[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

今月の野菜

産地紹介:青森県 JA十和田おいらせ~
日持ちが良く、食感に優れるミネラルにんにく~

十和田おいらせ農業協同組合
指導やさい部 部長 馬場 義満


 産地の概要

十和田おいらせ農業協同組合(以下「JA十和田おいらせ」という)は青森県の東部に位置し、主要都市の青森市へは60キロメートル、八戸市へは30キロメートル、空の玄関口三沢空港へは20キロメートルの位置にある。

平成20年、十和田市農業協同組合、ももいし農業協同組合、下田農業協同組合が合併してJA十和田おいらせが誕生した。さらに、平成22年月には八甲田農業協同組合、横浜町農業協同組合、はまなす農業協同組合と合併し、村に及ぶ広域JAとなった(図)。

030b


JA十和田おいらせの北部地域は、おそれざんかまふせやまを代表とする山間部が多く、南部地域は平たんな台地(海抜65メートル)で、西方に八甲田連峰がそびえ、十和田湖を源とする奥入瀬川が流れる自然豊かな環境を誇っている。本店のある十和田市の気候は、年平均気温が9.7度、年間降水量が1100ミリメートルであり、冬は晴天の日が多く、県内では積雪量が少ない地域である。しかし、月から月にかけてはオホーツク海高気圧によるやませ(偏東風)が吹くことがしばしばで、気温が平年より5~6度も低い日が続き、農作物に大きな被害をもたらすこともある。

農業形態をみると、北部地域は酪農を中心とした畜産農家が多く、南部地域は稲作を中心に畑作、野菜、畜産などといった、気候や土壌などの環境条件に適合した多様な経営形態が形成されている。

JA十和田おいらせの平成27年度の販売金額は、米穀類38億4000万円、野菜96億3000万円、畜産59億円などとなっている。野菜では、にんにく22億7000万円、ながいも21億9000万円、だいこん11億1000万円が主力であり、この品目で野菜全体の約割を占めている。

 管内のにんにく栽培

JA十和田おいらせ管内のにんにく栽培は、昭和50年代にマルチ栽培が始まった頃に本格的に開始された。記録によると、昭和55年の栽培面積は62ヘクタールであり、生産者数649名(旧十和田市農業協同組合管内)とある。当時は定植から収穫・調製作業の全てが手作業であり、戸当たりの栽培面積は約10アールであった。現在(平成27年度)の登録面積は380ヘクタール、生産者数は700名であり、戸当たりの平均栽培面積は当時の約倍である55アールとなっている(図)。栽培管理の効率化、特に畦立て、定植、収穫作業の機械化が、戸当たりの栽培面積を増加させたと言える。また、27年度の出荷量は1606トンである。

031b


にんにくは、月下旬から10月上旬に植え付けし、月下旬から月上旬にかけて収穫する(図)。10旬までは乾燥品を出荷し、その後は冷蔵貯蔵したものを順次出荷している。

JA十和田おいらせで作付けされている品種は、寒冷地で栽培が可能な福地ホワイトである。優良種子を確保するため、JAが所有する農業技術センターのじょうで年間約30万球のにんにく種子を栽培し、生産者へ供給している(写真1~2)。JAでは、優良種子の供給により、栽培面積の確保と農家所得の向上を目指している。

031c


031a


032a


 土壌診断とミネラル野菜の取り組み

JA十和田おいらせでは、昭和56年のコンピュータ処理システムの導入時より、土壌診断を本格的に実施している。しかし、平成10年までは分析に関しては手作業だったため、にんにく圃場を中心に年間400点の診断であった。そのため、10年に国庫補助事業で約4000万円の高性能土壌分析機を導入し、さらに22年には「強い農業づくり交付金」を活用して自動前処理装置を含む高性能土壌分析機を約5000万円で導入した。その結果、多量要素から微量要素までの高度な分析が可能となり(処理能力:微量要素含む19項目、人当たり40点、年間分析点数約3500点)、生産者ニーズに対応している(写真)。

032b


特徴ある産地作りを目指し、12年に大手スーパーより産地指名を受けたのを契機に始まったのが、十和田ミネラル野菜の取り組みである。ミネラル野菜とは、従来の窒素、リン酸、カリウムに偏った施肥体系を改め、足りない微量要素などを補って土壌のバランスを良くすることをポイントとして栽培した野菜である。そうした栽培により、生命力にあふれた野菜が少ない肥料ででき、また病害虫にも強くなる。大手スーパーからは、「日持ちが良い、食感が良い」と高い評価をいただいている。

JAでは、このミネラル野菜に取り組むにあたり、次のつの要件を示している。

①土壌診断の実施

生産者は、作付前に土壌分析室による土壌分析を圃場ごとに必ず行い、処方箋に基づいた施肥を行わなければならない。

②ミネラル資材の投入

同時に、JA指定のミネラル資材を圃場ごとに施用する。土壌分析の結果は圃場ごとに異なるため、ミネラル資材の施肥基準も圃場ごとに変える。

③出荷前の糖度測定

品目ごとに糖度の基準値を設定し(にんにくの基準値:Brix値35以上)、出荷時にこの基準値をクリアする。基準値に満たないものは、ミネラル野菜として出荷することはできない。

こうした取り組みにより、生産者にとっては作りやすさ、品質の高さ、安定多収を実現すること、消費者には日持ちが良くて甘味がある野菜を提供することを目的としてる。販売面では、量販店の棚を常時確保し、「確実に売れる野菜作り」を目指している。20年度からは、ミネラル野菜のキャラクター「TOM-VEGE」を作成し、ミネラル野菜のPRと有利販売に努めている。

 集出荷体制と販売戦略

にんにくの集荷は管内カ所にある野菜センターで行っている。月から10月にかけての収穫や出荷の最盛期には、一部の集荷所では時から20時まで、毎日集荷を行っている。JA十和田おいらせのにんにくは、11月以降は冷蔵後の発根・発芽を抑制するために熱処理を行うことにより、周年出荷が可能となっている(写真)。集荷したにんにくは、全国の卸売市場などへ出荷するとともに、ネット通販でも販売している。

ミネラルにんにくは10キログラムのバラ詰め出荷とし、選別やキログラムのネット詰め作業の労力軽減を図っている。また、消臭加工を施した「TOM-VEGEプレミアムにんにく」を開発し、付加価値の向上とブランド化を図るとともに、加工用にんにくについてはJAが買取りを行っている。加工品としては、プレミアムにんにくを原料とした「プレミアムにんにくパウダー」や「にんにく魂」(飲料)を商品化し、ネット通販などで販売している(写真)。青果の販売では、関東を中心に「日本野菜ソムリエ協会」と連携して店頭やメディアでの販促活動を展開し、生産者の手取り向上を目指している。

033a


033b


一言アピール

TOM-VEGEプレミアムにんにくは、食後数時間でにんにく臭が気にならなくなる優れもので、いつでもおいしく食べられるにんにくです。また、プレミアムにんにくパウダーは手軽に使え、パスタなどとの相性が抜群です。ぜひ、お試しください。

お問い合わせ先

担当部署:十和田おいらせ農業協同組合 指導やさい部 指導課
 住  所:〒034-0081 青森県十和田市西13番町4-28
 電話番号:(0176)23-0339 FAX番号:(0176)23-0394
 ホームページ:http://www.jatowada-o.or.jp/


今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ