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大分県(ピーマン)

~「西日本一の夏秋産地」~

大分県農林水産部研究普及課 広域普及指導班 主幹 甲斐 寿美徳



 大分県および産地の概要

 大分県は、九州の北東部に位置し、北側は周防灘、東側は伊予灘、豊後水道に面しています。
 「九州の屋根」と呼ばれるくじゅう山群をはじめ、由布・鶴見・祖母・傾などの山々が連なり、県内の南北にかけては霧島火山帯、西北にかけては白山火山帯が走っているため、県内いたるところで温泉が涌出しており、泉源数は日本一です。
 耕地は標高0メートルから1,000メートル近くまで分布し、耕地面積の約70パーセントが中山間地域に位置する起伏の多い地勢にあり、米を基盤に野菜、果樹、花卉の園芸作物や肉用牛を中心とする畜産など、各地域の立地条件を生かした多様な農業が展開されています。
 大分県のピーマンはそのほとんどが初夏から秋にかけて出荷される夏秋栽培であり、当初高地を中心に露地栽培で行われていましたが、昭和40年代から県中南部を中心とした中間地でも栽培が開始され、斑点細菌病などの病害対策として雨よけ栽培を導入してから生産が安定し産地が拡大していきました。平成21年産の夏秋ピーマンの状況は作付面積97ヘクタール、生産量4,250トンで生産量で見ると全国第4位、西日本では第1位の産地となっています。

 生産・栽培上の特色
(1)栽培方法と品種

 県内産地は雨よけ(ハウス)栽培が主流で、一部露地栽培があります。品種は雨よけ栽培が「さらら」、露地栽培が「みおぎグリーン」で、果皮色が濃く果形が良いのが特徴です。

産地栽培カレンダー

間口5.4メートル(6メートル)

間口3メートル

トンネル(1.8メートル)

露地

(2)ハウス形態と裁植様式

 県下では産地別に大きく3とおりのハウス形態および露地による栽培が行われており、コスト・作業性の違いからそれぞれ一長一短があります。

(3)土つくりおよび定植準備

 たい肥は10アール当たり5~7トン程投入し、基本的には土壌診断結果に基づき土壌改良と施肥を行います。また、青枯病や白絹病などの土壌病害が発生したほ場や連作を行っているほ場では、土壌消毒を行います。
 定植の2週間前までに元肥を施肥し、前出のハウスの形状に応じて畦幅120~180センチ程度の畦を作り、灌水チューブを設置してマルチを張ります。

(4)定植

 ハウス栽培で3月上旬、露地栽培で4月下旬頃から定植を行い、定植後、活着するまでは過湿にならないように灌水し、生育に応じて灌水量を調整します。ハウス栽培では初期生育を確保するために、不織布や、ビニールなどでトンネル被覆を行います。
(5)ほ場管理および収穫
 摘花は第2分枝までの幼果(花)を除去し、第3分枝の幼果(花)は草勢により除去するか判断します。県内には糸つり誘引とネット誘引があり、作業性からそれぞれ一長一短があります。収穫は5月から11月と長期にわたるため取り遅れて草勢が低下しなようにM果(規格のMサイズ)取りを心掛けています。

(5)ほ場管理および収穫

 摘花は第2分枝までの幼果(花)を除去し、第3分枝の幼果(花)は草勢により除去するか判断します。県内には糸つり誘引とネット誘引があり、作業性からそれぞれ一長一短があります。収穫は5月から11月と長期にわたるため取り遅れて草勢が低下しなようにM果(規格のMサイズ)取りを心掛けています。

JAおおいたの集出荷場

 出荷の工夫
(1)広域共販の取り組み

 夏秋ピーマン販売量西日本一のメリットを活かすため、平成19年度に大分県夏秋ピーマン連絡協議会を設け、県下産地が連携した共選・共販の取り組みを進めており、県下の6つの部会組織が1つの組織として販売する体制を目指しています。これまで各部会お互いが夏秋ピーマンのライバル産地であったため解決すべき課題も多々ありますが、一元分荷による共同計算ができる1つの産地となるよう取り組みを進めています。

(2)集出荷施設の概要

 県下6つの部会組織にはそれぞれに集出荷場があり、そのうち5カ所には自動計量包装器が設置され、主に150グラムの袋詰めにして4.5キログラム箱で出荷しています。

(3)出荷規格

 大分県夏秋ピーマン連絡協議会の150グラム袋の規格は下表のようになっており、県内どこの産地からも同じ品物を提供するようにしています。

自動計量包装器

 また、今年からお客様のニーズに応えられる産地を目指して150グラム以外の袋詰めも取り組んでいます。

(4)販売戦略

 ハウス栽培がほとんどの夏秋ピーマン産地のメリットを活かして、早期定植による早期出荷を推進しており、他県産地に先駆けて長期に渡って安定供給できる産地つくりを進めています。大分県夏秋ピーマン連絡協議会では売れる商品を安定供給できる産地づくり、安定的に届ける体制づくり、積極的な価格表示ができる販売体制づくりの3つの目標を掲げて、M果が安定して高い関西地域を中心に拠点市場を選定し、将来的には県全体の共同計算による精算が実現するよう関係者が連携して取り組みを進めています。また、近年の猛暑の影響により、夏場の痛み果の発生がここ数年特に問題となっており、発生を抑制するための取り組みを県、JA、生産者が連携して行っています。

大分産ピーマンイメージキャラクター
「グリピー君」

選果・袋詰めの様子

関西市場でのトップセールス

一言アピール

 ピーマンは栄養価が高く、ビタミンCとA(カロテン)を多く含んでいる健康野菜で、特にほかの野菜のビタミンCと比べて加熱しても壊れにくい特徴があります。また、ピーマンには、ビタミンPも含まれていて、ビタミンCの吸収を促進し、酸化を防ぐ働きがあります。
 大分県の夏秋ピーマンは西日本一の販売額があり、濃緑で果肉が柔らかいのが特徴です。是非ご賞味ください。

お問い合わせ先

大分県農林水産研究指導センター 農業研究部
住所:〒879-7111 大分県豊後大野市三重町赤嶺2328-8
TEL 0974-22-0671 FAX 0974-22-0940

  今月の野菜「ピーマン」 

今月の野菜
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