十和田市農業協同組合 営農部 指導販売課 ねぎ専任担当 杉山 友也
2.県内一のねぎ産地
当JAのねぎの栽培は、長芋の価格低迷によって低下した野菜販売額の増加と輪作体系による土壌病害軽減のため、昭和58年の試作にはじまり昭和60年頃から本格的に作付けされ、秋冬ねぎでは平成2年、夏ねぎでは平成5年に国の産地指定を受けました。
当初、生産されたねぎは、市場の評価が高く、高値で販売されたことから、作付面積は昭和61年に18haでしたが、平成2年には45ha、平成4年には82haと急速に拡大し県内一の産地となりました。
しかし平成5年以降は、市況の変動や輸入ねぎの増加による価格低迷で、平成10年には54haまで減少しましたが、その後、補助事業による皮むき調製機(ベストロボ)や収穫機(ソフィー)の導入で省力化が進み、一戸当たりの作付面積が拡大されたことにより、平成16年には71haまで回復しました。
○:播種、●:定植、□:収穫
3.生産体制
当JAのねぎの生産体制は、JA統一の品種を活用し、また品種の特徴を活かして早生種、中生種、晩生種の3タイプで栽培指導を行っており、早生種は比較的短い生育期間で生長し、晩生種は長い生育期間を要するので、各生産者は、自分の作業スタイルに合った品種を選定し、栽培計画を組んでいます。
また当JAは、平成5年より、最終培土を終了した後も手作業で手直しを徹底することにより、葉身の緑色の部分と軟白の白色の部分がくっきりとした「ぼけしらずネギ」の生産に力を入れており、市場からは「見栄えが良い」と高い評価を得ています。
箱詰めされた「ぼけしらずネギ」
4.出荷体制
当JAの出荷体制は、個人選別が主流ですが、一部市場の要望を受けて平成14年より共同選別出荷を実施しています。
また、選別がしっかりした共選ねぎの評価は年々高まっており、個選との販売格差が広がりはじめている状況にあります。
5.販売戦略・ミネラル野菜の取り組み
平成12年、大手スーパーより産地指名を受けて始まったのが「十和田ミネラル野菜」です。
「ミネラル野菜」とは、中嶋農法(健全な土壌づくりと生育コントロールによる農法)に基づき従来の窒素、リン酸、カリウムに片寄った施肥体系を改め、足りない微量要素を補ってミネラルバランスのとれた土壌でつくられた野菜で、少肥料で栽培できたり、病害虫にも強いのが特徴です。また、大手スーパーからは「日持ちが良い、食感が良い」と高い評価を得ています。
当JAでは、この「ミネラル野菜」に取り組むために、次の三つの要件を示して進めています。
(1)必ず土壌診断をすること
当JAは、平成8年に補助事業で約4千万円の高性能土壌分析機を導入し、多量要素から微量要素までの分析をほ場ごとに行っています。
(2)ミネラル資材を投入すること
土壌分析の処方箋に基づいて「ミネラル資材」をほ場ごとに施用します。
また、分析結果も個々に異なるため、個々の分析結果が施用の基準となります。
糖度などの測定の様子
(3)出荷前の糖度、硝酸値を測ること
野菜の品目ごとに、基準値(糖度、硝酸値)が設定されているため、この基準値を出荷時にクリアしないと「ミネラル野菜」として出荷することは出来ないことになっていますが、ここがある意味、一番厳しいところでもあります。
これら三つの要件を満たして、はじめて「十和田ミネラル野菜」として出荷できます。
取り組みはじめた初年度(H12)は、6品目125戸の生産者しかいませんでしたが、昨年(H16)はほとんどの品目で取り組まれており、果菜類、葉菜類は100%、根菜類に関しては、80%までに達しています。
この取り組みは、決して高値で販売することが目的ではなく、生産者にとっては「野菜の作りやすさ、品質の高さ、安定多収」、消費者にとっても「日持ちが良くて甘味がある野菜」を提供することを第一の目的としています。
販売面では、スーパー量販店の棚をいつでも確保し「確実に売れる野菜づくり」をめざして取り組んでいます。
「ミネラル野菜」に取り組み5年が経過した現在では、多方面からの引き合いが強く、市場出荷はもとより「契約栽培」などを取り入れた販売方法に力を入れていきます。
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