大津農業協同組合
営農指導課長 沖野 晴彦
1.概要
JA大津は徳島県鳴門市の南中央に位置する大津町が管内で、旧吉野川河口に近く、阿讃山嶺東端に位置し、東西5.5km、南北4.8km、総面積12.7km2の農業地域です。昭和61年に大鳴門橋が開通し、平成10年に明石海峡大橋が開通したことで、本州と四国が高速道路で結ばれ、鳴門市は四国の玄関口となり、関西圏が一層近くなりました。
JA大津管内の畑作の耕地面積は550haで、砂質土壌でのかんしょの「なると金時」が270ha、水田転作品目としてのれんこんが170ha、梨が100ha、その他なると金時の後作でのだいこんが77ha栽培され、この4品目が特産となっています。
2.れんこん栽培の概要
明治40年代に大津町でのれんこん栽培が始まりましたが、現在れんこん産地として代表的な大津町西部は、昭和30年代から栽培を始め、昭和42年ごろから作付面積が増加をみて、現在の産地を形成しています。徳島県でのれんこん栽培の総面積は450haであり、そのうちの170haが当JA管内で栽培されています。
れんこんの品種は、明治以降に中国から導入された「中国種」とそれ以前に導入された「在来種」に大きく2分されますが、当JA管内で栽培されている備中種は中国種のひとつで、節間が長くすらりとした形状をしており、乳白色できめ細かな肉質です。関西市場での評価が非常に高く、現在当JA管内で栽培されているれんこんの95%がこの備中種です。
作付体系は、トンネル栽培と露地栽培に分かれ、植付方法としては、前年のれんこんを種として植えつける「新植法」とすじ掘りと呼ばれる「残し掘り法」、当該年にれんこんを収穫せず湛水したまま越冬する「2年掘り」といろいろな作型、栽培方法があり、これらの組み合わせによって周年出荷を可能にしました。
栽培に関しては土壌診断や過去の生育反応を考慮して堆肥を適正に施用することとし、肥効調節型の肥料を使用した土作りをすることにより、化学肥料及び化学農薬の低減に努め、消費者に安全で安心なれんこん作りを心懸けています。
また、化学農薬の使用を低減するための工夫として、アブラムシ対策には黄色粘着シートを利用し、生育初期に飛来するアブラムシ有羽虫を捕獲して発生抑制を図っています。さらにハスモンヨトウの防除としては、性フェロモン剤を利用し産地全体での発生密度を低下させています。
当管内のれんこんが栽培されているほ場の土壌は良質の粘土質であり、この土質が良いれんこんを作ります。
れんこんの収穫方法には、大きく分けると水を張った水田でポンプの水圧により掘り出す方法と、水が干上がった状態で収穫する方法の2つの方法があります。当JAでは粘土質が強いため、後者の方法で収穫しています。
掘り取り作業は非常に重労働です。れんこん掘り取り機を使い表土を取り除いたあとは、熊手を使い一本一本手作業で掘り取ります。れんこんをつけ根からていねいに掘り出すためには、熟練した技術が必要とされます。こうして掘り取られ市場に送られる当JA管内のれんこんは、つやがあって見た目もよいことから市場で高い評価を受けています。
3.出荷体制
徳島県のれんこんは、出荷量では茨城県に次いで全国2位であり、出荷先は京阪神が主であることから、京阪神市場での産地別シェアーは全国1位を誇っています。7月の新れんこんの出荷から始まり、翌年の6月までの周年出荷で約2,700トンを出荷します。とくに晩秋から冬が旬で、12月のおせちの時期が最盛期で、品質も最高です。
前日掘り取ったれんこんを翌日の朝には市場に搬入し、より新鮮なれんこんを消費者に届けるよう努力するとともに、徳島県が進めている「とくしま安2農産物」認証制度の認証にも取り組んでいます。
「とくしま安2農産物」認証制度とは、安心で安全な農産物を出荷するための、生産管理及び品質管理が行われていること、栽培から出荷・消費者のクレーム対応までの体制整備が行われていることに対して第三者機関が審査を実施し、県知事が認証する制度です。認証を得た生産者の出荷するものには認証マークを付けることができます。
当JAとしては、消費地での消費拡大キャンペーンを実施したり、テレビ、ラジオ、新聞などマスコミにアタックしたり、また、消費者を産地に招いての掘り取り体験ツアーなど、様々な消費宣伝を行っています。徳島県のれんこんの良さをもっと知って頂けるようこれからも努力して参ります。