[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

産地紹介


はまゆう農業協同組合 (宮崎県日南市)

はまゆう農業協同組合 営農部 
串間営農センター指導販売 瀬治山 久


産地概要

 JAはまゆう串間地区は、宮崎県の最南端に位置し東は日向灘、南は志布志湾に面する。年平均気温は、17.15℃、年間降水量2287mm、年日照時間1834時間と温暖多照な地区です。

 水稲の早場米・食用かんしょ・水田ごぼう・完熟きんかんなどの銘柄作物、マンゴーなどの作付面積が拡大しています。

 串間地区に施設きゅうりが導入されたのは、昭和40年ころで、昭和45年に国の指定産地を受けてから徐々に面積が拡大してきました。

きゅうり生産の推移

 当初は、抑制+半促成の2作型の摘芯栽培や抑制+メロンの作型で栽培が行われていましたが、平成5年からの平箱ワンタッチきゅうり栽培(ハウスで収穫しながら、箱に詰めて出荷する方法。きゅうりには1回しか手を触れないので、傷む率が低い)の導入により農家経営が安定してきました。

 そして、平成14年にワンタッチきゅうりとして宮崎県のブランド指定を受け、“次代を背負う後継者に「なるほど」と言わせるような銘柄産地をつくりあげよう”をスローガンに、これまで生産者とJAが一体となり工夫と改善に取り組んできました。その一端を紹介します。

指定巡回の実施

 生産者とJAの信用をより深く築きあげるため昭和60年より「指定巡回」と呼ばれるものを実施しました。これは指定した日時にJAが施設を訪問し、一戸当り約15分で情報交換を行うものです。生育のポイントである初期生育期は月2回を目安に行いますが、全戸ほ場巡回をするので管内の農家の情報が把握でき、葉色や立毛を見て作物の生育診断ができます。また、補完的に別途戸別巡回を行います。


「平箱きゅうりの収穫」

作業管理記録簿の記帳指導

 さらに、平成元年には作業管理記録簿をJA独自で作成し、全戸に配布して記帳指導を行いました。当時はただの月めくりの暦のようなものでしたが、農家の意見を取り入れ毎年改善を重ね、生産履歴簿を兼ねたものへと変化していきました。この管理簿により、過去と見比べることで作業の先が見え、同じ失敗を二度と繰り返さないよう気をつけることができるようになりました。

平成5年平箱きゅうり出荷始まる

 以前から串間地域のきゅうりは、機械選別によるレギュラー箱の出荷を行っていました。しかし機械選別をすると「イボ」が落ちてしまい鮮度が悪くなることから、安値で売られてきました。そこで、高付加価値を付けるため、きゅうりの平箱(ワンタッチ)による出荷が平成5年に導入されました。平箱を始めた当初は、「手間がかかるし、高値で売れていない」との生産者からの批判を受けながらも、説得し続けて実施してきました。また、栽培技術が確立していなかったことから、1月までは品質も良いが、2月以降は品質が落ちるため「串間の平箱は1月以降はいらない」と市場からの厳しい評価を受け販売に苦戦を強いられていました。しかし、その後栽培技術も確立し、今では「安心して買えるので6月まできゅうりがほしい」と市場の評価も上がってきました。


「つる下ろし作業」

栽培技術の向上

(1)自動開閉装置の普及

 栽培技術の向上には、大きく分けて二つの要因があります。一つは自動開閉装置の普及です。平成6年から7年にかけて普及を行い、現在の普及率は95%まで達しました。温度管理を人間の感覚で画一的に調整することは困難なことから、この装置を導入したことにより、きゅうりの品質規格の統一に向けての栽培技術が大きく発展しました。また手動で行っていた開閉作業時間が他の管理収穫へとまわされ、作付面積の拡大や適期作業へとつながりました。

(2)土づくり(ODD運動)の推進

 もう一つの要因が土づくりの推進です(オーガニックマター(有機物投与)・ディーププラウイング(深耕)・ダイアグノシス(土壌診断)の頭文字をとり「ODD運動」と呼ぶ)。平成5年より県や経済連の指導の下、講習会や土壌分析診断・戸別診断・品目別講習会を何年も重ねることにより、戸別施肥設計が確立され、当初の過剰であったカリウムや苦土などの肥料成分が改善され現在では基準値に近くなり、優良なほ場が増えました。

(3)FAXの普及

 インターネット、携帯電話など情報化時代の中で「FAXは紙の無駄」と言っていた中高年の農家が、JAから流れてくる台風情報や市況概況・現在の肥培管理・クレームの発生通知・目揃え会結果通知など多くの情報を自宅で入手できるようになりました。今では、60戸の部会員全員の自宅にFAXが設置され、農業経営の必需品となりました。

出荷体制

 串間地区の選別基準は下表のとおりです。出荷については個選と共選がありますが、殆どが個選出荷となっています。

選別基準

販売対策・トレーサビリティへの取り組み

 生産農家は「イボ」を落とさないよう品質規格を揃えて箱詰めし、ワンタッチという付加価値をつけて鮮度感をアピールした看板をたてて販売しています。

 もし実需者からクレームが発生した場合は、市場仲卸から連絡してもらい、JAから生産者にFAXや電話で通知して早急に改善ができる体制となっています。また一年おきに産地に仲卸業者を招待し、ほ場視察、情報交換を行い生産から販売までお互い責任を持ってコールドチェーンでつながるように連携をとっています。

 また、箱詰め講習会を農協全体や支所毎に開催していますが、家族や雇用者にも選果選別の徹底を図るため参加してもらい、検査員と共に末端までの指導を行っています。


 

「目揃え会」

「豊作祈願」

 トレーサビリティへの取り組みは、以前から栽培履歴の記帳指導を実施していたので、スムーズに実施することができました。また、減農薬栽培への取り組みはグループを作り毎月定例会を実施して研究を重ねています。

問合せ

 はまゆう農業協同組合
  営農部 串間営農センター指導販売

 〒888-0001
 宮崎県串間市大字西方6524-117

 TEL 0987-72-0464
 FAX 0987-72-4009




今月の野菜
元のページへ戻る


このページのトップへ