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沖縄県八重瀬町(ピーマン)
沖縄の温暖な気候のもと
大型ピーマン「ちぐさ」を生産しています
JAおきなわ南部地区営農センター
野菜果実指導課 松堂 学
我が国、唯一の亜熱帯産地 ~畜産から施設野菜への転換~
沖縄県は東西1,000km、南北400kmの海域に残在する大小160の島々からなり、総面積は2,267k㎡と日本で4番目に小さい県で、わが国唯一の亜熱帯地域に属し、年間平均気温が16℃から28℃の範囲内にあり、海洋性気候のため、年間降雨量は平均2,136ミリと多く、特に5月から6月の梅雨期、台風の多い8月に集中しています。冬は、比較的雨量は少ないが、曇天の日が多いため、日照不足になりがちです。
沖縄県農業協同組合は、平成14年4月1日に27農協が合併し奈良県につづき全国で2番目の県単一農協になりました。そのなかで具志頭支店は八重瀬町にあり、沖縄本島のほぼ南端、那覇市より15km、北緯26度7分、東経127度45分に位置し、面積は、12.08k㎡です。
具志頭支店管内(八重瀬町)の農業は、昭和60年代前半までは、養豚が主体でその他、肉用牛、鶏卵、乳用牛などと合わせ販売額が約8億円以上の時期もありましたが、価格低迷の影響で畜産業は衰退し、また、さとうきびも後継者不足や野菜、花卉への作物転換で6億円(昭和58年実績)から2.5億円(平成18年実績)へ減少しています。その一方で、最近は農地改良や施設栽培導入でピーマンを主体とした野菜、花卉、果樹関連が飛躍的に伸びてきました。
特に平成9年に国の指定産地に認定され、平成18年12月6日に沖縄県から拠点産地の認定を受けたピーマンは野菜の生産部会員(83名)の7割以上が生産しており、販売額で約2億円となり県下で第一位の産地となっています。他にもゴーヤー、キャベツ、いんげん、オクラ、レタスの栽培があり約3.6億円の生産高(18年実績)となっています。
平成18年度現在の具志頭支店管内のピーマン生産者数は57名で、平均年齢は他の品目に比べ若く、なかには新規就農者もおり、後継者も多いといえます。
大型ピーマン「ちぐさ」の成り姿
具志頭支店におけるピーマンの出荷実績と販売額の推移
(単位:t、千円)
栽培しているのは大型ピーマンで、品種名は『ちぐさ』
~有機質肥料中心の土作り~
ピーマンの栽培歴
※クリックすると拡大します。
大型系の品種「ちぐさ」を栽培しています。いまでは、安定した栽培品目になっており、平成18年の生産実績は958tでした。長期収穫でき、出荷時期は10月から6月までで、冬でも暖かい陽光のもと甘みがあり肉厚のピーマンを栽培しています。
栽培ステージは、早いもので、7月から8月にかけて播種、8月から9月にかけて定植を行います。この時期には例年、台風の襲来があるので、十分な台風対策と苗管理にもっとも気を使うところです。
生育期間中の温度管理としては、生育適温が25℃で最低18℃は必要ですので、雨よけハウス等簡易ハウスを使います。今までは、パイプハウスでしたが、最近は少し作りが頑丈な低コストハウスを使っています。コスト削減のため冬は加温をしておりません。今までは巻取り機の上げ閉めによる温度管理でしたが今年からは、ビニールを2重にすることで1℃から2℃ハウス内の温度を上げ、冬の収量の安定化につなげる予定です。また、4月から6月は逆にハウス内の温度をあげないように換気し、温度が30℃以上にならないようにしています。
栽培のポイントは、青枯れ病対策として土壌の太陽熱処理を徹底し、有機質肥料中心の土作りを実施していることです。ピーマンは多くの水分が必要な作物ですが、排水が悪いと生育が阻害されるので、保水性と通気性に優れた肥沃な土壌で、かつPH5.5~6.8程度が栽培に適していることから、当地区では、年に一度土壌分析を行い、その土壌条件に合うように、肥培管理しています。
また、「ちぐさ」は、強健で耐病性が強く、苗の時から生育が旺盛で、ウイルス、疫病に強く、果実は大果で肥大も早いのが特徴です。葉はやや大きい方で、分枝は比較的あらく、花数もあまり多くはありませんが着果は確実で肥大もよく、全体的に栽培しやすいのが特徴です。草勢が旺盛なので、一時に急激な発育をさせてしまうと一気に果実がとれすぎてしまうので、施肥に気をつけて長期にわたり安定的に生育させ、長期出荷を可能にしています。
育苗ハウスでの苗
台風に備え防風ネットを被覆
播種から、収穫までの栽培行程は、以下のとおりです。
播 種:
7月下旬から10月上旬(促成栽培)で10a当りの種子量は30ml準備する。
育苗管理:
育苗は育苗ハウスで行うことを基本とし、シルバーカンレイシャ、又はビニールで被覆する。育苗時の灌水は、土の表面が乾いたら早朝時に行う。気温が高い時期は朝夕かるく灌水する。
施 肥:
植え付け2週間まえに所定量の元肥を畑全面に施して整地する。元肥には有機質肥料を主体に施す。10a当り堆肥量は3tである。酸性土壌では、6.5phを目標に矯正を行う。
整地畦立:
排水対策のため、畦高30cm程度の高畦を作り通常は10~15mm程度の潅水をしてからシルバーでマルチする。
定 植:
栽植密度は畦幅160cmの畦中央に1条で株間40~45cmに定植する。苗は本葉6~7枚で定植する。
水 管 理:
定植前に十分潅水を行い、土壌表面が乾いた頃定植する。深植はしないように留意する。定植後は、株元に土じめを兼ねてかるく潅水し活着を促す。
温度管理:
高温性作物ではあるが、ハウス栽培の場合30℃以上にならないように換気する。
施肥管理:
追肥は草勢に応じて加減するが、第一回目の追肥は1番着果と同時に行いその後は草勢、果実の肥大状況に応じ25~30日間隔で行う。
整枝誘引:
4本仕立てを基本に行う。生育初期はV字型とし、生育が進むにつれてU字型に誘引する。整枝は第一分枝以下の側枝は早めに摘除し、着果枝は1~2果着果させて摘心する。
収 穫:
大型ピーマン(ちぐさ)は十分に発育肥大した70~80gの果実を収穫する。収穫が遅れると成り疲れや、輸送途中や市場で色づくことがあるので、適期収穫に努める。
共同選果比率は70% 専用コンテナで出荷
~県外出荷の比率向上を目指す~
平成11年に八重瀬町に農業生産体制強化推進対策事業で共同選果場を建設し、12年から共同選果機を稼働させています。今では、全取扱量の70%について共同選果場を利用した共同選果を行っています。共同選果の場合はピーマン専用コンテナで前日の夕方搬入し、翌朝選果を行い7kg段ボールで出荷しています。
残り30%の個人出荷については、県の青果物標準出荷規格表に基づき生産者個々に規格選別(荷姿は5kg及び10kg段ボール箱)し集荷場に搬入しています。
それらのピーマンは、共同販売という形態で県内市場と県外市場へ出荷を行っています。県内も県外も主に市場出荷をしており、量販店で販売されたり業務用として中華料理店で使われています。特に肉厚で甘味があるので、中華料理店からは、好評を得ています。県外への出荷割合は10%程度で、関東、関西等へ出荷しています。関東へは、航空便、船便、関西へは航空便で出荷となっており、価格の面で関東の船便が優位なことから、最近は関東向けが多くなっています。しかしながら、県外への出荷比率がまだまだ低いので、今後は、県外出荷の割合を増やしていく予定です。
ピーマン収穫の様子
共同選果場での選別の様子
段ボールでの出荷
ピーマン(大型種)規格表
専業農家育成を目標に足腰の強い産地作りに取り組む
~消費者ニーズの検討と販売ルート開拓~
専業農家の育成を目標に、県農業改良普及センターの地区担当普及員とタイアップして出荷の平準化、面積の拡大、栽培管理の徹底などにより計画生産、計画出荷ができる産地を目指しています。また、消費者ニーズに応えるために様々な検討を行い、販売ルートの開拓等、効率的かつ安定的な農業経営の育成と足腰の強い産地にづくりに取り組んでいます。
指定産地となっているピーマンは、共同選果機を活用することで個人選別時の選果労力と選果時間を軽減し、その労力を肥培管理にふり向け、生産量の増大、農家経営の安定化を目指しています。さらなる施設の導入、エコファーマー認定に向けて部会員全員が一丸となって取り組んでいます。
一言アピール
当地区で栽培している、ちぐさは果実は濃緑色で大きく肉厚で、果実の形がよく揃います。多収量で半促成から促成まで幅広くいずれの栽培にも適し、栽培の初期から良果が取れます。
ピーマンはビタミンCやカロテンが豊富に含まれており、加熱してもビタミンCの損失が少ないのが特徴です。
当地区のピーマンは、果肉がやわらかく甘味があるので、生でサラダなどで食べてもおいしく、また肉厚なので、炒めて食べると歯ざわりよくさらにおいしさがアップします。ぜひ当地区のピーマンをご賞味ください。
お問い合せ先
JAおきなわ具志頭支店
〒901-0405 沖縄県八重瀬町字玻名城698
電話 098-998-3322
FAX 098-998-6674
当地区のピーマン「ちぐさ」です
今月の野菜
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