１　概要
　鹿児島いずみ農協は、平成４年に２市４町10農協が県下の先陣をきって広域合併JAを設立しました。また、平成18年３月の市町村合併により管内市町村は、出水市、阿久根市、長島町となり、２市１町となりました。管内の耕地面積は、平成15年度では8,030ha、うち水田面積3,470ha、普通畑は2,860ha、樹園地1,520ha、牧草地176haです。農業粗生産額は、平成15年度において4,072千万円、うち耕種は1,472千万円、畜産2,595千万円、加工品は５千万円となっています。畜産では、鹿児島黒牛の生産、野菜等では、そらまめや実えんどう、赤土ばれいしょなどの栽培がさかんですが、最近は、とくにそらまめや実えんどうの栽培に農協として力を入れています。

２　生産体制
　本州最南端に位置する鹿児島県は、南国の太陽を浴びる温暖な気象を生かしてそらまめを栽培しています。昭和44年に県内でいち早く米ノ津地区にそらまめが導入され、４月～５月に出荷する露地栽培を始めました。当管内では、露地野菜の重点品目として位置づけており、出水市・阿久根市を中心に全域で栽培しています。

そらまめ栽培カレンダー

　生産者組織として豆類部会を平成11年３月に設立し、県のブランド品目として同６月に指定を受けました。現在では、豆類部会を中心に共販活動の拡大や栽培管理の徹底を始めとする生産安定の取組等を推進し産地の基盤強化に努めております。

表１　出荷数量と面積の推移

　豆類部会の構成員は、現在450人ですが、65歳以上の高齢者が８割近くを占めています。そらまめは、９月～10月の播種後、栽培終了まで450時間かかるといわれ、手がかかる作物ですが、長年培った栽培のノウハウをもった熟練者が、熱心に栽培しています。とくにそらまめの栽培は成長とともに支柱を立て、さらにその成長に合わせて、ネットを張りめぐらせる作業がたいへんです。

　当管内では露地栽培がほとんどですが、一部ハウス栽培に取り組んでいる生産者もみられます。１戸当たりの栽培面積は、平均15ａから20ａといったところで、品種は、陵西一寸となっています。

　また、生産履歴の記帳や農薬をどのように使ったかの記録に４年前から取り組み、安心、安全な栽培を目ざしています。

　表１の出荷数量と面積の推移をみますと、面積の減少以上に出荷数量が減少していますが、ここ３年間ぐらいは、４月の１週目に霜害を受け、露地栽培ということもあって、数量減少となってしまいました。当地は温暖な気候で、４月には霜がめったに降りなかった地域なのですが、気候変動の影響か最近遅霜が続きました。

そらまめの栽培の様子

３　出荷体制
　当管内のそらまめは、４月～５月が出荷の時期で、とくに４月中旬から５月の連休までがピークとなります。短期集中出荷のため、箱詰等の農家の労力をできるだけ軽減させることと品質の統一を目的に、JA本所に選果場（選果施設）を建設し、平成14年４月から稼動させています。
　まず、農家は、収穫したさやつきのそらまめを朝10時までにコンテナで選果場に運びます。一日の平均搬入量は、１戸当たり20コンテナとなっています。選別規格は、Ｌ、Ｍ、Ｓの３種類で、Ｌは１つのさやに３玉入り、Ｍは２玉入り、Ｓは１玉入りとなっており、全体の比率はそれぞれ40％、30％、10％程度です。

収穫したさやつきのそらまめ
そらまめの選果機

４　販売戦略
　選果後、配送まで予冷庫で保管し、トラック輸送も低温車を使うなど品質には特にこだわっています。そうした努力の甲斐もあって、市場からも棚持ちがよいと評判をいただいています。

　選果した翌日に配送となり、２日目には、福岡や中四国、３日目には大阪、中京や関東の市場に運ばれます。販売面では、出荷先の選定を行い、とくに関東、中京を中心に重点的に出荷しています。

　選果施設の稼働に伴い共選率の向上や、品質の均一化に力を入れ、鹿児島ブランドとして指定を受けているそらまめの販売に力を入れています。

ダンボールに詰めされ、出荷されるそらまめ

　とくに露地で栽培する出水農協のそらまめは、品質がよく甘みがあることから、市場関係者や消費者から高い評価を得ています。今後も収量の増加をめざすとともに、おいしいそらまめを収穫後、できるだけ早く消費者に届けられるよう努力していきます。