1．産地概要

　三浦市は神奈川県の東南部に位置する三浦半島の最南端にあり、東に東京湾、西に相模湾と三方を海に囲まれ、気候は黒潮の影響を受け、冬は暖かく年間平均気温15.5℃、年間降雨量1500mm、年間日照時間2100時間以上と海洋性気候に属しています。

　温暖な気候条件を生かし、秋から春にかけては大根、キャベツ、夏はすいか・かぼちゃ・メロン・トウガンなどを中心に、少品目多量生産が主流になっています。

　管内の生産者には後継者が多く、年平均2.3作の輪作（例：秋冬大根→冬キャベツ→すいか）を行い、高い生産性を上げています。

　三浦市で「三浦大根」として最初に栽培されたのは、明治の頃からと言われています。当初は周りが海ということもあり、「三浦大根」の輸送は船で東京方面に運んでいたが、大正末期には自動車による輸送に移行しました。その後、農会などの指導により栽培技術が進むとともに、生産者による任意組合が組織されました。また、販売については東京方面の市場が中心となりました。

　昭和30年代後半になると、自家用と運搬用の車を所有する農家が多くなり、個人出荷が増えましたが、農協が共同出荷販売を強化し、昭和53年には300万ケースと半分以上が共同出荷となりました。

　また、「小型化」、「甘味嗜好」という消費動向を反映して、昭和54年に「青首大根」を導入しました。その後も「青首大根」の方が「三浦大根」より高く売れることから、昭和50年代の後半には「青首大根」が主流となり、現在では「三浦大根」の生産量のシエアは1％弱となってしまいました。

　また三浦市は、野菜生産出荷安定法に基き、秋冬大根・冬キャベツ・春キャベツの指定産地となり、野菜価格安定対策事業など計画生産出荷に努めています。

大根の過去5年の計画生産出荷

2．産地の主要品目の栽培カレンダー

　

　
一面の大根畑

　三浦市の大根は、冬でも青々と生育し、12月から3月を中心として出荷されています。キャベツは、早春キャベツが12月から3月・春キャベツは3月から5月に出荷されますが特に春キャベツは気象の影響を受けやすく集中出荷になることが多いので早期出荷奨励金を支出するなどして、計画的な安定出荷に努力しています。

　夏野菜では、すいかは収入が不安定なことなどから作付が減少していますが、拮抗植物のマリーゴールドの植栽や、ソルゴーなどの緑肥作物の導入が増えています。

・主な野菜の輪作体系

3．栽培と品種

　従来からの三浦大根（白）と冬大根と春大根に区分して出荷時期を決め、品種別に栽培方法を決めています。

出荷時期に合せたは種日と品種
（　）は春キャベツ間作の場合

4．生産体制

　

　
点在する堆肥舎

　三浦市内には県の試験場があり、管内の主要野菜の技術開発研究に取組み、さらに普及センターが事務局となって三浦半島農業改良推進協議会（県、市、農協など関係機関で組織）を発足して、農業技術の情報交換連絡調整普及など、農業生産の安定に努めています。

　また、生産者は、化学肥料の適正使用、健康的な土作り、地力保全を図るため、拮抗植物・緑肥作物の植栽、推肥舎の設置による有機質推肥の安定的な確保などに努めています。

　三浦市は、「安全・安心」はもちろん、消費者に喜ばれる品質、おいしい大根作りを行っています。

5．出荷体制

　特産・三浦野菜生産販売連合（三浦市農協・よこすか葉山農協による有利販売を目的とした共販推進組織、以下「連合」という。）が市場との窓口となり、全農神奈川県本部の指導・協力のもと、関東地域を中心に、51社の市場を中心に販売しています。

1）　冬・春大根共販出荷規格

容器はダンボール・量目は満杯詰め・葉の長さは原則として10cmで切る。

2）集出荷場

　管内には、17ヶ所の集出荷場があり、生産者は個人選果をした大根を持ち込み、担当職員が検査・荷受をします。市場別の出荷数量は、連合が決定して市場に輸送します。

6．販売戦略

　三浦の野菜は、生産者に防除管理日誌の記帳を徹底させるなど「安全・安心」は当然のこと、温暖な三浦半島の自然を充分に生かした露地栽培を行い、おいしい大根を提供しています。

　毎年7月から8月に大根の生産・販売の基本方針を生産者と協議して、9月に共同販売の生産出荷予約数量を取りまとめます。また、連合としての基本方針並びに販売予定市場を決定した後、その市場と販売方法などを協議したあと、出荷予約数量を基に販売を進めています。

7．問合せ先

特産・三浦野菜生産販売連合 （三浦市農業協同組合内）

〒238－0111　

神奈川県三浦市初声町下宮田3024－1

TEL　046－888－3145
FAX　046－889－4165

Eメール　miurasi.noukyou@alpha.ocn.ne.jp