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農林水産省から


加工・業務用野菜需要への取組に向けた 「品目別・用途別ガイドライン」について

生産局 野菜課 流通加工対策室


「ガイドライン」とはどんなもの?


 農林水産省では、加工・業務用に国産野菜を安定的に供給するための産地体制強化に向けた各般の施策を推進しています。この度、その一環として、各産地が加工・業務用需要に対応した取組みを行う際に必要となるポイントをまとめた「品目別・用途別ガイドライン」を作成しました。

 これまでの加工・業務用向けの野菜についての情報は、取引関係者の間だけで交わされていたり、断片的に伝えられてきたものについて真偽を確認することもなくそれぞれが解釈しているなど、客観的・体系的に整理されておらず、新たに取り組もうとする産地にとって決して適切な情報とは言えませんでした。

 そこで、農林水産省の補助事業として社団法人日本施設園芸協会が、実際に取り組みを行っている生産者や実需者等を委員として検討を重ね、家計消費用との品質・規格の違いや生産・出荷体制、物流の特徴の違いを整理した上で、生産者が取り組むメリットについてわかりやすく取りまとめました。

 平成17年度分としてレタス、ほうれんそう及びトマトの3品目について作成しました。引き続き今年度は、キャベツ、たまねぎ、にんじん、ねぎ、だいこんの合計5品目について作成する予定です。

 一口に、「加工・業務用」と言っても、業態、業種ごとに求める品質や規格などが多様で、このガイドラインで示している実需者ニーズについても、ほんの一例に過ぎません。したがって、対応方策も一様ではありませんが、これを参考に、各産地が自らの産地の特長を生かした取り組み方策を見出すことが重要です。

 各産地で行う研修会などで、昨年秋に発行した普及啓発ビデオ(DVD)「やる気ひとつで取り組めます! 加工・業務用野菜」と一緒に教材として活用してもらい、加工・業務用への取組が拡大することを期待しています。

実需者からみた加工・業務用と家計消費用における基本的特性の違い

(注)加工・業務用需要は業種・業態等により多様であり、ここにまとめた加工・業務用特性は、家計消費用とは異なる基本的特性の主な点を簡単に記したものです。


キーワードは「機動的」「コスト意識」 「営業・販売力」

 このガイドラインは、生産者の方に加工・業務用向けの野菜生産に取り組む際に必要な基本的事項や情報をわかりやすく整理し、基礎知識として理解してもらうことを目的として作られています。

 ポイントとしては、加工・業務用と家計消費用との規格(大きさ)や品質、出荷形態などの違いを整理した上で、それに対応した生産方法や供給体制を整備していくことや、コスト意識を徹底し、営業・販売力を強化するとともに、多様な実需者ニーズに機動的に対応できる柔軟性のある産地となることが、これからの産地に求められる条件であると説明しています。

 また、野菜流通における川上、川中、川下がそれぞれ役割とリスクを分担することが重要で、新たに加工・業務用野菜に取組む産地にとっては、信頼できるコーディネーター(調整役)と組むことが、うまくいくための重要なポイントとなります。そのため卸・仲卸業者や商社等コーディネーター役として期待されている方々にもこのガイドラインを参考としていただき、産地と実需を単に物流で結ぶだけでなく、産地と実需の情報の共有、用途別・等階級別の販路の調整、産地間リレーの調整等の役割を担っていただきたいと考えています。
大玉レタスに40cmのほうれんそう!

 品目別に家計消費用との違いを見てみると、レタスでは、カット野菜用、サラダ用及びハンバーガー等用ともに、大玉で、葉肉が厚く褐変しにくい品種選定、1ケース当たりの重量を一定にすること等が挙げられます。

 ほうれんそうでは、サラダ、冷凍原料及び業務向加熱調理用について、単収向上のために収穫時の大きさを40cm程度に大型化することや、無包装であること、また、通い容器を利用することによって作業性の向上と調製作業の省力化を実現し、規模拡大が可能であるとしています。

 トマトでは、スライスした時にゼリーの一部が落ちにくく、型崩れしない品種が望まれていることなどがポイントとしてあげられています。
産地みんなで考えよう

 これまで、野菜産地では、家計消費用を中心に志向してきており、加工・業務用については販売価格が安いというイメージが払拭できず、取組みがにぶい面もありました。しかしながら、しっかりとした計画のもとに本気で取り組めば、販路が確保されている上に、取引価格も決まっている加工・業務用生産は、安定した農業経営へ向けての大きなメリットもあることが理解できると思います。

 また、安全・安心な野菜を生産していく観点から、本ガイドラインにはGAPへの取組に関する解説も盛り込み、野菜生産の基本を再確認できるよう構成を工夫しました。

 冒頭でも述べたように、このガイドラインは単に生産者に配布するのではなく、産地における研修会等でテキストとして活用していただき、多くの生産者に一緒に検討してもらいたいと考えています。

 今後、加工・業務用野菜生産に取組む産地が拡大し、国産野菜の安定的な供給体制が実現することを期待しています。

 本ガイドラインは、とりまとめにあたった、(社)日本施設園芸協会のホームページhttp://www.jgha.comからダウンロード出来ますのでご利用ください。

 また、加工・業務用需要への取組に関する支援施策や地域別交流会の開催等については各地方農政局又は農林水産省野菜課まで遠慮なくお問合わせ下さい。


 
加工・業務用レタスの用途別ニーズの特徴

*カット野菜、サラダ用等については、結球レタスのほか、ロメインレタス、フリルレタス等も使用。
 サンドイッチ用にはグリーンリーフ等も使用。
 
加工・業務用ほうれんそうの用途別ニーズの特徴

  *冷凍原料用は、業務用、家計消費用を問わず、冷凍ほうれんそう製造の原料として使用されるもの。
**業務用加熱調理用は、外食・中食企業で、ゴマ和え、おひたし、バター炒め等の加熱調理用として使用されるもの。生 鮮でそのまま使用されるものおよびチルド原料となるものを目指している。チルドの場合、冷凍ほうれんそうと同様にブランチング(加熱)処理された後冷蔵されるものやブランチングされずに生鮮ほうれんそうを洗浄後冷蔵するものなどがある。
 
加工・業務用トマトの用途別ニーズの特徴

  *サラダ用にはミニトマトも使用。
**加熱調理用にはホールトマト缶詰、ペースト等も使用。


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