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香川県(たまねぎ)
温暖で雨の少ない気候がやわらかく甘いたまねぎを作る
香川県農業協同組合
本店園芸部 陶山 幸弘




 集約的で生産性の高い農業を展開し、農家1戸あたりの平均耕地面積70a

 JA香川県は平成12年に43のJAが合併し誕生しました。香川県の南西端に位置するJA香川豊南(観音寺市の一部)を除いた香川県全体を管内としています。香川県は、日本で初めて国立公園に指定された瀬戸内海国立公園の中心に位置しています。土地の形は半月型で、南部には讃岐山脈が連なり、北部には讃岐平野が拡がっており、河川はほとんどが讃岐山脈に源を発し、北に向かって瀬戸内海に注いでいます。

気候は瀬戸内海式気候で年間日照時間2,087時間、年間降水量1,129mm、平均気温が15.7℃と1年を通して暖かく晴れの日が多いのが特徴です。

  農家1戸当たりの平均耕地面積は約70aと狭く、米と野菜などの園芸作物や畜産などを組み合わせた複合経営や施設園芸などの集約的な経営が展開され、零細な経営規模を補うために生産性の高い農業が展開されています。野菜では、レタス、いちご、きゅうり、ブロッコリー、なばな、青ねぎ、たまねぎ、にんにく、アスパラガス、金時にんじん等多様な品目が栽培され、販売金額は米77億5千万円、畜産114億9千万円、野菜176億6千万円、果実39億円となっており、野菜は全体の40%を占めています(平成18年度実績)。






写真1 色、つや、貯蔵性に優れた「みがきたまねぎ」


 作付面積は減少傾向

 作付面積の維持が急務

  たまねぎ栽培は、明治42年に5ha程度栽培されていたという記録はありますが導入経緯ははっきりしていません。大正10年以降、本格的に栽培が始まり、作付面積は昭和16年には125ha、昭和30年代後半にはすいか、かぼちゃとともに中核作物となり、昭和41年には830haまでに増加し野菜指定産地に指定されました。

  その後、昭和50年の1,190haをピークにレタスとの輪作で面積を維持していましたが、昭和60年代に入り、省力化の進んだレタスとは逆に農家の高齢化が進む中、重量品目であることから面積の減少が懸念されました。そのため、出荷調製の分業化、省力化として土付きのままコンテナ出荷し収穫後の手間を省いた黒皮共同選別出荷を始めました。しかしながら、専業農家は軽量な青ねぎへの作目転換を図り、一方、たまねぎを導入した兼業農家は他産地が機械化で規模拡大を図る中、香川県では個々の作付面積が小規模で圃場面積も小さかったことから機械化が遅れ、副品目として現在に至っております。表1によると作付面積は減少傾向ですが、いろんな作型を取り入れたり栽培方法の工夫などで、出荷量は約15,000トンを維持しています。また定植や収穫などの機械化、後述する作型の組合わせにより収穫労力の分散化などで省力化を図り、作付面積の維持を図っています。


定植機による植付け


たまねぎの作型と品種



 色・つや・貯蔵性に優れた特産品「みがきたまねぎ」

 香川県においては、瀬戸内海式気候の温暖で雨の少ない気象条件を生かした栽培を行っています。たまねぎの導入当初、「早生種」は温暖で早穫りに適した海岸線砂地帯および島嶼とうしょ部、貯蔵しない「青切り」は県下全域、「貯蔵物」は三豊みとよ市、仲多度地域一帯で水田の裏作の品目として伸びてきました。

 なかでも出荷前に布できれいに掃除した「みがきたまねぎ」および「貯蔵(冷蔵)たまねぎ」は品質を重視し栽培してきました。

 特に「みがきたまねぎ」の場合は牛ふん堆肥を投入し、追肥には油粕等有機質を重視した施肥を行うことで色、つや、貯蔵性を併せ持った高品質の理想的なたまねぎを生産しております。

 また、晩生種の貯蔵用たまねぎ栽培では、もみじ3号を導入し、防除暦の活用による3月以降の地域一斉防除を徹底し、最終追肥の時期を制限し、以降は防除時のポリリン酸の効果で葉を締め、貯蔵性の良いたまねぎ生産に取り組んでいます。

 近年、極早生品種の導入とトンネル栽培の実施により従来は4月下旬から出荷だったのが3月からの出荷が可能になり、平成19年産については暖冬の影響で出荷が早まり2月中旬からとなりました。

表1 作付面積と出荷量の推移



 黒皮共同選別出荷による省力化の実現

 栽培当初は産地業者や地元市場への出荷がほとんどでしたが、昭和24年からは京阪神市場、昭和38年からは京浜市場への出荷が始まりました。昭和42年に香川県青果連による共同出荷が開始されてからは、卸売市場の本県産たまねぎへの評価も高まりました。特に昭和43年頃から始まった「みがきたまねぎ」は、京浜市場で好評を博しました。昭和45年頃からは長期貯蔵庫を導入し冷蔵物を再選別したダンボール箱による「冷蔵たまねぎ」の出荷が始まりました。昭和50年の49,000tの出荷量をピークに、昭和60年頃までは栽培を維持していました。昭和60年代に入り高齢化、重量品目であることから作付面積の減少が懸念され三豊みとよみかん共同撰果場を夏場のあいた時期を利用し、共同出荷を実施し、生産者の省力化を図っています。同時に、収穫後の調製の手間を省き土がついたままの状態でコンテナ出荷するという香川県独自の黒皮共同選別出荷を実施し、他の産地との差別化を図っています。出荷規格は表2のとおりで、大きさで2Lから2Sのサイズに分けています。いちばん多くで出回るのは、Lで1個当たりの重量は約300~350グラムです。



三豊共撰で黒皮共同選別出荷を実施
三豊共撰選別風景


三豊共撰選別風景
等階級別に箱詰めされるたまねぎ


出 荷 規 格



黒皮コンテナ(圃場で3日程度風乾した
ものをコンテナ出荷し機械選別する)




「たまねぎのオリーブオイル焼き」

 周年出荷が可能になり、計画出荷を実施

(1) 周年出荷体制  
極早生種のトンネル栽培によるたまねぎが3月中旬から出荷を始め、早生種は4月下旬から出荷、中生種は5月下旬から、晩生種は6月以降に出荷を行います、晩生種を保存に、吊りたまねぎは9月~10月に出荷、貯蔵(冷蔵たまねぎ)して11月~3月出荷に出荷しています。以前は晩生種中心の産地でしたが、極早生種から晩生種の作型の組合わせと冷蔵施設の利用により、周年出荷が可能になっています。

(2) 契約取引の増加  
JAでは地元冷蔵業者との契約で、天日干し後の選別をせず外側の黒い皮がついたまま出荷する黒皮コンテナでの出荷、地産地消による地元業者との業務用契約を実施したり、流通コストを削減し農家の手取りを向上するなど様々な取り組みを行うことによりたまねぎ産地の維持を図っています。

 平成19年度年間出荷計画は下表のとおりですが、月別では6月が最も出荷が多く、種別では早生115トン、青切り8,865トン、吊り1,452トン、冷蔵670tトンと青切りが最も多くなっています。  青切りとは長期貯蔵しないものの総称で3日程度の天日干しで出荷する形態で主に4月から6月に出荷されるものです。出荷作業の手間がかからないことから最近は、この青切りが増えています。

表2 平成19年度 年間出荷計画

 たまねぎのちょっといい話

 たまねぎには辛味と香りがありますが、これは硫化アリルという成分で、胃の消化液の分泌を助けて食欲を増進させ、新陳代謝をよくします。ビタミンB1と結合してアリチアミンとなり、ビタミンB1吸収をよくします。また、催涙性のある辛味成分のアリルプロピルジサルファイドという成分は血糖値を減らすという働きをします。

一言アピール

 JA香川県管内は、瀬戸内海式気候で晴れの日が多く雨が少ないことから、やわらかくて甘くておいしくて品質のよいたまねぎができます。このおいしさが、市場から高く評価されています。

また、JA香川県では、県産農産物のイメージアップと地産地消活動の主体としての産直市を消費者に広くPRしようと「産直サンバ」を作成しました。

【産直サンバ】
http://www.kw-ja.or.jp/sancyoku/samba.html
また、JA香川県のHPではエリアごとに検索できる「産直MAP」を掲載していますのでご覧ください。

お問い合せ先

香川県農業協同組合 本店園芸部園芸課
住所:〒761-8084
    香川県高松市一宮町字刷塚1431-1
TEL:087-818-4122
FAX:087-818-4123
ホームページ:http://ja-kagawa.rarirure.jp
メールアドレス:engei-9322@kw-ja.or.jp


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