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(野菜情報 2013年4月号)
 JAたまな 荒尾地区(スナップえんどう)

~安全・安心はもちろんのこと、収量安定と品質の向上に向けて栽培体制を構築~



JAたまな 指導販売部  荒尾市地区統括班長 坂田 昇



 

産地の概要

 玉名管内は、有明海と金峰山、小岱山に囲まれた熊本県の北西部に位置し、気象条件は、年平均気温16度前後、年降水量は1,800ミリと、比較的温暖な気候です。
 平坦水田地域ではトマト・いちごなどの施設園芸が盛んで、中山間地ではみかんなどの果実類が栽培されています。
 荒尾市は福岡県に隣接し、ジャンボ梨が代表的な作物で、種苗業者からの勧誘がきっかけで、平成12年からスナップえんどうの栽培を始めました。高齢化、品目転換農家による小物野菜の希望者が増加する中で、これまで一寸そらまめが栽培されてきましたが、より収益性の高いスナップえんどうを導入することにより、経営の安定を図っています。
 荒尾市では、特産の梨農家が収穫後の冬の空いた時間に取り組む生産者もいて、周年雇用ができることで経営も安定してきました。
 スナップえんどうは、生産と出荷に比較的労力がかからないことが特徴の一つです。トマトやいちごの作業が負担になった高齢の生産者が取り組める作物として、荒尾市のほか、玉名市天水町や玉東町などでも面積が増加し、現在はJAたまな管内で約6ヘクタールの栽培面積となっています。

生産・栽培上の特色

1. 長期出荷、規模拡大の取り組み

 作型は、寒気と霜よけ程度のハウス省加温栽培で、秋から春までの長期出荷を実現しました。(図1)
 9月上旬に種をまき、11月上旬から収穫が始まります。最盛期は3~4月で、気温が上がる5月半ばまで続きます。
 栽培の特徴は、親づるから子づる、さらに孫づるまで成らせる「追いかけ取り栽培」に取り組んでいることで、出荷期間の長期化と収量アップにつながっています。(写真1、2)
 10アール当たりの収穫量は導入当初1.4トン程度だったものが、仕立て技術の向上により、親づるだけでなく子づる、孫づるからも収穫が可能になり、現在では10アール当たり平均3.0トンまでに倍増しました。
 10アール当たりの収量が高いことから、この仕立てを見に県内外からの視察が多くなりました。また、新規就農でスナップえんどうの栽培を行う若い生産者がでてきており、規模拡大につながっています。

2. 環境にやさしい農業への取り組み

 全農家の土壌分析を行い、施肥設計を行うとともに条施肥によるコスト低減に取り組んでいます。
 病害虫に対する有効な登録農薬が少ないため、農薬のローテーション散布による防除体系の確立を図るとともに、定期的予防や生物農薬等の人体に害の少ない農薬を使用し、効果的かつ減農薬に努めています。
 スナップえんどうは連作栽培を嫌う代表的な作物です。排水対策や収穫後の土壌消毒を徹底し、新技術にも積極的に取り組んでいます。
 連作障害を回避するため、有機物投入や短期輪作としてソルゴー栽培を行うなど、土づくりに努めています。

3. 講習会・現地検討会の開催

 栽培技術の向上と技術の平準化を目的に、栽培期間を通して、管理のポイントとなる時期に講習会ならびに現地検討会を開催しています。(写真3)
 また、定期的な講習会以外にも、集荷所では生産者同士の情報交換が活発に行われています。

出荷の工夫

1. 規格、階級による箱詰めの省力化

 平成12年当初は1キログラム箱のみの出荷体系でしたが、現在は、生産者の生産効率向上のために2キログラム箱の規格を設け、階級は秀品のL、M、そしてA品の3規格となっています。
 また、市場との連携によって、4キログラム箱のバラ詰め販売も新たに設け、顧客のニーズに対応できるよう努めています。

2. 品質保持のための収穫方法、保存方法

 品質統一のために目揃え会を開催し、生産者全体で品質向上を図っています。(写真4)
 栽培、収穫、販売にあたっては、品質が良い状態で出荷するため、収穫は果梗を1ミリ程度残しハサミで切り、さやに極力手を触れないで整列詰めにしています。(写真5)
 朝昼に収穫したスナップえんどうは、その日の夕方に荷受けをして次の日に出荷するため、予冷を行い鮮度保持に努めています。

3. 契約販売、ブランド化への取り組み

 顧客に求められる体制を生産者、JA間で連携して構築し、顧客に対して12月から4月まで数量、価格、規格、階級を固定設定し、取引を行っています。顧客にとっては数量の確保と販売価格の安定、生産者にとっては契約による価格安定のメリットがあります。
 出荷箱にはゆるキャラの「くまモンのマーク」を付けて、念入りな等階級選別による厳選出荷を行い、他産地との差別化を図っています。
 また、生産履歴記帳の提出やくまもとグリーン農業生産宣言の認証をうけて、安全・安心に努めています。(写真6)

一言アピール

 スナップえんどうは、
 ①さやごと食べる甘くて、歯切れよく、とっても美味しい野菜
 ②サッとゆでるだけで出来上がり。炒め物にも美味しく便利な野菜
 ③子供からお年寄りまで、みんな大好き
 ④市場・スーパーで引っ張りだこの売れ筋野菜
 スナップえんどうは、熱湯に1分ゆでて、すぐに冷やすと緑色が鮮やかになります。マヨネーズやドレッシングなどにつけて食べるのが一番美味しい食べ方だと思います。

問い合わせ先

玉名農業協同組合 荒尾市総合支所 指導販売部
〒864-0163 熊本県荒尾市野原110
TEL 0968-68-4444
FAX 0968-68-6712

 
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