同組合 農産部 経済課


1 産地の概要

士幌馬鈴薯施設運営協議会(以下「協議会」という)は、北海道十勝地方北部の4町5JA(JA士幌町、JA上士幌町、JAおとふけ(音更町)、JA木野(音更町)、JA鹿追町)による組織で、ばれいしょの一元集出荷および一元販売を目的としている(図1)。協議会は、JA士幌町が経営主体および管理農協となっており、士幌町内にばれいしょの集出荷・貯蔵施設およびでん粉工場を所有し、それらはばれいしょコンビナートと呼ばれている(写真1)。生食ばれいしょ選果場(1カ所)は、選果機3台を有し、1日当たりの原料処理量は300トン、年間出荷量は10キログラムの段ボール製品で400万箱である。ばれいしょ貯蔵庫は、士幌町内に12棟あり、約13万トンの貯蔵能力を有する。また、埼玉県熊谷市に消費地集出荷施設があり、3棟で約2万トンの貯蔵能力を保有している。

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平成27年実績で、作付戸数653戸(生食・加工用615戸、でん粉用38戸)、作付面積5085ヘクタール(生食・加工用品種4895ヘクタール、でん粉用品種190ヘクタール)、取扱数量は24万4000トン(生食・加工用16万4000トン、でん粉用8万トン)である。また、生食・加工用ばれいしょの販売高は約100億円となっている。

昭和30年、JA士幌町が農村工業、農民工場の成功を旗印に、大規模連続式合理化でん粉工場を建設した。その後、過剰投資を避けながら生産者の利益を守る体制を構築するため、35年7月18日に当時の7農協(士幌、上士幌、鹿追、音更、木野、中士幌、駒場)が大同団結して「澱粉工場専属利用団体協約書」を交わし、士幌澱粉工場運営協議会を発足させた(経営主体および管理農協はJA士幌町)。これが協議会の前身となった。

2 生食・加工用ばれいしょの栽培

種ばれいしょは、管内の専門の生産者によって栽培され、3月下旬から4月上旬にかけて協議会の生産者に引き取られる。生産者はその後、種ばれいしょを催芽(育芽)し、4月中旬から5月中旬に植え付ける(写真2)。

慣行栽培では培土は着らい期に行うが、協議会では萌芽期前に行う早期培土に取り組み、収穫作業の省力化と規格内歩留まり向上を実現している(写真3)。

収穫は8月から10月にかけて行われ、腐敗、大小玉、緑化、奇形、傷・打撲などを基準に選別し、規格外品はでん粉用原料として集荷される(写真4、5)。

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3 出荷・販売

生食・加工用ばれいしょの年間販売数量は、減耗などを除いて約15万トンである。うち生食用は8月上旬から翌5月上旬まで、ほぼ全国の卸売市場の約100社向けに約4万トンを出荷している(図2)。生食用の品種は6種であり、男爵やメークイン、ホッカイコガネのほか、黄色系のとうや、キタアカリ、ひかるをリレー出荷している。ひかるは、長期貯蔵後に甘みが増して食味がアップするため、年明け限定出荷としている。

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加工用はきたひめ、トヨシロなど品種のほか生食用の選果裾物で、国内食品加工メーカーへ約11万トンを出荷している(表)。出荷期間は、ポテトチップス用が8月上旬から翌6月中旬まで、冷凍食品用は周年である。用途別の販売比率を見ると、生食用25%、ポテトチップス用48%、冷凍食品用(コロッケ、サラダ、フレンチフライなど)27%となっている。

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生食用、加工用とも、コンテナ単位で栽培履歴から貯蔵、出庫、品質検査のデータを一元管理するシステムを導入している。また、生食用では、荷役と輸送の効率化を目的とした一貫パレチゼーション輸送システムに取り組んでいる。これは、段ボールを積んだパレットのまま産地から市場へと輸送するもので、これまで積み込みと荷降ろしに要していた時間を大きく短縮した。加工用では、長期貯蔵品種の増産とエチレンガス処理導入による発芽抑制などにより、安定供給、高品質化を図っている。さらに、輸送をトラックから鉄道へモーダルシフトする省エネ事業に取り組むとともに、規制緩和車両(バラ緩和増トン車両)(注)による輸送体制を構築した。

 注:規制緩和車両とは、平成15年10月から実施された「分割可能貨物運搬車両の許可限度重量の引き上げ」(国土交通省)にのっとった車両のことを言う。

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4 おわりに

ばれいしょをめぐる情勢は大きく変化し、特に国産加工用およびでん粉用の需要が高まっている。そうした需要に応えるためにも、これまで培った貯蔵技術やインフラなどの強みを最大限に活用しながら、労働力対策や増産・販売対策などの諸課題を解決していきたい。具体的には、ICT(情報通信技術)や自操舵技術の導入、コントラクター(農作業受託組織)による作業構築などによって生産性の向上を図り、高品質で安全なばれいしょ産地としての発展を目指しているところである。

一言アピール

昼夜の温度差が大きい北海道十勝平野で育ったばれいしょは、でん粉をたっぷり蓄え、ポテトチップスや冷凍コロッケ、ポテトサラダ、フレンチフライなどはもちろん、レトルトカレー、カップスープ、即席めん、えびせんべいなど、さまざまな食品に使われています。

お問い合わせ先

担当部署:士幌町農業協同組合 農産部 経済課
住  所:〒080-1200 北海道河東郡士幌町字士幌西2線159番地
電話番号:(01564)5-5709 FAX番号:(01564)5-2879
ホームページ:http://www.ja-shihoro.or.jp/


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