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岩手県盛岡市・八幡平市・岩手郡(キャベツ)
冷涼な気候と標高差を活かし
柔らかくて、甘いキャベツ【春みどり】を生産

新岩手農業協同組合
東部営農経済センター畠山 栄一




 夏場のみずみずしいキャベツ【春みどり】はオリジナルブランド

 新岩手農業協同組合(以下「JA新いわて」)管内は、岩手県の北の内陸部に位置する盛岡市玉山区・八幡平市・雫石町・葛巻町・岩手町・滝沢村の2市3町1村からなり、県都盛岡市に隣接しており、都市近郊・純農村・山間地が混在した、自然環境に恵まれた地域です。

  東は北上山地、西は奥羽山脈が走り、中山間地帯の占める割合は高く、中央を南北に流れる北上川流域には平坦地が多く、多様な地形を有して管内総面積は2,846.44km2で、県土の18.6%を占めています。

  管内は、南部・西部・東部の3営農経済センターに分かれており、それぞれ地域ごとに特徴があり、米穀・園芸・畜産とバランスのとれた生産・販売を行っています。

  園芸においては、全国ブランドとなっている、ほうれんそう・りんどうの栽培が盛んですが、最近は、東部管内(盛岡市玉山区、岩手町、葛巻町)におけるキャベツの栽培が増加してきています。栽培の中心となる岩手町は、戦前からキャベツ栽培が盛んで「南部甘藍」として出荷されていました。一時は国内のみならず中国、台湾まで出荷していました。しかし、消費者の嗜好性の変化と輸送の問題、「ゴマ病」の異常発生により壊滅的な打撃を受け衰退の一途をたどりました。

  その後、昭和59年に生産者有志がキャベツ産地をもう一度作ろうと立ち上がり、「柔らかく、甘いキャベツが夏場に欲しい」という消費者の要望に着目し、従来の寒玉系品種とは異なる、質の高い春系品種を導入しました。

  この、夏場のキャベツには春系であることに加え、夏場で緑が濃いことから、みずみずしさを表現した「春みどり」のネーミングで差別化を図りオリジナルブランドに成長させました。平成9年からは、キャベツ王国復興を目指し、約150名の生産者が生産拡大に取り組んでいます。

  JA新いわて管内の平成18年度販売実績は畜産139.1億円、園芸69.7億円、米70.7億円となり、園芸販売額の内キャベツは12.2億円で約18%を占めます。栽培規模は面積340ha、出荷量15,619tで、1人当たりの栽培面積は平均2.3ha、10aあたりの単収4.5tで10kg詰め段ボールで換算すると450箱となります。なかには栽培面積25~30haにもなる大規模な生産者もおり後継者も育っています。









ダンボールを畑に持ち込み、箱詰めする


なだらかな傾斜のあるほ場


 耕畜連携で土作り

  畜産が盛んな土地柄、牧草地の流動化によって生まれた団地でキャベツ栽培を行い、連作障害の回避を図っています。また、だいこんなどの他作物との輪作の合間に牧草やたい肥を投入することで有機質を効率よく投入し環境に優しい農業を進めています。

  たい肥の活用は地元の肥育農家、養豚農家、酪農家からも非常に喜ばれております。

  17年度には堆肥等施用技術・化学肥料低減技術・化学農薬低減技術への取組みを評価され、持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律に基づくエコファーマーの認定をうけた生産者も誕生し、現在、生産者全員取得を目指しています。

  栽培上、病害虫防除が一番の課題ですが、特に春系キャベツは割れやすいという特徴があり、導入当初は大変な苦労がありました。

  現在は普及センター、農協、役場などの連携により、積算気温や病害対策の情報を提供し、生育日数のコントロールを実施することで「割らない・腐らせない・虫に食わせない」を合言葉に3ない運動の展開と対応を進めています。週単位で天気、気温、降水確率を情報発信し、病害対策とともに殺菌剤や殺虫剤の種類や施肥量のアドバイスも行っています。

  地域一丸となって取り組んだ結果、平成18年度においては東部地域だけで10億円の販売額が達成され、全国ブランドとして益々の生産活動が期待されています。




高標地での栽培
平成18年に「春みどり」の販売額10億円 突破しました


 収穫・出荷は6月中旬より11月上旬まで

 ここ東部地域では、平場から標高200~700mまでの標高差を活かし、播種時期をずらすことにより労働力の分散と収穫期間の拡大を図った生産体系を実現させています。

  栽培品種は作型で変えており、育苗は各生産者で行いますが、農協の育苗センターを活用する場合もあります。

  おおよそ播種後30日の育苗期間を経た後、順次定植となります。

  播種が3月上旬から4月中旬あたりまでの早い時期の品種は、「W8218」・「YR青春2号」となっており、播種が4月下旬から7月中旬までの遅い時期は、暑さに強い「夏さやか」の栽培となります。

  この地域は、冬は雪が多く、特に寒さが厳しい地域です。3月上旬はまだ雪が残っていることがあるので、比較的暖かい平場から定植を行っていきます。

  平場では定植機を使った植え付けができますが、傾斜がきついほ場では定植機が使えないので手植えで対応しています。

  収穫・出荷は6月中旬より始まり、11月上旬あたりまで続きます。

  収穫は1日2回行います。集荷センターに10:30~11:00に着く朝採りと20:00までに到着する夕採りです。ほ場では1個ずつ収穫しその場でサイズごとに分けて10kg段ボール箱及びコンテナに詰め、各生産者が集荷センターに運びます。重労働なのでピーク時には大規模農家では労働者を雇用することもあります。


「春みどり」栽培体系





2~3年前から急増した冷凍トラック
いわて純情娘も春みどりの出荷式にかけつける



 コールドチェーンで鮮度保持

  集出荷は農協が東部管内を一元化し行っています。1日2回集荷を行い、集荷したキャベツは集出荷場で真空予冷ののち保冷庫に保管され配送されます。市場への到達時間に合わせて、朝収穫したものはその日のうちに、夕方収穫したものは翌朝の出発になります。2~3年前から冷凍車での輸送が増加し、以前に比べて鮮度保持がしやすくなりました。
 
 出荷規格は定数詰めでA2L(6玉)AL(8玉)AM(10玉)となりますが、中心規格はALで1玉1.1~1.3kgとなります。出荷型態は、平箱段ボールの10kgとなりますが、最近はコンテナでの量販店への直送が増加してきています。段ボールは、18年度よりボクサー針を使用しないノーステープルに全て切り換え、市場等から好評を得ています。


 顔の見える販売で安心できるキャベツを提供

 JA新いわてでは、「いわて春みどり」というネーミングを段ボール等に入れて販売しています。春系品種ということをアピールポイントにブランド化を進めています。

  販売戦略としては、顔の見える販売ということで生産者の名前を入れたり、グループ・個別による相対、直送販売を強化し一定の量を持ったグループ・生産者に自分の売り場を持たせています。「だれが・どこで・どういう作り方をしたか」がわかることにより、商品の評価向上につながればと考えています。

  生産者としても、計画生産・責任出荷と品質向上に努め個別評価を受けることにより、さらに生産意欲が高まっています。

  販売先としては、関東方面が中心ですが、遠くは九州もあり、東北・県内の量販店でも販売されています。

  また、毎年関東方面の市場を通して、量販店でのフェアを開催し、【春みどり】の消費宣伝を実施しています。また、毎年、春みどり出発式を行い、生産者の意欲向上に結びつけています。



生産者の顔が見えるキャベツ

一言アピール

 夏場のキャベツは寒暖の差が大きいことから、緑が濃くみずみずしく、柔らかいのが特徴です。

 また、管内は大規模畜産農家が多いことから、有機質を活用した循環型農業を進めるとともに、農薬の散布回数を減らしたエコファーマーの取得に努めています。

 また、特産品として、春みどりのソフトクリーム、春みどりラーメン、春みどりの焼酎も開発しています。

  きれいな空気のもとで栽培された、新岩手農協の高原キャベツを是非ご賞味ください。

お問い合せ先

新岩手農業協同組合 東部営農経済センター
住所:〒028-4307 岩手県岩手郡岩手町大字五日市12地割60-2
電話:0195-61-2511(代)
FAX:0195-61-2515
ホームページ:http://www.jaiwate.or.jp/shin-iwate


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