茨城旭村農業協同組合 園芸販売課長
須加野 弘
管内の概要
平成17年10月11日、市町村合併により鉾田市が誕生しました。
茨城県の東の鹿島灘に沿って海沿い位置する鉾田市は、北は涸沼、南は北浦に接し、その内陸部のほとんどは平坦地となっています。
市の人口は約5万人で、県人口の1.7%、
面積は203.90平方キロメートルで、県面積の内3.3%を占めています。市内の耕地面積は9,190ha、そのうち水田2,200ha、畑7,010haとなっており特に畑作が盛んです。
JA茨城旭村管内(鉾田市旭地区)は、鉾田市の北に位置し、茨城県水戸市・筑波研究学園都市・鹿島港まではいずれも30km圏内、首都東京まで90km圏内にあります。
農業の概要
茨城県鉾田市の旭地域は、畑作農業が中心でビニールハウスによる施設園芸が盛んな地域です。また温暖な気候で、土壌は関東ローム層で水はけが良く、昼夜間の気温差が大きいことからメロンやトマトの栽培が盛んです。
市場性の高い作物の導入と栽培技術の向上に努めており、後継者も多く、栽培意欲も大変高い地帯です。中でもメロンは全国有数の産地であり、茨城県内では一番のメロンの産地です。春メロン・アールスメロン・トマトの三品目が茨城県青果物銘柄産地指定を受けています。
その他の作物としてはかんしょ、いちご、ほうれんそう、みず菜、パセリ、ばれいしょ、にんじんなどを栽培しており年間を通じて多種類の野菜が栽培されています。
メロンの栽培の概要
メロンの歴史は昭和38年ごろ、数戸の農家がプリンスメロン栽培を手がけたのが始まりです。
それまでは、麦、加工用かんしょ、落花生等が栽培されていましたが、昭和41年、プリンスメロン部会が結成され、プリンス、コサック、白雪、エリザベスなど多くのメロンが栽培され始めました。その後、高級志向の高まりとともにネット系メロンの試作が始まり、昭和53年にアンデスメロン部会が結成され、年毎にネット系メロンの栽培が増えてきました。
この結果、平成元年ごろには生産量の約8割がネット系のメロンが占めるようになりました。メロン栽培を始めた頃は、小型のトンネル(竹製)が主体でしたが、昭和47年ごろよりパイプハウスが導入され、出荷の時期も年々早まって、現在では4月中旬から出荷されています。メロン部会には300人を超える生産者が所属、おいしいメロン作りに一致団結して取り組んでいます。一戸当たりの平均面積は80aで、各戸数種類の品種を栽培しているのが通例です。
メロン栽培は、土づくりが基本であり、JAでは土壌診断を実施し、有機質肥料や完熟堆肥、輪作、緑肥等の組み合わせを指導して土づくりに取り組んでいます。
また、寒い時期に播種や手入れ作業をするので温度管理、朝夕の換気や日中の天候に合わせての管理作業、夜間は保温への配慮などが必要です。この作業がとても重要で大変な労働で、気軽に家をあけることもできません。一本の株から3~4個、実をつけてからの日数(積算温度)を数えて収穫します。
現在は、オトメ・アンデス・クインシー・ルピア・キンショー・タカミが栽培の主流であり、今年の出荷計画は160万ケース余となっています。
メロンの出荷時期は、4月中旬から始まり7月中旬ころまで首都圏を中心に東北から関東まで出荷しています。出荷の最盛期は、5月下旬から6月中旬ころまでで日量3万ケースから4万ケースとなっています。
出荷体制
青果物管理センターによる一元集出荷体制、大規模予冷施設、営農情報支援センターと最新設備を整えた選果場には個体別品質管理ができる最先端システムを導入しております。独自の生産管理システムを構築しており、「食の安全・安心」を消費者の皆さんに提供するために生産履歴の記帳を義務づけ、情報開示をしております。さらに、定期的に農薬の残留検査も実施して安全性の確認をしています。
品質管理をするために、非破壊検査(光センサー)機等も用いて選果を行い、玉一個毎にシールをはり栽培歴・防除歴・糖度等をインターネットや携帯電話を通じて公開しています。シールのナンバーを入力するとこれら情報が表示される仕組みです。
特に、メロンは食べごろがむずかしいことから、どれを食べてもあたり・はずれのないように、光センサーによる糖度の保証を行っています。糖度は12度以上のものから出荷していて、18度以上まで品種にもよりますが6ランク程度に細かく分けており、おかげで市場からは高い評価を得ています。
おわりに
私は今、「農」と「共生」の地域社会づくりこそ、JAの理念を実現する最善の途であると確信しています。
若いころは都市で働くにしても、定年後はまた農村に帰っていく「定年帰農」。あるいは孫たちが休みに祖父母の住む農村で経験する自然体験。このようなサイクルが生まれ、人が農村と都市を循環するようになれば、社会の中でも農業と農村がきちんと位置づけられることになり、まさに、「農と共生」が実現されると信じています。
そのためには、自冶体と連携体制を強化し、農村の良さを維持しながら生活環境を改善し、受け入れ・定住条件の整備を図ることが必要です。幸い、本県は高速道路網の整備も進み、都市との時間的距離は年々短縮されてきています。また、IT化の進展により、農村も都市と変わらぬ情報の受信・発信が可能になっています。
そこで、消費者や地域住民のニーズに対応できる、JA農産物直売所による産直の拡大や農業体験学習などコミュニティー活動を通じ、地域でとれた農産物を消費者に食べてもらうという「地産地消」の取り組みを拡大していきます。
私たちJAは、地域社会に根ざした協同組合として、これからの時代、「協同」「共生」そして「参画」を合言葉に、食料生産以外の農業・農村の持つ多面的機能をアピールし、安心して暮らせる住み良い地域社会づくりを目指してがんばります。
一言アピール