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産地紹介


福島県大沼郡・河沼郡
〔さやいんげん〕

会津みどり農業協同組合 高田総合支店 営農係長
鈴木 勝浩


1 産地の概要および歴史
 JA会津みどりは福島県会津地域の西側7町村を管轄とし、さやいんげんはそのうち会津坂下町、湯川村、柳津町、会津美里町、金山町の5町村で栽培されています。栽培面積・生産者ともに会津美里町が最も多く、中心地である会津美里町高田地区は、白虎隊で有名な会津若松市より西に約12kmの位置にある農山村地帯です。



 気候は日本海側気候であり、積雪の多い寒冷地です。過去10年間の月別平均気温をみると、1月が最も低く-0.3℃、8月が最も高く24.8℃で、年平均気温は11.9℃です。会津美里町の標高は約200mですが、さらに山間地域である柳津町や金山町のほ場は最も高いところで約400mあり、気温は平均してさらに1~2℃低くなっています。

 部会員数は約270名であり、ほとんどが65歳以上の高齢者です。
 昭和43年ごろ、旧会津高田農協時代に、農協婦人部活動の一環としてさやいんげんの栽培は始まりました。

 当初は竹支柱での栽培でしたが、その後パイプ支柱栽培が導入され、作型も露地直播栽培からポット前進栽培に変わってきました。


さやいんげんの成り姿


 その後、平成元年からは防虫ネット被覆栽培が導入され、長期安定生産が可能となりました。近隣JAとの合併をへて、地域の気象条件と品種特性を活かし、作型分化を進めています。平成17年度のさやいんげんの作付面積は、上記5町村で26.5haでした。


2 品種と作型について
 さやいんげんの特徴として、栽培される品種の数がたいへん多く、その中でもつるありとつるなし、また丸さや系と平さや系があります。

 

 
【露地いんげん】

 
【ビックリジャンボ】(無被覆)

 平成2年まではケンタッキーワンダー、平成3年からはケンタッキー101を栽培していましたが、さや色が薄い、ピーク時に品質低下する等の問題があり、平成8年からはハウス栽培にステイヤー、露地早まきに鴨川グリーンを導入しました。その後も品種の比較検討を行い、現在はスーパーステイヤー・鴨川早生・鴨川グリーン・いちず・スリムクイーンを中心に作付けを行っています。平成16年からは平ざや系大莢で害虫に強いビックリジャンボも導入し、ビックリジャンボは防虫ネットを被覆できないほ場を中心に普及推進を図っています。

 このような品種ラインナップを生かし、3月播種のハウス栽培から8月播種まで、品種・播種時期を組み合わせて、5月下旬から11月上旬までの長期出荷ができる産地作りを目指しています。

 平成17年度の栽培面積26.5haの内訳は、ハウス栽培4.8ha、防虫ネット被覆栽培16.5ha、露地栽培1.8ha、ビックリジャンボ2.0ha、その他に手なしいんげん1.4haでした。なお、当産地はハウス栽培と防虫ネット栽培の割合が80%と、福島県内でもその割合が高いものとなっています。

 収益性の高い防虫ネット被覆栽培の割合は年々高まっており、これに伴い無被覆の露地栽培は減少しています。また、管内の西部地区と呼ばれている山間地域での作付も増加しています。


3 栽培技術の特徴
(1) ハウス栽培
 ハウス栽培は、低温時の着さや性が優れる「スーパーステイヤー」を主に用い、5月下旬からの出荷を図っています。7月に半促成の収穫が終了した後に、8月まきの抑制「スーパーステイヤー」を再度播種し、9月下旬から11月上旬まで出荷する年2作体系の作型が確立しています。
 ハウス開口部には、防虫ネットを展張し、害虫の侵入を防いでいます。



さやいんげんの栽培の様子
 
 

防虫ネット被覆栽培


(2) 露地防虫ネット被覆栽培
 「スーパーステイヤー」「鴨川グリーン」「鴨川早生」に防虫ネットを被覆して栽培しています。
 平成元年に早出しを目的に保温性のある不織布資材「パオパオ」をアーチパイプへ直接被覆する方法を導入したことから始まりました。その後1mm目合いの防虫ネット「サンサンネット」が導入され、生育全期間被覆しての栽培を行うようになりました。

図 防虫ネット被覆の方法

 

栽培講習会

 被覆することにより、(1)活着がよく、初期生育が確保できる(2)害虫の被害が大幅に防げる(3)アブラムシが媒介するウイルス病が回避できる(4)防風効果により、スレ果が少なくなる(5)雹害を完全に回避できる(6)高温時の品質安定が図られる、などの効果が現れています。また、播種時期も4月から7月までに拡げることができ、労働力集中の回避が可能となりました。

 なお、「スーパーステイヤー」は、出荷の前進化と低温障害防止のため、定植初期に防虫ネット被覆した中で更にトンネル被覆し、初期保温を図っています。また、年2作を行う場合は、7月末に収穫中の株元に「スーパーステイヤー」を播種しています。

 さやえんどう、グリーンピースの後作に7月まきする作型もあります。

(3) 低農薬化の実現
 上記のように、ハウス栽培・露地防虫ネット被覆栽培ともに、防虫ネットを活用することによって、特に農薬の使用量を大幅に減らすことができ、安全・安心なさやいんげんの生産、そして環境にやさしい農業の展開が可能となりました。

(4) 連作の回避・土づくり・施肥
 地力を維持し、健康な作物づくりを推進するため、原則として露地については連作を避けるよう指導しています。

 また、当JAカントリーエレベーターで作られる「もみがらたい肥」を投入するなどにより、有機質を確実に施用するとともに、地域内での物質循環にも貢献しています。
 さらに、肥効調節型肥料や局所施肥技術など、環境にやさしく、かつ省力的な技術の導入を図っています。


4 生産体制
 各生育ステージごとに、県会津坂下農業普及所や種苗会社とともに栽培講習会を開催し、栽培技術の高位平準化を図っています。平成17年度は延べ76回実施しました。

 また、一部地区では育苗センターで育苗し、希望者に苗を供給する体制としており、生産者の負担軽減や増反に役立てています。


5 出荷体制
 基本的には各戸において選別し、2kgダンボールに箱詰めして出荷しています。ただし、一部市場ではコンテナによる出荷が定着しつつあり、近年コンテナによる出荷量は増加しています。

 また、集荷場までの運搬手段を持たない高齢者を対象に、一部集落に対してはJAによる巡回集荷も行っています。



さやいんげんの出荷の様子


6 販売戦略
 上記のように、防虫ネットを活用した生産については、農薬の使用量を最小限に止めることが可能になり、安全かつ安心なさやいんげんの生産が行われています。これらの生産物(ハウス栽培および露地防虫ネット被覆栽培による生産物)に対しては、みどり物語というブランド名をつけて、他産地との差別化を図っています。

 当管内で防虫ネットを用いたきゅうりとともに、同ブランド名での販売を推進しています。主な出荷先は、東京・横浜および大阪となっています。

 また、通いコンテナによる取引も進め、低コスト化、ダンボールの廃棄量の削減も図っています。
 さらに、平成18年度中には真空予冷の施設も整備することとしており、より新鮮で安定した供給を目指しています。

一言アピール

 JA会津みどりでは、1ミリ角の防虫ネットを活用したさやいんげんの栽培を実施しております。この栽培方法は、農薬の使用を最小限に抑えられるので、安全・安心な農産物を生産することができます。

 これらの農産物を「みどり物語」とし、皆さんにお届けしています。
また、当地は、標高が高く、夏涼しいことから、やわらかくみずみずしいさやいんげんができます。

 ぜひ、一度当地のさやいんげんをご賞味ください。

問い合わせ先

会津みどり農業協同組合
〒969-6544
福島県河沼郡会津坂下町字東南町裏甲3985-1
TEL 0242-83-2424(代)
FAX 0242-83-2442
ホームペ-ジアドレス:http://www.aizu-midori.com/
Emailアドレス:soumu@aizu-midori.com

 



 

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