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産地紹介


岩井市農業協同組合 (茨城県岩井市)

岩井市農業協同組合 営農課
課長  内 田 芳 美


1.産地の概要

 岩井市は、関東平野のほぼ中央、茨城県の南西部に位置し、東京から50km圏内にあり、南側は利根川を挟んで千葉県と隣接している地域です。

 地形は、おおむね平坦で地質の大部分は猿島丘陵といわれる洪積層の畑地及び山林からなっています。また、大小の河川の沖積低地には水田が開けています。気温は、年平均13.9℃と比較的暖かく、降水量は年間1,200mm前後となっています。

 こうした自然条件のもとに、古くは米麦、葉たばこ、茶、こんにゃくを主体とする農業経営が盛んでした。昭和33年に利根川に芽吹大橋が開通し、東京への交通の便が良くなったことで、露地野菜を栽培する農家が増え始め、昭和40年代には、トマト、はくさい、レタス、ねぎ等が農家の主要品目として定着しました。

 現在は、露地野菜作付面積1,333haの55%(731ha)までをレタスが占めており、これに次いでねぎが31%(412ha)で農家経営の柱となり、首都圏及び地方都市への生鮮野菜の供給基地として重要な役割を担っています。

2.レタスの栽培概要

 主要品目のレタスは、茨城県の県西地区を中心に栽培され、春レタス(3~5月)と秋レタス(10~12月)の年2回栽培からなっています。JA岩井市に出荷する農家は507戸で、年間栽培面積571ha、出荷量は約2万トンで共販率は8割弱となっており、「惚レタス」のネーミングで出荷されています。


 

秋レタスの圃場風景。10月から出荷が始まる
 
主要都市へ出荷される「惚レタス」


3.生産体制の特徴

 岩井市の多くの野菜農家は、家族労働力を主体とし、レタス2作(春・秋)+ねぎ作(夏)を基幹作型としています。露地葉菜産地としては集約的な営農形態をとっており、比較的狭小な経営耕地面積(1ha未満層が厚い)でも専業的な農家が多く存在する産地です。

 JA岩井市では野菜品目ごとの部会はなく、JAに青果物を出荷する生産者は岩井市農協園芸部会に加入しています。平成15年度の園芸部会員数は568戸となっており、レタス販売農家が507戸でその大半を占めています。   

 一般的な県下の系統統一ブランドの「惚レタス」は、平成10年から有機質肥料分50%の専用肥料を全量使用しています。

 また、良品生産のために堆肥の投入や緑肥作物(ソルゴー)の栽培、土壌診断に基づく適正施肥など土づくりに重点を置いた生産が展開されています。また、連作障害回避のため、レタス(キク科)⇒ソルゴー(禾本科)⇒ねぎ(ユリ科)⇒キャベツ・白菜(アブラナ科)などの輪作体系が確立されています。

 最近では、さらにトレーサビリティ・環境保全型農業に向けて、「性ホルモン剤」利用による害虫防除や「青果物栽培管理台帳(施肥・防除日誌)」の記帳運動、ノーステープルダンボールによるレタス出荷、レタス包装時に排出されるフィルムくずの無料回収を実施しています。

4.出荷体制の特徴

 「京浜市場に一番近い大産地」と言われながら、複数の集荷場(7ヶ所)での集荷や午後4時までの集荷時間であったため、市場への分荷報告や出荷が遅くなり、信頼される産地ではありませんでした。

 昭和63年予冷センターの完成により、一元集荷一元販売体制(ロット拡大)、予冷出荷(付加価値)が確立され、併せて情報の早期伝達(販売先確保)を実現するため集荷時間を午後2時までとしました。

 規格は、平成7年に簡素化が進められ、それまで12等階級で区分されていた規格を8等階級としました。

 現在、通常品レタスの出荷規格は表2となっています。


 レタスは収穫適期期間が3~5日と短く、集中出荷となりやすいので、常に8分結球での収穫・出荷を心掛けています。

 JA予冷センターに持ち込まれた青果物は、等階級ごとにパレットに仕分けされ、約30分間、真空冷却装置で5℃まで冷やされたあと、その日の内に、京浜市場や北海道から大阪までの主要都市の市場に出荷されます。

5.多様な販売対応

 JA岩井市におけるレタス生産は、通常品(ラップレギュラー)のほかに生産者登録制(グループ化)による業務用レタス、高品質レタスの2つの形態があります。

 業務用レタスは、加工業務向けのダンボール出荷で、平成元年から裸レタス(ノーラップ)販売を開始し、平成12年からは一部通いコンテナ(イフコ)に繋げています。

 現在、業務用レタスは出荷量全体の5%程度となっており、22名の生産者をグループ化して取り組んでいます。価格はシーズン値決め(春・秋)で、1週間ごとに日別出荷量を生産者に割り振って対応しますが、出荷量が不足した時には通常品のラップを外して対応します。

 業務用レタスは、ラップ包装作業にかかる時間やコストが不要であり、価格が一定であることから、主に大規模レタス農家が取り組んでいます。

 また、高品質レタス生産は、平成7年から取り組みが開始され「名人レタス」のブランドで販売されています。「名人レタス」は減化学肥料・減農薬栽培を目標に一定の講習会を受けた生産者で、栽培基準に基づき独自に開発した有機肥料(有機質肥料分80%)、土づくり資材を使用し、農薬の使用も必要最小限に抑えた栽培となっています。また、出荷時の品質検査は行わず実需者からのクレームがあればグループから除名となります。

 現在、名人レタスは総出荷量の20%程度の割合を占めており、今後も拡大の方向で進めています。



6.問い合せ先

  岩井市農業協同組合 営農課

  〒306-0641
  茨城県岩井市大字鵠戸428-15

  TEL  0297-35-8338
  FAX  0297-35-7202
  Eメール jaiwaisi@dream.ocn.jp



 

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