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農林水産省から


加工・業務用野菜需要への取り組みについて ~品目別・用途別ガイドライン5品目追加、標準的な取引手順を作成~

生産局 野菜課 流通加工対策室




■はじめに

  近年、加工・業務用野菜の需要が増えている中、実需者の求めに応じた野菜の安定
的供給体制の構築が喫緊の課題となっています。

 このため、農林水産省では、平成17年度から加工・業務用野菜需要への取り組みを進めておりますが、平成18年度は全国段階、地域段階において実需者等関係者の間での国産野菜の契約取引の推進などについて幅広い情報交換会の実施や産地と実需者とを結びつける取り組みを積極的に行ってきました。その一環として、社団法人日本施設園芸協会が加工・業務用野菜需要に対応した取り組みを行う際のポイントとなる5品目(キャベツ、たまねぎ、にんじん、ねぎ、だいこん)の「品目別・用途別ガイドライン」を、前年度の3品目(レタス、ほうれんそう、トマト)につづき作成しました。

 また、合わせて契約取引を行う際の「標準的な取引手順」及び「契約書作成例」をも作成しましたので、各産地で行う研修会などで、本教材を積極的に活用していただくことを多いに期待しています。

■品目別・用途別ガイドラインの概要

【キャベツ】
  実需者は、加熱調理用、カット用を中心に「巻きが硬い」、「葉質がしっかりしている」、「水分含有率が低い」、「加工歩留まりが高い」等の特性を有する寒玉系キャベツを周年必要としています。現在、品種開発(在圃性の付与等)も進んでおり、種苗会社等とも連携した4~5月どりの寒玉系キャベツの安定供給が求められています。


※ 納品時の重量、使用する容器の種類や容量については、実需者毎の取り決めが必要(たとえば、10kg詰めダンボール、15kg詰めコンテナ、250kg詰め鉄コン等)。
※※ 春系、寒玉系等の品種選定については、実需者が、水分含有率、甘さの程度、盛りつけ時のボリューム感、色合い、加工歩留まり等のいずれを重視するかによって異なる。

【たまねぎ】
  大きさは、加工歩留まりを高めるため、腰高でLないし2L以上の大玉が基本です。
  大玉たまねぎの輸入が増加しており、北海道産、府県産ともに適切な品種選定をはじめ、これまで以上に大玉生産に力点を置く必要があります。


※ 加熱調理用の場合、加熱調理で形を残す必要があるものとそうでないものとでは、求められる品質内容が異なる。

【にんじん】
  カット用等に利用される大型規格のにんじんは周年必要とされていますが、特に4~6月の時期に国産の大型規格のものが不足しがちになると言われています。このため、4~6月に大型規格のにんじんを安定供給できる体制作りを早急に進める必要があり、新たな産地が出来ることが期待されています。


※ ジュース原料用の場合、規格についての許容範囲は広いが(ただし、割れ・二股等 は異物混入の恐れがあるため不可)、糖度やカロテン含有量が高いこと、製品として の色等が大切であり、通常、メーカーによる品種指定が行われている。

【ねぎ】
  求められる規格が用途別に異なる点に大きな特徴があります。ただし、同じ用途であっても、求められる規格は実需者毎に異なる面もあり、下記の内容は一つの目安を示したものです。


※ 白髪ねぎの場合、使用されるのは表皮2~3枚程度であり、歩留まりを高めるため には一定以上の太さが必要とされる(3~3.5cm程度の太さを求める実需者もみられ る)。
※※ 鍋用の場合、軟白部が柔らかく加熱すると甘みが増すもの等も使用。
※※※ ねぎまの場合、肉の大きさとのバランスが大切であり、実需者によって求めら れる規格は異なる点に留意。

【だいこん】
  用途別ニーズに合った品種選定を行い、実需者の求める規格とすることが重要です。
  このため、品種選定や規格については、実需者別・用途別にきめ細かな協議が必要です。


※ ツマ、おろし用の場合、白さが大切なので、白首のほか、青首品種でも内部まで青くならない品種がよい。サラダ用については、甘みがあるものを求める実需者もあり。
※※ 煮物用では白首だいこんも使用。おでん用の場合、一定の直径、厚さのものを、一定数くり抜く(たとえば、直径5.5cm、厚さ3cm等)ため、利用する部分が直径7 cm以上、長さ30cm程度の一定の太さのものが求められる。


■標準的な取引手順と契約書類の作成例

  加工・業務用野菜の生産者においては、定時・定量の供給に対応していくため、実需者と予め価格、数量、品質・規格等を決定し、書面をもって契約した上で、計画的な生産・出荷を行っていくことが重要です。しかしながら、これまでは契約取引に関するノウハウが少ないことから口頭での契約(約束)等が多く、取引の安定性や信頼性に欠ける面がありました。

 このため、播種前から出荷終了までの間に、関係者が行うべき業務内容を整理した「標準的な加工・業務用野菜の取引手順」と、関係者間で取り交わす「契約書類の様式」を示し、業務の参考としていただくこととし、学識経験者、生産者団体、流通業者、実需者の5名からなる作成部会を設置して、「標準的な加工・業務用野菜の取引手順」と関係者間で取り交わす「契約書類の様式」を作成しました。

 関係者の皆様には、これらをもとに、売り手、買い手の何れにもメリットのある公
平で公正な契約取引を推進されるよう期待しています。

 なお、現在、契約取引に取り組む産地のリスクを軽減する事業(契約野菜安定供給事業)を推進しております。本事業に加入するには、予め、実需者等と書面による契約を行い、農畜産業振興機構等に交付予約申込みを行うことになっております。ただし、今回作成した「契約書類の様式」は標準的なものであり、当該事業に関わる契約書の様式内容とは異なる点がありますので、事業へ加入の際は農畜産業振興機構までお問い合わせ下さい。


■平成19年度の主な取り組み

  前述の「品目別・用途別ガイドライン」については、5月上旬から6月下旬にかけて全国9ブロックでの説明会を開催するほか、今後、予定されている地域課題検討セミナーや産地で契約の実務を指導する担当者を育成するためのセミナー等の機会を通じて普及を図ることとしています。また、本ガイドライン等を活用しつつ、新たに加工・業務用需要に対応する産地等を支援していくため、以下の事業を実施することとしています。

(1) 国産野菜安定供給確立事業
  供給不安定要因の徹底的な排除に向け、既存の産地にこだわらず生産可能な地域、品種、栽培技術等について、徹底的に検証、調査を行い、これを整理の上、ニーズが高いにもかかわらず国内対応が不十分な品目(例:4~6月のにんじん、4~5月の寒玉系キャベツ、府県産たまねぎ、冬レタス、パプリカ)について、生産の可能性を実証します。

 また、全国8ブロックにおいて地域課題検討セミナー、全国を対象にした加工・業務用対応産地拡大シンポジウム(仮称)を開催する予定です。

(2) 契約取引拡大対策事業
  実務能力を備えた産地指導者の育成に向けて、座学と現地実習等を組み合わせた産
地リーダー兼契約担当者の育成セミナーを、全国を5ブロックに分け計6回開催します。
(3) 産地と実需者の交流会
  平成19年度は、東京(7月6日、11月21日)と大阪(11月9日)で産地と実需者の交流会を開催します。

 本催しは、農畜産業振興機構と協力し、加工・業務用への供給を拡大したい産地と実需者との相互理解を深め、国産野菜の契約取引を推進するために実施するもので、これを機に品目別・用途別ガイドラインの普及とともに国産野菜が多くの実需者に利用され、今後の加工・業務用野菜の生産拡大や契約取引につながることを期待しています。


■おわりに

  本ガイドラインについては、取りまとめにあたった社団法人日本施設園芸協会のホームページhttp://www.jgha.com/からダウンロードできますのでご利用下さい。

 都道府県、農協等の生産者団体等の関係者の方には、是非これらの事業やガイドライン等をご活用いただき、加工・業務用野菜需要に対応する生産・出荷体制を整えていただくことを、強く願っております。





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