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和歌山県和歌山市(だいこん)
味がよく、肌が美しく高品質の
当地のだいこんは、京阪神市場で高い人気を得ています


わかやま農業協同組合
販売部長 西村 庄作



 立地条件を活かした、京阪神市場の台所産地

 JAわかやまは平成5年10月に和歌山市内の6JAが合併し、本年14年目を迎えました。
 
 管内は、和歌山県の北部に位置し、約39万の人口を有する県庁所在地の中核都市和歌山市を全エリアに収め、一行政・一JAという中にあります。また、交通面では関西新国際空港を始め鉄道や阪和自動車道等道路網が整備され、京阪神市場への距離が短縮されるなど、都市近郊農業として恵まれた環境下にあります。

 気候は、瀬戸内気候区に属し比較的雨が少なく年間降水量1,335mm前後、年間平均気温16.4℃と温暖な気象条件となっています。

 農業は土質など栽培環境により大きく3タイプに分かれており、市の西部海岸沿いの砂地地帯の根菜やハウス栽培を始め、中心部の紀ノ川流域水田地帯の水稲及び秋冬野菜、東部傾斜地帯の果樹、市内一部での花き・畜産など、都市近郊農業特有の多彩な取り組みがされています。

 平成17年度農林水産統計によると、JAわかやま管内の農業産出額は81.1億円うち米が20.6億円(全体の25%)、野菜が39.1億円(同48%)、果実が14.5億円(同18%)、花き類が3.0億円(同4%)、畜産2.5億円(同3%)で、和歌山県といえば「みかん、柿、梅」、「うすいえんどう」の産地として関西では有名ですが、管内では消費地が近い条件を活かした特徴のある産地を形成しています。


※クリックすると拡大します。

図-1 JAわかやま農産物マップ


表1 平成18年度JAわかやまの野菜の取扱実績(JA和歌山県農扱い)
平成18年4月~平成19年3月 

(単位:t、千円)

※クリックすると拡大します。


砂地地帯でのだいこんの栽培風景

 全国的にも有数な砂地地帯の都市近郊型野菜産地

 管内の砂地地帯は、海岸沿いの西部地帯と紀ノ川中洲地帯からなり、露地ではだいこん・にんじん・かんしょ・とうがん・青ねぎ等、施設ではしょうが・ピーマン・ししとう・ほうれんそう・しゅんぎく・こまつなを中心に、耕地を高度利用した野菜の周年供給産地を形成しています。
  
 また、近年では軟弱野菜の「こまつな」の生産が伸びており、さらに新しい品目として「みず菜」の栽培にも取り組んでいます。

 露地の主力作物はだいこんで、今日では青首だいこんが中心に栽培されています。また、安全・安心を基軸とした生産システムの推進として、早くから地区あるいは規模を考慮したグループ別生産指導を積極的にすすめ、砂質に合わせた土づくりによる連作・生理障害の回避対策、品種試験を通じた有望品種の選定による品質向上と長期的な安定生産に取り組み、品質面を含めた中で京阪神市場において高い評価を得ています。

 施設栽培ではしょうが・ピーマンを中心に軟弱野菜との輪作体系が確立されており、しょうがは面積で高知県につぐ全国第2位の産地で、夏の季節野菜としてみずみずしい「新しょうが」が、京阪神市場を中心に京浜市場まで出荷されています。

 こうした耕地を高度利用した多品目の栽培の取り組みの結果、1戸当たりの農家収入が1千万円を超える人もあり、生産者の平均年齢は県内の産地の中では若く、後継者も多い地帯です。


品種比較試験における生育調査



品種検討会(品質他)の風景
関係機関による立毛調査

表2 砂地地帯における野菜主要品目の作付動向(農林水産統計)


(単位:ha、%)

注)・ピーマン類には、ししとう(平成17年度2ha)が含まれる。
  ・目標共販率は、JA第3次地域農業振興計画の平成20年目標値。


 だいこんの栽培の概要 
 ~当管内のだいこんは、肌が美しく、糖度が高く味がよいことで有名~

 当管内では、表3にあるように、福誉、役者大路、役者街道、冬人88等の品種を栽培しています。当JAのだいこんは、砂地のため、細根が少なく肌が真っ白で美しく味がよく品質が高いことで有名です。これらの品種は、2年間の試験栽培を経て導入されています。  

表3 だいこんの栽培作型

 
 年内どりのものは、9月中旬に播種し、9月下旬まで2日毎に収穫日を設定した栽培計画に基づき、播種を行っています。11月中旬から収穫が始まり、1月上旬まで、収穫を行います。また、年明けどりは、9月下旬から10月上旬にかけて、播種し、1月上旬から2月まで収穫を行います。

 収穫は、手作業で掘り起こします。砂地なので、揃いがよく、曲がりが少なくぬきとりやすいという特徴があります。11kg入りの段ボールで出荷しており、規格は、表4のとおりです。主な規格は、Lから2Lが多く、1本当たり1.1kgから1.7kgのだいこんが好まれています。

表4 規格表
段ボール(11kg/ケース)


 収穫調整後、JAの集荷場に生産者が、段ボールで運びこみます。当管内は、前述したとおり市場までの立地条件がよく、当地から大阪市場までは、1時間程度、京都市場までは2時間半、名古屋市場までは4時間で、主にこれらの市場に出荷しています。

 高品質を維持するための様々なJAわかやまにおける取り組み

 JAわかやまでは、合併後に地区別栽培基準の統一を図るため、地帯別に栽培指針を毎年作成しており、品質の高位平準化に取り組んでいます。
 
 品目は、砂地野菜14品目(だいこん、にんじん、しょうが、ピーマン、ししとう、ほうれんそう:雨よけ、しゅんぎく、こまつな、みず菜、青ねぎ、とうがん、ごぼう、さつまいも、非結球レタス)、水田裏作野菜6品目(キャベツ、はくさい、ブロッコリー、ほうれんそう、青ねぎ、レタス:サニー;コス)、果樹7品目(みかん、柿、梅、桃、スモモ、いちじく、ぶどう:デラ)を海草振興局農業振興課監修を受け、部会員に配布しています。

 また、5年毎に地域農業振興計画を策定し、平成16年4月に「築こうJAわかやまブランド!―届けよう安全・安心―」を基本とした第3次計画を作成し、“「農」と「共生」で築く地域づくり”を実践中です。


 生産・販売の重点実施事項

①安全・安心と高品質生産
ア 栽培基準に基づく生産指導と生産履歴記帳運動の実践
 防除記録等は、収穫1週間前に提出し、同一圃場で段蒔き等により収穫が長期になる場合は薬剤散布後、または月初めに記録簿を速やかに提出することとしています。

イ 生産履歴管理等のチェック機能の充実
 部会役員を含めた内部検査体制の強化と、信頼性の確保を図るため応益負担を基本に組織単位毎に残留農薬自主分析(JA和歌山県農植物バイオセンターにおいて130成分の多成分一斉分析を実施)を実施しています。平成18年度はだいこんで4検体を実施し、他の野菜・果実を含め63検体を行っています。

ウ 環境保全型農業への取り組み(エコ農業)
 土づくりと、天敵・生物農薬の導入による減農薬栽培を進めています。

②組織力の発揮(生産者組織再編整備)
 品目別部会の活動強化により、生産者間の協同意識の高揚を図っています。

③消費宣伝対策
ア ホームページを駆使した産地情報の提供(http://www1.jawink.ne.jp/wky

イ JA和歌山県農と連携し店頭消費宣伝や料理教室を開催するとともに、全国段階の「ベジフルセブン」に協調し、栄養価や機能性をアピールした野菜の消費拡大を進めています。

ウ 平成18年度より、県のベジフルストーリー開発支援事業の認定をうけ、地域特産品を中心に主要農産物を含め『紀州てまり野菜』(商標登録を申請中)として、JAわかやま独自ブランドにむけた取り組みを始めています。

④多様な販売チャネル開拓への取り組み
ア 地産地消による地域社会との交流拠点、またアンテナショップとして『のら工房(直売所4店舗)』の充実に努め、新商品の開発や出荷形態の改革に取り組んでいます。

イ JA和歌山県農と連携し、加工・業務用野菜の供給体制(コールドチェーン等を含め)の研究を進めています。

ウ 和歌山県の戦略的研究開発プランに採択された、「ブランド漬物開発のための原料素材の作出に関する研究」に協調し、紀州白だいこんの復活と和歌山地区漬物協同組合との連携を強め、加工品のブランド化に積極的に取り組んでいます。

 紀州伝統野菜『紀州白だいこん』の復活に向けた取り組み

 野菜の消費量の中で、常に1位になっているのがだいこんです。日本人の食生活に欠かせないだいこんのルーツを当県で見ると、江戸時代にはすでに栽培が始まっていたと記されています(紀伊続風土記より)。

 紀州の地に相性が良かったのか、きめ細かい、真っ白な、水々しい白だいこんが根づき、大正時代に入って農事試験場において系統選抜が行われ、「和歌山ダイコン1号、2号」が育成され、大阪市場で人気を呼び、昭和28年には出荷量1,200トンと大阪市場の年間入荷量の65%を占めるまでになりましたが、昭和50年代にF1青首品種(揃いが良く、光沢が良く、病気に強く、甘く、煮炊きすると美味しい等)の台頭により栽培面積は激減し、現在は自家消費等を中心に5ha程度となっています。

 前述の和歌山県戦略的開発プランにより、平成14年度より和歌山県農業試験場において優良系統の育成に着手しており、官民一体となったブランド復活に取り組んでいます。


優良系統選抜中の和歌山大根(紀州白だいこん)


※クリックすると拡大します。

開発された新品種(一部)

浅漬けタイプの紀の川漬け
葉付漬物「くき漬け」
カキ果肉に漬けた「柿漬け」


一言アピール

 現在、栽培されている和歌山だいこん(青首だいこん)は、伝統的な栽培技術が今も受け継がれた中で、肌が美しく、味が良く、品質の高い青首だいこんとして人気です。

 産地の品種選定では食味(糖度、生の食感)を重視していますので、だいこんサラダで一度お召し上がり下さい。拍子木切りだいこんを塩で軽くもみ、冷水で塩分を洗い流し軽く水切りを行い、お好みのドレッシング(梅ドレッシングが最高)で!シャキシャキ感の中にほのかな甘味がお楽しみいただけます。

 漬け物用として一世を風靡した『紀州白だいこん』… 一時は山陰・北陸地方の海岸砂地地帯に産地が移り、さらに経済の流れにより今は中国で製品化されているものもあるようですが、回遊魚のように本県に舞い戻り、土壌と水に合った風合い豊な漬け物として、復活を目指して取り組んでいますので、ご期待下さい。

お問い合せ先

JAわかやま
住所:〒640-8305 和歌山市栗栖642番地 販売部
電話:073-473-9403
Fax :073-473-8782
Mail :hanbai@wky.jawink.ne.jp
ホームページ:http://www1.jawink.ne.jp/wky

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