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(野菜情報 2014年11月号)

今月の野菜

産地紹介:茨城県 なめがた農業協同組合
     温暖な気候と豊かな土壌が生み出す
     「なめがた」のみずな

なめがた農業協同組合
営農経済部園芸流通課 坂本 敏幸

1 産地の概要

 なめがた農業協同組合(以下、「JAなめがた」という。)は、茨城県の南東部に位置し、霞ヶ浦および北浦に挟まれた半島状の地形で、両湖岸および南端には平たんな水田地帯が広がり、中央部は、火山灰土からなる平地と起伏に富んだ傾斜畑作地帯に大別され、全国的にも数少ない立地条件となっている(図1)。年間平均気温は14度と温暖で、耕作地は9210ヘクタール、うち57%が水田となっている。農業粗生産額のうち野菜部門が52%と、管内は野菜園芸を中心とした農業地帯となっている。

 水田地帯では、せり、れんこん、施設園芸のいちごおよびきゅうりが栽培されており、畑作地帯では、かんしょおよびごぼうによる土地利用型経営と、みずな、ちんげんさい、エシャレット、みつば、しゅんぎく、ほうれんそうなどの軽量野菜による集約、周年出荷型経営のほか、大葉専作経営が行われ、年間60品目の野菜を生産している。これにより当地域は、首都圏消費地から70キロメートルという地の利を生かし、生鮮食料品の多品目供給基地としての役割を果たしている。

 また、みずなについては、平成25年度の出荷量が1960トン、生産者数が58名となっている。

2 みずな栽培導入の経緯

 JAなめがたにおけるみずな栽培は、平成8年、市場の紹介により管内の玉造地区で導入したことに始まる。当時は、露地で冬中心に栽培されていたが、JAなめがたでは、ハウス栽培により周年出荷を可能にした。なお、当時は主に漬物用として販売されていた。

 その後、13年に東京の市場から、大手量販店がみずなの新規産地を探しているので取り組んでみてはどうかとの打診があり、管内北浦地区でも栽培を開始した。 この時、量販店および市場側が求める要求を満たすための品種選定、栽培方法、出荷規格の確立など、すべてゼロからのスタートであった。

 JAなめがた管内には、「JAなめがたみず菜部会」(部会員数20名)と「行方市北浦みず菜部」(同38名)の2つの組織がある。なお、北浦みず菜部については、北浦地区の管内に居住する組合員で、趣旨に賛同すれば所属する出荷組合にかかわらず、誰でも加入することができる。

 両部会とも、生産者全員に対して栽培履歴の記録を徹底させるとともに、市場などの取引先と密に情報共有を図ることで、市場、量販店および消費者ニーズに対応している。また、取引先へより高鮮度のみずなを供給すべく、元旦を除く年間364日、連日の出荷体制が確立されている。さらに、年間および週間出荷計画の作成、目揃会、栽培講習会、現地検討会の実施などの活動により、安定供給と技術向上を図っている(写真1)。

3 生産・栽培上の特色

 JAなめがたのみずなは、上述の通り、ハウス栽培により周年出荷体制が確立されている。また、年間を通して、若採りおよび小株での収穫にこだわって栽培している。

 特に厳冬期は、初期生育を促進させるため、育苗を行ってからほ場へ移植している。さらに、ハウス内の加温を行い、生育日数が長引かないように心掛けている。こうした努力により、年間を通して、厳冬期でも柔らかく、エグミの少ないシャキシャキのみずなを出荷している。

 また、環境に配慮した農業の取り組みとして、農薬の適正防除や防虫ネットの設置など、減農薬栽培技術の普及を推進している。これにより、生産者全員が茨城県のエコファーマー認証を受け、減農薬、減化学肥料栽培に取り組んでいる。

4 出荷の工夫

(1)出荷規格の徹底

 出荷規格の統一を図るため、毎月1回目揃会を実施するとともに、通常の出荷の中で、JA職員が無作為抽出による検査を実施し、規格および品質の徹底に努めている(図2、写真2)。

(2)安全・安心の確保

 出荷伝票が生産履歴を兼ねていることで、出荷の都度、生産履歴が提出されるようになっている。これにより、消費者などに対する栽培情報の提供や、迅速なクレーム対応ができる体制となっている。

 また、GAPの導入にいち早く着手しており、今年で8年目となった。定期的な監査を年2回行うことで、食の安全と消費者の信頼確保に関する意識を高め、単なる「農産物」ではなく、食卓で直接口にする「食料品」を扱う意識で、生産および出荷に取り組んでいる(写真3)。

(3)安定出荷への取り組み

 元日以外は、連日出荷しているため、消費地に対するみずなの出荷が途切れることのないよう、計画的なは種を行っている。

5 販売戦略

 出荷計画の検討および策定として、ハウスごとのは種実績報告を受けて収穫を予測するとともに、各生産者が提出する次週の販売計画票を集計し、計画出荷、継続安定出荷に努めている。

 安定した販売体制として、周年の値決めによる量販店との契約販売も行っている。特別規格として、少量の100グラム20袋入の対応や、業務用向けにバラでの出荷対応も行うなど、さまざまなニーズに対応している。また、鮮度保持対策として、主に、量販店向けのコールドチェーンを徹底している。さらに、量販店などの集配センターへの直送や休市日の特別注文への対応など、取引先が必要とする時に出荷できる体制を構築している。

 また、部会員による販売推進活動として、料理レシピの作成、PRビデオの作成、量販店での試食消費宣伝などを行っている。特に試食消費宣伝では、生産者自ら量販店の売り場に立ち、消費者にみずなのいろいろな食べ方を提案している(写真4)。

一言アピール

 「なめがたのみずな」は、生育期間を短くし、小株で収穫することで、柔らかく、エグミが少ない。定番の鍋料理のみならず、サラダでもおいしくいただくことができる。柔らかくシャキッっとした食感を、ぜひ一度ご賞味いただきたい。

お問い合わせ先

なめがた農業協同組合 営農経済部
住所:〒311-3835 茨城県行方市島並857-35
TEL 0299-72-1880 FAX 0299-72-1113
Eメールアドレス: jan-eino@aipha.ocn.ne.jp

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