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農林水産省から


野菜の価格安定制度・需給安定対策の見直しについて

生産局野菜課


 今般、平成17年3月に決定されました「食料・農業・農村基本計画」及び「野菜政策に関する研究会報告書」に示された方向に沿って、野菜の価格安定制度・需給安定対策の見直しの具体的内容をとりまとめましたので、その概要をお知らせいたします。


1 見直しの基本的考え方
 野菜については、産地の高齢化等に伴い作付面積が減少する一方で、国内生産が加工・業務用需要に十分応えきれていないこと等から輸入が増加しています。このような状況に対応するため、消費者等のニーズに的確に対応した生産を行う担い手の育成・確保と、担い手を中心とした安定的な野菜の生産・出荷体制を確立することが必要となっています。

 このため、今回の見直しでは、契約取引、需給調整の的確な実施を推進するとともに、価格安定制度においても担い手の育成・確保に取り組むインセンティブを導入することとしています。


2 見直しの具体的な内容
(1)契約取引の推進
 担い手の経営安定を図る上で、収入予測が可能となる契約取引の導入推進が重要となっています。また、契約取引は、外食・中食分野で低下している国産野菜のシェアを向上させる上でも重要です。このため、契約取引を推進する観点から、以下のように契約野菜安定供給事業の拡充・運用改善を行います。

(1)契約対象者の見直し
 契約取引の実態を踏まえ、現行制度では対象となっていない中間業者(量販店等に野菜を納入している業者等)を産地の契約対象者に追加します。

(2)事業の対象となる野菜の明確化
 使用しない部分の除去(皮むき、芯抜き等)、小売店の店頭にそのまま並べるための処理(ふたつ割り、パッキング等)を産地において行った野菜についても事業の対象に含めます。

(3)補てん条件の見直し(数量確保タイプ)
 数量確保タイプにおける購入限度価額(契約価格の150%→200、300、400%を選択可能)、交付予約数量(契約数量の30%→50%)、仕向先変更の補てん率(50%→70%)を改善します。

(4)取引価格設定期間の見直し(価格低落タイプ)
 価格低落タイプにおいて、現在10日以内となっている取引価格設定期間の上限を、1ヶ月以内に延長します。ただし、取引期間中に3回以上取引価格を設定することが必要です。

(2)需給調整の的確な実施
 将来にわたり担い手を核として供給責任を果たし得る産地には、自ら需給の安定に積極的に取り組むことが求められます。このため、産地が需給調整に積極的に取り組むよう、以下のように価格安定制度と需給安定対策との連携強化等を図っていきます。

(1)需給調整対策への参加促進
 需給調整対策を行っている品目(キャベツ、たまねぎ、だいこん、はくさい、にんじん、レタス)について、対策に参加している産地と対策に参加していない産地との補てん率に10%の格差を設けます。

(2)計画的出荷の促進
 産地の計画的出荷の実施状況に応じて価格安定制度に基づく補てんに格差を設ける仕組み(一部交付措置)を強化します。

(3)最低基準額の見直し
 特例申込みの選択状況及び需給調整を実施するインセンティブを強化する観点を踏まえ、最低基準額を現行の「平均価格の55%」から「平均価格の60%」に引き上げます。なお「特例申込み45」は廃止します。

(4)緊急需給調整単価の見直し
 産地廃棄した場合の交付単価を一律「平均価格の40%」とします。これにより、重要野菜以外の指定野菜の交付単価は、現行の「平均価格の20%」から「平均価格の40%」に引き上げとなります。

(3)価格安定制度における担い手への重点支援
(1)重点支援の対象
 冒頭申し上げましたとおり、野菜生産をめぐっては、担い手の高齢化・減少により作付面積や生産量が減少しています。こうした課題に対処するためには、野菜生産者の中でも特に「将来においても安定的・継続的に野菜の生産を行うことが見込まれる者」(以下、「安定的・継続的生産者」という。)を育成・確保していくことが必要です。
 このような安定的・継続的生産者は、消費者ニーズに対応しつつ経営改善の努力を行っている生産者であって、まさに認定農業者のイメージと重なります。このことから、安定的・継続的生産者は認定農業者を基本とし、認定農業者に準ずる者を特認することとしています。

(2)重点支援の方式
 産地を対象とした現行制度の骨格は維持した上で、(1)に掲げた安定的・継続的生産者の育成・確保状況と計画的な生産・出荷への取組状況に応じて、産地を3区分に分類し、産地ごとに補てん率に格差を設けます。
具体的な産地区分の要件と補てん率は下表のとおりです。
 また、下表のとおり、重要野菜以外の指定野菜であっても、計画的出荷が達成された場合には、特別補給交付金(補てん率:+10%)が交付される仕組みとしていますが、この特別補給交付金の交付を受けるためには、需給調整対象品目については需給調整対策への参加が必要となります。
 なお、野菜産地の有する機能の重要性を踏まえ、当面は、産地単位で格差を導入することとしていますが、今後、今回の見直しによる政策効果を検証し適切な見直しを行っていきます。

○産地区分と補てん率(補助率は現行と同じ。重要野菜65%、その他の指定野菜60%)


3 終わりに
 以上、指定野菜(指定野菜価格安定対策事業、契約指定野菜安定供給事業)の見直し内容の概要をご紹介しましたが、特定野菜についても、指定野菜において行う見直し内容に準じた見直しを行うこととしています。

 具体的な制度運営や産地側で必要な準備内容等につきましては、詳細が決まり次第すみやかに情報伝達して参りますので関係者の皆様におかれましては、今回の見直しの趣旨をご理解頂き、今後とも野菜政策の推進につきご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。



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