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今月の野菜

産地紹介:大分県 JAおおいたほう事業部
~高齢者でも取り組めるにがうり栽培~

大分県豊肥振興局 生産流通部
野菜班 課長補佐 奈良 絵美


1 産地の概要

豊後大野市は、大分県の南西部にあり、大分市の中心部から南へ約35キロメートル、大野川の中上流域に位置している(図1)。起伏に富んだ地形と大小の河川による豊かな水資源に恵まれ、県内屈指の畑作地帯となっている。気候は南海型気候に属し、平地気候と山地気候のほぼ中間で、四季を通じておおむね温暖であり、平たん部の年平均気温は15~16度、年間降水量は1800ミリメートル程度である。

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こうした条件を生かし、水稲、葉たばこ、かんしょ、しいたけ、畜産など、古くから農業を基幹産業として発展してきた。近年は、野菜ではピーマン、かんしょ、白ねぎ、夏秋なす、さといも、にがうり、花きではスイートピーなどが導入され、園芸作物の複合経営化が進んでいる。

平成22年の豊後大野市の総農家数は4396戸で、市の世帯数の約30%を占めているが、高齢化と併せて年々減少傾向にある。

大分県では、20年に県内16のJAが広域合併して大分県農業協同組合(以下「JAおおいた」という)が誕生した(後にもう1JAが合併)。豊後大野市(JAおおいた豊肥事業部豊後大野管内)の28年度の野菜・果樹・花きの総販売額は16億3900万円であり、うち、野菜は14億7900万円と、の約割を占めている。

2 にがうり栽培の歴史

豊後大野市のにがうり栽培は、平成8年に、生産者17名、栽培面積80アールから始まった。13年のNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の放映がきっかけとなって全国的ににがうりブームが起こり、消費と生産が一気に伸びた。当市でも15年には、生産者185名、栽培面積1556アールまで拡大したが、28年度の生産者は69名、栽培面積は768アールであり、出荷量は約245トン、販売金額は約7400万円となっている。ここ年で、生産者数は減少しているものの、栽培面積と出荷量は28年度に増加に転じた(図2、3)。生産者の平均年齢は70歳で、1戸当たりの栽培面積は5アールから30アールまでであるが、平均では11アールとなる。夫婦2人での栽培が主体である。

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栽培開始当初はにがうりの曲がり防止に分銅を吊していたが、現在では専用の整形容器である「スマート」を使用している(写真1)。栽培棚も、当初は竹類を組んだ簡易なものであったが、14年には鉄骨の栽培棚が導入され、現在では全戸がこの鉄骨棚かネットで栽培している(写真)。

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作型は、4月中旬に定植し、6月下旬から10月上旬に収穫する露地栽培がほとんどであるが、ごく一部でハウス栽培による促成や半促成、露地栽培での抑制がある。産地としての出荷は5月中旬から10月下旬まで、出荷のピークは8月中旬である(図)。

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3 生産・栽培上の特色

品種は、草勢が強く、雌雄花の着生が良く連続着果が可能なため収量が多い「えらぶ」のみを使用している。着果を確認したら追肥を開始する。また、果実への採光を確保するために、草勢が強い時期に側枝を除去し、果実の色、ツヤを良くする。つるの上げ方は、ほとんどの生産者が垂直で、つるを棚の上まで早く伸ばし、収穫できるようにしている。主な害虫はウリノメイガとハスモンヨトウで、夏の終わりから秋に多発するため、初期防除の徹底を呼びかけている。

植え付け本数は、10アール当たり100本が基本であるが、栽培面積や仕立て方、労力を勘案して決めるため、生産者間でかなりの幅がある。従って、収量の比較は面積当たりではなく、本数当たりとしている。

4 出荷と販売の概要

生産者は、出荷当日の早朝に収穫して個別選果し、3キログラム箱入りで出荷する(写真3、4)。1本の重さ270~400グラムを収穫の目安としている。選果に当たっては、長さ、光沢、色、曲がり、病害虫、傷みなどに注意し、市場評価を高めるように努めている。また、安全・安心への取り組みとして、生産者全員による防除暦の提出、JAによる防除暦の確認、出荷前の残留農薬検査を行っている。

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出荷先は、大阪、神戸、広島、岡山、福岡、大分の各市場で、出荷量の50%以上が関西向けである。ここ3カ年の平均単価は1キログラム当たり303円であり、安定した価格を維持している。

にがうりは、露地栽培が主体であるため天候に左右されやすい面もあるが、JAおおいた豊肥事業部豊後大野ゴーヤ部会では現地検討会や研修会を開催し、栽培技術の向上に努めている(写真)。さらに、販売力の強化に向け、市場担当者と生産者が直接言葉を交わす機会を設け、販売情勢や取引について協議する販売促進活動を行い、安定的な出荷を目指している。

こうした取り組みを重ねる中、1戸当たりの面積は少なくとも、植え付け本数を増やす、あるいは、畝間を広げて根域を広くとることで収穫量を上げ、所得を確保する生産者も少なくない(写真6)。また、にがうりの栽培は労力的な面でも過重な負担とはならず、高齢者でも比較的取り組みやすい品目となっている。個々の目標に沿った経営を実現することによって生産者の減少に歯止めをかけ、信頼される産地として持続し続けることが期待される。

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一言アピール

豊後大野で育ったにがうりは緑色が濃く、苦味が少ないシャキシャキとした食感で日持ちも優れている。これからも、消費者の方々に求められるような信頼できる産地作りに努めていきたい。豊後大野市産のにがうりを見かけた際には、ぜひご賞味いただきたい。

お問い合わせ先

担当部署:大分県農業協同組合 豊肥事業部 営農部園芸課 豊後大野班
 住  所:〒879-7105 大分県豊後大野市三重町芦刈965-20
 電話番号:(0974)22-2121 FAX番号:(0974)22-2299
 ホームページ:http://www.jaoita.net/ja-oita.html


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