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農林水産省から


野菜の消費拡大対策について

生産局 園芸課 流通加工対策室 消費班


 昨年1年間に国民1人が食べた野菜の量は95kgでした(食料需給表)。10年前の平成8年には105kg食べていましたので、10年間で1割減少したことになります。

 野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの重要な供給源であるばかりでなく、近年では、ガンをはじめとする生活習慣病予防にも効果があるとされており、国民が健康的な食生活を送る上で重要な食品であります。このため、厚生労働省は、「健康日本21」において1日1人当たり350g以上の摂取を推奨しています。

 しかしながら、日本人の野菜の摂取状況を詳しく見てみると、全ての年齢層で、目標とする350gを下回るなど、野菜の消費拡大に向けた取組が一層重要になってきています。

 このような状況の中、農林水産省では野菜消費を拡大するため、次の4つの柱で消費拡大対策に取り組んでおります。

  1. 野菜の栄養成分・機能性に係る情報提供の産地における取組促進
  2. 外食・中食における野菜利用増大及び普及啓発活動の取組推進
  3. 野菜嫌いをなくすための食育体験による野菜摂取拡大活動の支援
  4. 企業・団体における健康のための野菜摂取拡大活動の支援

今回は、それぞれの取組について、その概要と成果をご紹介します。

1 野菜の栄養成分・機能性に係る情報提供の産地における取組促進
 全国アンケートによると8割以上の消費者が「栄養成分含有量の多少」が野菜摂取に影響すると答えています(食生活情報サービスセンター)。消費者の健康志向が高まっていることから、野菜の健康に対する重要性をアピールするために、産地サイドで野菜の栄養成分量を分析し、成分量及びその機能性に係る適切な情報を提供する取組を実施しています。

 これまで、にんじん、冬春・夏トマト、夏・冬ピーマン、キャベツについて取組を実施、平成19年度は、ほうれんそう、ブロッコリー、たまねぎについて検討を進めています。

(1) 分析値の変動を調査
 店頭で産地や品目の情報をわかりやすく書いたPOPに成分量を○mgと情報提供することが本取組の重要なポイントとなります。POPには分析日を記載するものの、実際の成分とPOPに記載した成分量が著しく異なることは望ましくないので、収穫開始から週1回の分析を実施し、成分量がどのように変化するかを調査しています。

 また、栄養・機能性成分の分析には相当の費用がかかりますので、できるだけ産地の負担とならぬよう、必要最小限の分析回数としたいところです。昨年度までの検討の結果、にんじんなどは成分量の変化が少なく、収穫初期の値を用いることができると考えられました。逆にトマトのβ-カロテンは変化が大きいので、月1回程度の分析が必要とされました。

(2) ラベル、POPに記載する文言の検討
 食品の表示に関しては、すべての商品やサービスの誇大な広告や虚偽の表示を規制する「景品表示法」、健康保持増進効果等について、事実に著しく相違するまたは人に誤認を与える表示を規制する「健康増進法」、医薬品以外で薬効をうたうことを禁止する「薬事法」、加工食品等の品質や表示を定める「JAS法」など、いろいろな法律の規制の対象となっていますので注意が必要です。

 そこで、これら法律に抵触しない適切な表示について検討しました。次に示したのはその一例です。

トマト ラベル:
真っ赤に熟したトマトは、リコペン(赤色)とカロテン(黄色)を多く含んでいます。
POP:
真っ赤に熟したトマトは、リコペン(赤色)とカロテン(黄色)を多く含んでいます。
リコペンとは…トマトの赤みをつくっている色素で、抗酸化作用があり、活性酸素の働きをおさえると言われています。
カロテンとは…体内でビタミンAに変化します。油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。

(3) 店頭における情報提供及び効果検証
 量販店の店頭で情報提供する取組をモデル的に実施し、その効果について検証したところ、販売量は平均約1割増加し、消費拡大効果が確認されました。

 これらの成果を基に、近日中に「栄養・機能性成分情報提供マニュアル」を作成し、野菜産地及び量販店等に配布する予定です。


作成したPOP、ラベルの例

2.外食・中食における野菜利用増大及び普及啓発活動の取組推進
 食の外部化率が進展していることから、野菜使用量の比較的少ない外食・中食における野菜利用増大を図るために、主な野菜について品種毎の調理特性をまとめたメニュー開発用の冊子の作成、モデル店舗の設置及びイベントの開催による普及・啓発活動等を行っております。



(1) 「外食・中食の現場で役立つ野菜の素材集」の作成
 野菜の各品目には多種多様な品種があり、それぞれの品種毎に、サラダ等の生食に適しているもの、煮る、焼く、炒める等の加熱調理に適しているもの等、その調理特性には様々なものがあります。そこで、たまねぎ、トマト、なす、ねぎ、だいこん、かぼちゃの6品目について、品目毎に4~8品種を選択し、生、煮る、蒸す、揚げるなど5~6通りの調理を行い、専門のパネルによる官能評価を実施しました。素材集には各品種が持つ調理特性を引き出すための調理法・食べ方についての具体的な情報を盛り込み、外食・中食企業に配布しました。

 配布後は、多くの企業から追加配布の希望があるなど反響が大きかったことから、今年度は新たににんじん、レタス、ほうれんそうの3品目について調査を実施し、追録として配布する予定です。

(2) 外食・中食モデル店舗の設置
 平成18年度は、外食275店舗、商業施設1箇所、中食6店舗、コンビニエンスストアチェーン1企業で、野菜摂取の重要性や野菜摂取目安(5皿分以上)の普及・啓発をモデル的に実施しました。

 特にコンビニエンスストアチェーンでは、弁当等を購入する消費者に対し野菜の摂取目安等に関する情報をポスター等で表示した場合、利用者の野菜サラダの購買行動がどの程度変化するのかについて検証を行ったところ、野菜サラダの販売個数、金額は掲示前に比べそれぞれ5%、6%増加しました。

(3) イベントの開催
 平成18年度は、消費拡大イベント及び外食・中食業者と産地との情報交換を東京、大阪、九州の3箇所で開催しました。平成19年度は新たに果物を加え、9月8、9日に「日本全国野菜・くだものフェア2007」を開催しました。


3.野菜嫌いをなくすための食育体験による野菜摂取拡大活動の支援
 野菜嫌いが顕著な児童等を主な対象とし、量販店の店頭や教育の場等を通じ、食と健康の大切さの理解浸透を図るために、平成18年度は、民間団体のファイブ・ア・デイ協会により食育体験ツアーが全国で341回開催されたほか、園児向け食育教材及び保護者向け冊子が全国の幼稚園等に配布されました。平成19年度は、出前事業等を全国で450回開催する予定です。

4.企業・団体における健康のための野菜摂取拡大活動の支援
 野菜の不足がちな成人に対し、1日当たりの野菜摂取目安を摂取することの重要性をアピールするために、企業・団体において野菜摂取による健康維持・増進の普及活動、野菜摂取の実態調査等を実施しています。

 平成18年度は、「従業員食堂における野菜摂取推進活動の手引き」を作成し全国の企業等に配布しました。手引きでは具体的な取組方法をステップ1~3で提案しました。

 手引きを配布したところ、たいへん反響が大きく、全国の保健所等から企業の指導に活用したいとの要望が多数寄せられました。



「従業員食堂における野菜摂取推進活動の手引き」より

 平成20年度から施行される医療制度改革の中では、40歳上の被保険者・被扶養者の健康診断と診断結果に基づく保健指導が健康保険組合に義務づけられることになっており、これに平行して間接的に企業の役割も求められていく可能性があります。

 平成19年度は、企業の優良事例を共有し普及に弾みを付けるため、事例集を作成するとともに、次のとおり事例発表会を開催します。

 最後に、米国においては、健康の観点から野菜と果物が中心の食生活への転換を促すため、国を挙げて5 A DAY(ファイブ・ア・デイ)運動を展開した結果、取組を始めてから12年間で野菜消費量は約1割増えています(米農務省 供給粗食料2004/1992)。

 日本においても、野菜業界が一丸となり、野菜摂取促進活動を国民運動にまで高めていくことにより、市場規模の拡大につながると期待しています。


平成19年度事例発表会

メインテーマ :
「従業員食堂における食生活改善支援の現状と課題~野菜摂取を中心に~」
日     時:
平成19年10月10日(水)13:30~16:30
場     所:
都道府県会館(http://www.tkai.jp/info/index.html
〒102-0093 東京都千代田区平河町2-6-3 
TEL 03-5212-9162
参  加  費:
無料
問い合わせ先:
(財)食生活情報サービスセンター


「外食・中食の現場で役立つ野菜の素材集」、「従業員食堂における野菜摂取推進活動の手引き」及び「栄養・機能性情報提供マニュアル(予定)」については「野菜等健康食生活協議会ホームページv350f200.com」(http://www.v350f200.com/






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