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農林水産省から


平成19年度野菜関係予算案の概要

生産局 野菜課


 野菜については、産地における高齢化等を背景として、近年、作付面積、生産量ともに減少傾向となっている一方、輸送技術等の発達を背景に、加工・業務用に使う野菜を中心に輸入が増加している。このため、野菜を安定的に供給できる産地づくりと加工・業務用野菜の国産シェア拡大が重要な課題となっている。
 このような課題に対応するため、
(1) 担い手の育成・確保を進めるとともに、加工・業務用に適した野菜を安定的に供給するための契約取引の推進、
(2) 加工・業務用に野菜を出荷できるノウハウを持った生産者の育成、生産者・流通業者・実需者の連携による一貫輸送等や用途に応じた出荷を可能とする施設等の整備への支援
等を行うことにより、消費者等のニーズに的確に対応した担い手を中心とした安定的な野菜の生産・出荷体制の確立を図り、加工・業務用需要における国産野菜のシェアを拡大していく考えである。

1 野菜価格安定制度・需給安定対策の見直し

<対策のポイント>
 消費者等のニーズに的確に対応した生産を行う担い手の育成・確保と担い手を中心とした安定的な野菜の生産・出荷の確立を図るため、契約取引、需給調整の的確な実施を一層推進するとともに、担い手を中心とした産地への重点支援を推進。

<内容>
1 契約取引の推進
 契約取引に取り組む産地のリスクを軽減する事業(契約野菜安定供給事業)を拡充・運用改善。

2 需給調整の的確な実施
 産地が需給調整に自ら積極的に取り組むよう、価格安定制度と需給安定対策との連携を強化。

3 担い手を中心とする産地に対する重点的な支援
 将来においても安定的・継続的に野菜の生産を行うことが見込まれる生産者(認定農業者が基本)の育成・確保と計画的な生産・出荷への取組状況に応じて、産地間に補てん率の格差を設定。

【交付先:(独)農畜産業振興機構】
【補助率:65/100、60/100、50/100、定額】
【概算決定額:12,055百万円】


2 生産・流通対策等の推進
 輸入野菜にシェアを奪われている加工・業務用需要を中心に、国産野菜のシェア奪還を図るため、一層の低コスト化、高付加価値化等を通じて、輸入野菜との品質・価格競争に打ち勝つ力強い生産供給体制の確立を推進。

◆未来指向型技術革新対応事業
<対策のポイント>
 農業生産に革新(イノベーション)をもたらし、新たな活路を切り拓いていくため、輸入急増野菜を中心とした未来志向型の取組等を「直接採択」の仕組みによりスピード感を持って推進。

<内容>
1 広域的な取組の支援
 野菜産地が全国的に連携したリレー出荷体制の確立、特定の実需者と連携した原料供給・産地一次加工等、広域連携により量販店や外食産業等の需要に対応するための取組を支援。

2 先進的な取組の支援
(1) 自動車産業や住宅産業で利用されている新鋼材、新施工方法を園芸用ハウスへ応用するなど、生産方式を大胆に変更する先進技術と一体となった取組を支援。
(2) 野菜産地が抱える生産上の共通課題を解決するための取組や大規模な投資を必要とする取組を支援。

【実施主体:農業者団体、民間団体 等】
【補助率:1/2以内 等】
【概算決定額:5,882百万円の内数】

◆野菜低コストパートナーシップ確立事業
<対策のポイント>
 加工・業務用需要に適切に対応できる野菜の低コスト生産・流通体制を確立するため、生産者・流通業者・実需者の連携の下、有限責任事業組合(LLP)等の枠組みを活用し、高性能機械のリレー利用、通いコンテナによる一貫輸送等を推進。

<内容>
1 野菜の生産・流通経費を低減する供給システムの確立
 モデルとなる地区において、有限責任事業組合(LLP)等の枠組みを活用し、野菜生産者、流通業者及び実需者の連携の下、
(1) 玉揃いが良く、収量の高い品種を用いて、粗植、適正施肥による大玉化・高単収栽培、無農薬栽培、GAPに対応した生産管理等実需者が求める規格・品質に対応した生産技術、
(2) 作畝同時施肥機、トレーラ伴走式収穫機等の高性能機械の産地間リレー利用、
(3) 産地、小売間をピストン利用することにより、資材・輸送費低減を可能とする通いコンテナに対応した集出荷・加工施設の改修・整備
等により、生産・流通に係る労働時間及び経費を低減するとともに、高収量を確保する野菜低コスト供給システムの確立を推進。

2 導入指針の作成
 上記の供給システムについて、導入指針の作成等、今後の普及に向けた取組を推進。

【実施主体:農業者団体、民間団体】
【補助率:1/2以内、定額】
【概算決定額:97百万円】

◆施設園芸脱石油イノベーション推進事業
<対策のポイント>
 冬の加温のために重油を使用している施設園芸では、価格の高騰が続く石油資源への依存度が高いことが課題となっていることから、石油に頼らない施設園芸を実現するため、トリジェネレーションシステムや小型水力発電を利用した温室、集出荷施設等を導入。

<内容>
1 石油消費量を低減する革新技術の導入
 モデルとなる地区において、
(1) エネルギーの利用効率を大幅に高めるトリジェネレーションシステム、農業用水を利用した小型水力発電等に対応した省エネルギーモデル温室
(2) トリジェネレーションシステム等に対応した集出荷施設(ヒートポンプによる予冷、二酸化炭素の利用によるCA貯蔵等)、余剰電力を利用した電気自動車による収穫物等の輸送体制
等の革新技術を導入し、施設園芸の生産・流通における石油消費量の低減を推進。

2 導入指針の作成
 上記の革新技術について、導入指針の作成等、今後の普及に向けた取組を推進。

【実施主体:農業者団体、民間団体】
【補助率:1/2以内、定額】
【概算決定額:370百万円】

◆低コスト植物工場成果重視事業
<対策のポイント>
 季節や天候の制約を受けず安定的な野菜生産が可能な植物工場について、設置・運営コストを含めた農業経営費を大幅に低減するため、革新的技術を活用した低コスト植物工場技術を実証。

<内容>
1 低コスト植物工場技術の実施・確立
 光、温度、水分の環境をきめ細かく制御することにより、季節や天候の制約を受けず、計画的かつ効率的に野菜の生産を行うことができる植物工場について、設置・運営コストを大幅に低減するため、超低コスト耐候性ハウス、自律分散協調型環境制御、連続型細霧冷房といった革新技術を総合的に活用することにより、モデルとなる地区において数値目標を設定し、低コスト植物工場技術を実証・確立。

2 導入指針の作成
 上記の革新技術について、生産現場におけるコスト低減効果を実証するとともに、導入指針の作成等、今後の普及に向けた取組を推進。

【実施主体:農業者団体、(社)施設園芸協会 等】
【補助率:1/2以内、定額】
【概算決定額:92百万円】

◆強い農業づくり交付金
<対策のポイント>
 消費者・実需者等の多様なニ-ズに対応し、一層の低コスト化、高付加価値化等に向けた、担い手を中心とする「攻め」の取組を支援し、輸入急増野菜を中心とした産地構造改革を推進するため、地方の自主性・裁量性を高めた「交付金」により、産地の取組を支援。

<内容>
1 加工・業務用需要に的確に対応した野菜の生産・供給の推進
(1) 産地において皮むき、カット等の一次加工やパッケージングを行うための処理加工施設
(2) 定時・定量供給体制の構築に向けた集出荷貯蔵施設
等の整備を支援。

2 生産・流通コストの一層の低減
(1) 施設栽培における初期コストを低減するための低コスト耐候性ハウス、流通の合理化に向けた集出荷施設
(2) 露地栽培における労働時間の短縮を進めるための共同利用機械、ねぎ調製施設
等の整備を支援。

3 高品質で付加価値の高い野菜の生産・供給の推進
 高品質野菜の選別や鮮度保持等のための選別・予冷施設等の整備を支援。

【実施主体:農業者団体、民間団体 等】
【補助率:定額(事業費の1/2以内) 等】
【概算決定額:34,067百万円の内数】

◆加工・業務用対応型野菜生産流通拡大事業
<対策のポイント>
 国産野菜の供給が不安定なこと等から輸入野菜にシェアを奪われている品目について、早急に国産野菜の安定供給体制を確立し、シェアを奪還。
 また、契約取引の推進に必要な知見を有する産地指導者の育成及び気象変動リスクの軽減を図るビジネスモデルを提案。

<内容>
1 国産野菜の周年安定供給体制の確立
 主産地の切り替わり時期等に供給が不安定となることから輸入品が利用されている品目や、安定した需要があるにもかかわらず、国内産地の対応が不十分なことから輸入品の利用が多い品目について、国内で生産が可能な地域・品種・栽培技術等を調査・整理し、国産野菜を安定的に供給するための課題解決策の検討及び生産現場での実証を行うことにより、国産野菜の安定供給体制を強化し、輸入野菜からシェアを奪還。

2 契約取引の導入推進
(1) 契約取引を推進していく上で必要な産地体制を構築するため、生産者のグループ化や営農計画の作成、気候変動等に対するリスク回避策及び販路開拓や契約に関する基本的事項等、生産面から販売面までの対応をカバーするセミナー等を開催し、契約取引に取り組む人材を育成。
(2) 気象変動等による野菜の品質や供給数量の変動に、柔軟かつ機動的に対応している先進事例の調査・分析により、気象変動リスクの軽減を図る先進ビジネスモデルを提案し、加工・業務用野菜の供給に対する産地の不安を解消し、契約取引を推進。

【実施主体:民間団体】
【補助率:定額】
【概算決定額:43百万円】

◆にっぽん食育推進事業のうち野菜の摂取促進に係る取組
<対策のポイント>
 産地側からの野菜機能性についての情報発信や野菜嫌いの多い子ども、野菜の不足がちな成人にターゲットを絞った摂取拡大活動等を通じ、食育と一体的に野菜の摂取促進の取組を実施。

<内容>
○ 野菜の栄養成分・機能性に係る情報提供の産地における取組促進
○ 外食・中食における野菜利用増大及び普及啓発活動の取組推進
○ 野菜嫌いをなくすための食育体験による野菜摂取拡大活動の支援
○ 企業・団体における健康のための野菜摂取拡大活動の支援

【実施主体:民間団体 等】
【補助率:定額】
【概算決定額:3,815百万円の内数】



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