1．産地概要

　ＪＡ新田郡は、群馬県の東南部に位置し、標高40～80m、年間平均気温は14.5℃であり、北に赤城山、南に利根川を控えており、地形は、平坦で扇状地の扇端部にあたるため湧水が多く、冬は上州名物の「からっ風」が吹き乾燥した日が続きます。また、東京より100km圏内にあり、国道17号線（上武国道）、国道354号線で各地と結ばれています。

　昭和40年代までは米麦養蚕中心の農業でありましたが、養蚕の衰退と米の減反政策に伴い青果物中心の地域となり、現在では、畑が約60％を占める畑作地帯です。露地野菜34品目、施設野菜13品目の多品目産地で、なかでも、大和芋、ねぎ、ほうれんそう、きゅうりの栽培が盛んです。また、特徴のある品目として高糖度トマト「ブリックスナイン」があり、名前通り糖度9以上のトマトで、出荷時に糖度を計測し、糖度のないものに関しては「じゃじゃ馬トマト」として出荷しています。また、当管内は県下でも有数な畜産産地であり、行政と連携して有機の里協議会を設立し堆肥利用の推進を行っています。

2．生産体制

　生産については、新田郡農協園芸振興協議会（会員1,232名）の体制で大和芋部会を始めとする専門部会14部会により構成され、ほうれんそう部会として生産および販売を展開しています。

　新田郡のほうれんそうは栽培方法の違いにより下記のとおり3つに分けられます。

　(1)露地栽培（トンネル）出荷は10月～4月が中心

　(2)雨よけ栽培（当方ではプロリンほうれんそうと称しています）周年栽培

　(3)ちぢみほうれんそう（寒じめ）12月下旬～3月上旬　

　露地栽培（トンネル）では、昭和40年代から桑園の跡地を利用して栽培が拡大し、昭和52年と55年に野菜集配送センターの開設で栽培面積および出荷量が増大しました。しかし、平成に入ると生産者の減少と作物転換などにより生産量は減少傾向になり、出荷形態も330g束から210gFG（防曇加工）袋へ変わってきました。

　

集出荷作業
プロリンほうれんそう圃場




新田野菜集配送センター
プロリンほうれんそう

ちぢみほうれんそう

　雨よけ栽培（プロリンほうれんそう）プロリンとはアミノ酸を称する意味で、有機質肥料の使用を基準とし、部会が行う栽培講習を受けた後に生産を希望する農家は、栽培登録申し込みを行います。そして、播種前に土壌診断（ＰＨ、Ｅ.Ｃ（電気伝導度）、微量要素）と診断に基づいた施肥を行います。収穫時には、営農指導員が圃場検査を行い、合格したものが出荷されます。ハウス果菜終了後に、その間を埋める形で栽培する生産者も多く、周年栽培を行う農家もいます。

　ちぢみほうれんそうは、上記の2つに比べ大きく異なります。まず栽培方法ですが、低温に強い性質を生かし、その低温下で（露地）栽培し甘みが増すのが特徴です。また、外観も、株が横に広がり茎葉がちぢむ一般の物に対して、特異性を持ったほうれんそうです。播種時期は10／上旬～下旬になり、出荷は12／下旬～3／上旬になります。また、プロリンほうれんそう同様、登録制で、施肥に関しては、微量要素まで計り施肥設計し、有機質主体の資材・微量要素資材および土壌改良資材を施します。出荷時に圃場検査を行い糖度を計測し、年内出荷は8度以上、1月以降は10度以上で合格となり出荷になります。

JA新田郡におけるほうれんそうの年度別出荷量の推移

JA新田郡におけるほうれんそうの年度別生産量、作付面積の推移

3．販売戦略

　新田郡産のほうれんそうは8～6月の周年栽培を通し、安定供給を目指しておりますが、主となる出荷時期は露地・トンネルの栽培を中心とした11～2月が最も出荷量が多くなります。また、消費者への信頼性向上と「安心・安全野菜」をモットーに、栽培管理記録簿の記帳と生産者名シールの添付を徹底しています。

　また、おいしいほうれんそうの栽培として、平成14年度より「ちぢみほうれんそう」の栽培に取り組み、年々消費者からの高い評価を得ています。

　今後のＪＡ新田郡として特徴ある商品づくりと共に安定供給を図って行きたいと思っております。

左、プロリンほうれんそう　右、ちぢみほうれんそう

問い合わせ

　新田郡農業協同組合

　販売部　園芸相談課

　〒370－0341

　群馬県新田郡新田町大字金井16

　TEL　0276－57－3215

　FAX　0276－57－3604

　E－MAIL　yasai@nitta.jagunma.net

　※平成17年3月28日をもって 太田市・尾島町・新田町・藪塚本町が合併し、太田市となります。なお、JA新田郡の新住所は、 群馬県太田市新田金井町16　となります。