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農林水産省から 野菜情報 2024年3月号

令和6年度予算案および令和5年度補正予算における野菜関係予算の概要

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農林水産省 農産局園芸作物課 総括係長 我妻 総
 令和6年度予算案および令和5年度補正予算における野菜関係予算について、概要を紹介します。

A 令和6年度予算案

1 野菜価格安定対策事業   【所要額:15,621百万円】
<対策のポイント>

 野菜(指定野菜・特定野菜)の生産・出荷の安定と消費者への安定供給を図るため、産地単位での計画的な生産・出荷に取り組むとともに、価格低落時には生産者補給金等を交付します。
<内 容>
(1)指定野菜価格安定対策事業
 「指定産地」で生産され、卸売市場に出荷される「指定野菜」の価格が著しく低下した場合に、補給金を交付します。
(2)特定野菜等供給産地育成価格差補給事業
 「特定産地」で生産され、卸売市場に出荷される「特定野菜」等の価格が著しく低下した場合に、補給金を交付します。
(3)契約指定野菜安定供給事業
 「指定産地」で生産される「指定野菜」の契約取引を対象に、不作時に不足分を市場から調達した場合等に、交付金等を交付します。
(4)契約特定野菜等安定供給促進事業
 「特定産地」で生産される「特定野菜」等の契約取引を対象に、不作時に不足分を市場から調達した場合等に、交付金等を交付します。
(5)契約野菜収入確保モデル事業
 産地を問わず、「指定野菜」の契約取引を対象に、契約数量の確保に必要な余裕作付分の出荷調整等を行った場合等に、交付金を交付します。
(6)緊急需給調整事業
 「指定野菜」のうち重要野菜・調整野菜の価格が著しく低下し、出荷調整を行った場合等に、交付金を交付します。
【支援対象者】
(1)~(4)の事業:一定規模の産地(指定産地又は特定産地)内で出荷団体を通して出荷を行う生産者又は直接出荷を行う一定規模以上の生産者
(5)の事業:産地要件によらず契約取引される指定野菜の生産者又はその生産者を含む団体、実需者と契約取引する中間事業者等
(6)の事業:(1)・(2)の事業の対象者等(指定野菜のうち重要野菜・調整野菜の生産・出荷を行う者に限る)
【支援対象品目】
<指定野菜(14品目):国民消費生活上重要な野菜>
 キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん 、ねぎ、はくさい 、ピーマン、レタス 、たまねぎ 、ばれいしょ、ほうれんそう
 ※は重要野菜または調整野菜
 ★ ブロッコリーを指定野菜に追加予定
 (令和6~7年度に特定野菜からの移行準備を進め、令和8年度事業から適用予定)
 
<特定野菜(35品目):国民消費生活上や地域農業振興の観点から指定野菜に準ずる重要な野菜>
 アスパラガス、いちご、えだまめ、かぶ、かぼちゃ、カリフラワー、かんしょ、グリーンピース、ごぼう、こまつな、さやいんげん、さやえんどう、しゅんぎく、しょうが、すいか、スイートコーン、セルリー、そらまめ、ちんげんさい、生しいたけ、にら、にんにく、ふき、ブロッコリー、みずな、みつば、メロン、やまのいも、れんこん、ししとうがらし、わけぎ、らっきょう、にがうり、オクラ、みょうが
【補助率】
 定額
 
2 加工・業務用野菜の国産シェア奪還(時代を拓く園芸産地づくり支援)   【770百万円】
<対策のポイント>

 加工・業務用野菜の国産シェア奪還に向けた産地リレーによる周年安定供給体制の構築等のため、加工・業務用野菜の新規産地、物流合理化に取り組む産地等、実需者ニーズに対応した多様な産地の形成に資する取組等を支援します。
<内 容>
 実需者からの国産野菜の安定調達ニーズに対応するため、加工・業務用野菜の契約栽培に必要な新たな生産・流通体系の構築、作柄安定技術の導入等を支援します(助成単価:15万円/10a(定額))。
[対象品目]
(1)加工・業務用

 たまねぎ、にんじん、ねぎ、ほうれんそう、スイートコーン、えだまめ、ブロッコリー、ごぼう、トマト(8~10月出荷)、セルリー(6~12月出荷)、にんにく、しょうが、さといも、えんどう(1~7月又は11~12月出荷)、キャベツ(11月又は1~5月出荷)、レタス(11~3月出荷)、かぼちゃ(11~6月出荷)、だいこん(4~7月又は10月出荷)、アスパラガス(2~5月又は9~11月出荷)
(2)生食用
 かぼちゃ(11~6月出荷)、トマト(8~10月出荷)
【支援対象者】
 民間団体等
【補助率】
 定額
 
3 みどりの食料システム戦略推進交付金のうちSDGs対応型施設園芸確立
              【650百万円の内数】(令和5年度補正予算額 2,706百万円の内数)
<対策のポイント>

 みどりの食料システム戦略の実現に向けて、環境負荷低減の技術を活用した持続可能な施設園芸への転換を促進するため、SDGsに対応し、環境負荷低減と収益性向上を両立したモデル産地を育成する取組を支援します。
<内 容>
(1)SDGs対応型産地づくりに向けた検討会の開催
 実証機器の選定及び検討会の開催を支援します。
(2)SDGs対応型産地づくりに向けた実証・普及の取組
  1.  化石燃料使用量削減等に資する新技術による栽培実証
  2.省エネ機器設備・資材・自家消費用発電システムによる効果的な加温体系実証
  3.  環境影響評価の実施
  4. 知見や技術等を広く普及するためのマニュアル作成や情報発信
 に対して支援します。
【支援対象者】
 都道府県・生産者・実需者等から構成される協議会
【補助率】
 定額、1/2以内
 
4 みどりの食料システム戦略実現技術開発・実証事業のうちスマート農業の総合推進対策のうちデータ駆動型農業の実践・展開支援事業   【193百万円】
<対策のポイント>

 データに基づき栽培技術・経営の最適化を図る「データ駆動型農業」の実践及び施設園芸における化石燃料使用量削減に向けた取組を促進するため、データ駆動型農業の実践体制づくりやデータ駆動型農業および化石燃料使用量削減に資する施設園芸への転換に係る事例収集やノウハウの整理・横展開、海外等におけるスマート技術を含む施設園芸の現地生産に係る事業化可能性調査を支援します。
<内 容>
(1)データ駆動型農業の実践体制づくり支援
 施設園芸産地を中心として、データに基づき栽培技術・経営の最適化を図る「データ駆動型農業」の実践を促進するため、産地としての取組体制の構築、データ収集、分析機器の活用、新規就農者の技術習得等を支援します。
(2)スマートグリーンハウス展開推進
 従来型の既存ハウスからデータ駆動型の栽培体系への転換や、化石燃料の使用量削減に資する施設園芸への転換に係る事例収集、課題・ノウハウの整理、更なる低コスト化の検討、農業者への情報発信等の取組を支援します。また、海外等においてスマート技術を含む施設園芸の現地生産に取り組むにあたり、課題となりやすいポイントごとに、本格的な事業化に先立った事業化可能性調査を支援することにより、スムーズかつ低リスクな事業化を推進します。
【支援対象者】
 都道府県・生産者・実需者等から構成される協議会、民間団体等
【補助率】
 定額、1/2
 
5 農林水産分野における持続可能なプラスチック利用対策事業のうち農畜産業プラスチック対策強化事業          【164百万円の内数】
<対策のポイント>

 農林水産業・食品産業におけるプラスチック資源循環の取組を支援します。
<内 容>
 農畜産業における廃プラスチックの排出抑制と循環利用の推進に向けた先進的事例調査等を支援します。
【支援対象者】
 民間団体等
【補助率】
 定額
 
6 養蜂等振興強化推進のうち花粉交配用昆虫の安定確保支援   【219百万円の内数】
<対策のポイント>

 花粉交配用昆虫の安定確保を図るため、園芸産地と養蜂家の連携や在来種マルハナバチの利用拡大の取組を支援します。
<内 容>
 園芸産地において、花粉交配用蜜蜂を養蜂家と連携して安定的に確保する協力プランの作成や蜜蜂の適切な管理技術、他の花粉交配用昆虫による代替技術の実証等を支援します。また、特定外来生物であるセイヨウオオマルハナバチから在来種マルハナバチへの転換実証を支援します。
【支援対象者】
 都道府県・生産者等から構成される協議会、民間団体等
【補助率】
 定額
 
7 強い農業づくり総合支援交付金   【12,052百万円の内数】
<対策のポイント>

 食料生産・供給の不安定化や労働力不足等、生産構造の急速な変化に対応するための先駆的モデルや農業支援サービス事業体の育成等を支援します。また、産地の収益力強化と持続的な発展のため、強い農業づくりに必要な産地基幹施設の整備等を支援します。
<内 容>
(1)食料・農業・農村基本法の見直しを踏まえた先駆的モデル等の育成
 1. 先駆的モデル支援タイプ
  食料・農業・農村基本法の見直しを踏まえた新しい農業のモデルを創出していくため、安定的な生産・供給等を実現しようとする先駆的モデルの育成を支援します。
 2. 農業支援サービス事業支援タイプ
  農業支援サービス事業の提供に必要な農業用機械の導入を支援します。
(2)地域の創意工夫による産地競争力の強化(産地基幹施設等支援タイプ)
 1. 産地収益力の強化、産地合理化の促進
 産地農業において中心的な役割を果たしている農業法人や農業者団体等による集出荷貯蔵施設や冷凍野菜の加工・  貯蔵施設等の産地の基幹施設の整備等を支援します。また、産地の集出荷、処理加 工体制の合理化に必要な産地基幹施設等の再編等を支援します。
 2. 重点政策の推進
 みどりの食料システム戦略、スマート農業、産地における戦略的な人材育成といった重点政策の推進に必要な 施設の整備等を支援します。
【支援対象者】
 農業者、農業者の組織する団体等
【補助率】
 1/2以内等

B 令和5年度補正予算

1 産地生産基盤パワーアップ事業   【31,000百万円】

<対策のポイント>
 収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、農業者等が行う高性能な機械・施設の導入や栽培体系の転換等に対して総合的に支援します。また、輸出事業者等と農業者が協働で行う取組の促進等により海外や加工・業務用等の新市場を安定的に獲得していくための拠点整備、需要の変化に対応する園芸作物等の先導的な取組、食料安全保障の確立に向けた国産農産物のシェア拡大に資する取組、全国産地の生産基盤の強化・継承、土づくりの展開等を支援します。
<内 容>
(1)新市場獲得対策
 1. 新市場対応に向けた拠点事業者の育成及び連携産地の対策強化   
 新市場のロット・品質に対応できる拠点事業者の育成に向けた貯蔵・加工・物流拠点施設等の整備、拠点事業者と  連携する産地が行う生産・出荷体制の整備等を支援します。
 2. 園芸作物等の先導的取組支援
 園芸作物等について、需要の変化に対応した新品目・品種、新樹形の導入や栽培方法の転換、技術導入の実証等の 競争力を強化し産地を先導する取組を支援します。
 3. 国産シェア拡大対策
 国産麦・大豆の増産や安定供給に必要な農業機械の導入や集出荷貯蔵施設等の整備、国産加工・業務用野菜等のサ プライチェーンの強靱化に向けた農業機械・技術等の導入、流通加工施設の整備、需要拡大に資する全国的な取組等を支援します。
(2)収益性向上対策
 収益力強化に計画的に取り組む産地に対し、計画の実現に必要な農業機械の導入、集出荷施設の整備等を総合的に支援します。また、施設園芸産地において、燃油依存の経営から脱却し省エネ化を図るために必要なヒートポンプ等の導入等を支援します。
(3)生産基盤強化対策
   1. 生産基盤の強化・継承
 農業用ハウスや果樹園・茶園等の生産基盤を次世代に円滑に引き継ぐための再整備・改修、継承ニーズのマッチング等を支援します。
 2. 全国的な土づくりの展開
 全国的な土づくりの展開を図るため、堆肥や緑肥等を実証的に活用する取組を支援します。
【支援対象者】
 農業者、農業者の組織する団体、民間事業者等
【補助率】
 定額、1/2等
 
2 施設園芸等燃料価格高騰対策事業   【4,500百万円】
<対策のポイント>

 経営費に占める燃料費の割合の高い施設園芸等において、燃料価格高騰の影響を受けにくい経営への転換を進めるため、計画的に省エネルギー化等に取り組む産地を対象に、農業者と国で基金を設け、燃料価格が一定の基準を超えた場合に補塡金を交付します。
(1)対象燃料:A重油、灯油、LPガス(プロパンガス)、LNG(都市ガス)
(2)対象期間:10月~翌6月
 
3 高温対策栽培体系への転換支援   【270百万円】
<対策のポイント>

 今夏の猛暑を始めとする高温化傾向による農作物への影響を軽減するため、高温環境に適応した栽培体系への転換に向けて、地域の実情や品目に応じた高温耐性品種や高温対策栽培技術を迅速に産地に導入するための実証を支援します。
<内 容>
 農業者、農業者団体、行政などの地域の関係者が取り組む高温耐性品種の導入、高温対策栽培技術の取組等を組み合わせた高温対策栽培体系への転換に向けた実証を支援します。
【支援対象者】
 農業者の組織する団体、地域農業再生協議会、都道府県等
【補助率】
 1/2(補助上限600万円/1事業実施主体)
 
4 園芸産地における事業継続強化対策   【260百万円】
<対策のポイント>

 自然災害発生に予め備え、災害に強い産地を形成するため、園芸産地における非常時の対応能力向上に向けた複数農業者による事業継続計画(BCP)の策定を支援します。また、BCPの実行に必要な体制整備やBCPの実践に必要な取組を支援します。
<内 容>
 産地の生産部会等の単位で複数農業者による共同の事業継続計画(BCP)を策定し、計画に基づく事業の継続や非常時の早期復旧に必要な体制整備、BCPの実践に必要な技能習得、災害復旧の取組実証、ハウスの補強等の被害防止対策に資する取組を支援します。
【支援対象者】
 市町村、農業者の組織する団体等
【補助率】
 定額、1/2
 
5 グローバル産地生産流通基盤強化緊急対策事業のうち青果物輸出産地体制強化加速化事業   【40百万円】
<対策のポイント>

 青果物輸出産地の体制を早急に強化するため、輸出先国の植物検疫条件や残留農薬基準等の規制に対応した生産体制や、品質保持のための流通体制の強化、輸出向けロットの確保等に向けて複数の産地と輸出事業者が連携して行う取組を支援します。
<内 容>
 輸出先国・地域における残留農薬基準値等の規制やニーズに対応した青果物の生産体系の強化のため、残留農薬分析、防除暦の見直し、効率的な植物検疫対応技術の導入などの取組を支援します。
 また、輸出先国・地域におけるニーズに対応した青果物の品質を確保するため、長期保存・鮮度保持流通体系の確立に向けた最適条件の検討、産地における鮮度保持のための機器等のリース導入、MA包装等を組み合わせた輸送手法の導入などの取組を支援します。
 さらに、輸出向けロットの確保や流通の効率化等を図るため、複数の産地と輸出事業者による、産地間連携に向けた合意形成、効率的な集出荷手法や輸出用容器・包装形態の検討・導入にかかる実証などの取組を支援します。
【支援対象者】
 民間団体等
【補助率】
 定額、1/2
 
 なお、農林水産省ホームページに園芸作物課関係予算の概要資料を掲載しておりますので、そちらもご参照ください。
【URL】
<園芸作物(野菜・果樹・花き)に関するページ>
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/index.html
 
<令和6年度予算概算決定及び令和5年度補正予算の概要>
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/attach/pdf/index-50.pdf