[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

産地紹介


長崎県南高来みなみたかき郡 (ばれいしょ)

島原雲仙農業協同組合 企画管理部 企画開発課 川原 美佐子


1.JAの概況

 JA島原雲仙は、長崎県の東南に突出した島原半島全域を管内としています。島原半島は、周囲138.3km、面積458.8km2(県全体の11.2%)あり、平成3年に大噴火を起こした普賢岳(1,359m)を中心とした雲仙山系と、それに連なる東西約24km、南北約32kmの緩やかな丘陵地帯および海岸沿いに広がる平野部からなる1市16町を行政区とする広域合併JAです。

 年間の平均気温は16度と温暖で、一部地域は無霜地帯となっており、年間降水量は2,000mm、年間日照時間は2,200時間と気象条件に恵まれています。水とみどり豊かな島原半島の地域の特色を最大限に生かし、がまだす(島原地方の方言で、頑張るの意)農業の持続的発展と広域JAらしい事業体型を具備した、存在感ある自己完結型JAの創造を基本理念として、半島内の11JAが平成13年4月に合併し、誕生しました。

2.産地の概要

 管内の総農家戸数は10,948戸(長崎県全体の22.6%)で、うち専業農家は32.0%(長崎県全体の21.1%)、第1種兼業農家22.4%(同18.5%)と県比率より高くなっています。また、耕作面積は13千ヘクタールで、うち水田面積は37%、普通畑53%、果樹園10%で、特に畑地割合が63%と高くなっています。

 農業粗生産額は598億円で、長崎県全体の約40%を占めています。特に、いちごをはじめとする施設園芸と、ばれいしょなどの露地野菜、畜産部門が高く、長崎県を代表する農業地帯といえます。

3.栽培されているばれいしょの品種

 長崎県は、北海道に次ぐ全国有数のばれいしょの産地です。寒冷地の北海道と異なり、独自の品種改良が必要なため、長崎県総合農林試験場愛野馬鈴薯支場(南高来郡愛野町)で、改良と新品種開発が進められています。これまでに開発された品種の中でも「ニシユタカ」「デジマ」などの品種は、温暖な気候に適合した品種として誕生し、市場でも高い定評を得ており、春作を中心に大きなシェアを占めています。2003年には、味覚や見栄え、調理での使い勝手の良さと病害虫の抵抗力を高めた品種「アイユタカ」も生まれ、「生産農家の収益増加になるのでは」と期待されているところです。

 当JA管内でのばれいしょの栽培については、図1のとおりで、管内全域で栽培が行われ、生産高では長崎県全体の約79%のシェアがあります。なかでも、愛野町、千々石町、小浜町、南串山町、加津佐町、口之津町、南有馬町の南西部では、特に盛んに栽培されています。温暖な気候と雲仙山麓の標高差を生かし、トンネル、マルチ、秋作、秋作抑制など、1年間の中でも長期間にわたって「新じゃが」の出荷をしています。

図-1 島原半島の地図

 
作物カレンダー

4.こだわりのブランド

 ばれいしょの市場価格が低迷傾向にあるなか、生産者とJA、行政などが一体となってブランドの確立に成功した例もあります。愛の特選馬鈴薯生産組合が栽培する「あい小町こまち」や、小浜町北串の生産者が栽培する「温場おんばバレイショ」がそうです。

(1)「愛の小町」


「愛の小町」のほ場


選果場の様子

マルチ掛けの様子



 「愛の小町」は、赤土を客土したほ場で栽培したばれいしょで、鉄分、ビタミンを多く含み肌(果皮)がきれいなのが特徴です。「愛の小町」への取り組みは、ほ場の表土流失などにより、愛野町の基幹作物であるばれいしょの品質低下がみられた1987年、生産組合と行政、JAが一体となって、愛野町馬鈴薯生産振興対策事業としてスタートしました。

 客土によってほ場を若返らせ、高品質のばれいしょを生産するとともに、「果皮の赤いじゃがいも=長崎県愛野町」というようなインパクトを持たせ、市場に対するイメージアップと有利販売を目指しました。

 ばれいしょの栽培に適しているといわれる赤土に着目し、土の厚さにして約15~20cmを客土し、さらに完熟堆肥を入れ、「デジマ」、「普賢丸」といった食味の良い品種を栽培しました。その結果、鉄分で1.4倍(28ppm)、亜鉛で2倍(20ppm)と、一般品に比べミネラル(微量元素)成分の多いじゃがいもを栽培することに成功しました。

 関東地方では、「ホクホクしているが煮くずれない。美味しくてヘルシー」などと人気が高く、専用の売場を持つ大手スーパーもあります。同組合では、電話注文やリピーターへの対応にも柔軟に応じていて、じゃがいもを使った郷土料理のレシピや礼状などを同封して梱包しています。全国ネットのテレビで紹介されたことや口コミなどで毎年販路が広がり、出荷前から問い合わせや注文の電話があります。「愛の小町」は、今年も例年通り、春作、秋作合わせて約1000トンの出荷を見込んでいます。

(2)「温場バレイショ」

 「トンネル栽培よりももっと早く、新鮮さをアピールできるばれいしょを出荷できないか」と、今から25年ほど前に、表皮がつるりとむけるのが特徴である「温場バレイショ」への取り組みを始めました。「収量と新鮮さ」という相反する2つの条件を克服するため、試行錯誤を続けた結果、9月15日以降植え付け、1月上旬から2月にかけて出荷する現在の作型になりました。当JAのばれいしょ部会北串支部は、部会員130人が55ヘクタールのほ場で栽培しています。部会で種芋の植え付け日を決め、役員が全ほ場を確認して回り、違反したほ場は「温場バレイショ」としての出荷ができなくなるなど、厳しい規制を設けています。植え付け後2週間ほどで新芽が出揃ってからマルチ掛けをして育てます。12月に堀取り、1月上旬から出荷を始めますが、出荷日ごとに、個人ごとに出荷の割付を決め、一定量を東京、大阪など全国の主要都市に出荷しています。段ボールにも工夫し、内袋を入れ湿度を一定に保つなど、品質保持にもこだわりをもっています。こうした努力が実り、「表皮が手でむけ、新鮮そう。早春の食材として最適」と市場でも高い評価を受け、通常品よりも高値で競り落とされます。

 JAでは、高齢化する農家の労働力軽減と、品質の良い「温場バレイショ」の出荷のため、2000年に選果場を稼働させ、共選を始めました。また北串支店では、ばれいしょの堀取り時の農家の負担を軽減するため、堀取り労働者の斡旋も行うなど積極的に働きかけています。

 

5.出荷と販売


集荷場システムを操作する集荷場の女性従業員



 各地域ごとにブランド化に成功した例もあることから、出荷販売体制は各支部ごと、あるいは東西南北に配置された基幹営農センターごとの出荷体制をとっているのが現状です。JAは、これまでまちまちだった段ボールの規格などに着目し、2004年8月、段ボールコスト低減化検討会を開きました。規格の統一や、茶箱化、低コスト原紙の利用などについて、各生産部会と話し合いながら調整を進めています。また、出荷から精算までを、より早く確実に行うため2004年から「集荷場システム」を稼働しました。これは、管内に40カ所ほどある集荷場の業務を統一し、事務の迅速化・効率化を図るとともに、広い管内で今どうのように集出荷がなされているかを把握することを目的にしています。営農部販売流通課では、このシステムを活用し、仕向先の調整や多元的販売の確立を目指しています。さらには、重点市場を選定し、販売戦略を検討しながら、「農家が栽培した作物を1円でも高く販売しよう」と努力しています。

 

問い合わせ先

 島原雲仙農業協同組合
 営農部

 〒859-1306
 長崎県南高来郡国見町神代己476番地

 TEL 0957-65-3577
 FAX 0957-78-5561


今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ