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農林水産省から


生産情報公表農産物のJAS規格について

消費・安全局 表示・規格課
生産行程規格班 小崎 好春


1.JAS制度の概要
(1) JAS制度は、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(以下「JAS法」という。)に基づいて (1)農林物資の品質の改善、(2)生産の合理化、(3)取引の単純公正化、(4)使用又は消費の合理化を図るため、農林水産大臣が制定した日本農林規格(JAS規格)による検査に合格した製品にJASマークを付ける(マークを付けるかどうかは任意)ことを認める「JAS規格」と、農林物資の品質に関する適正な表示を行わせることによって一般消費者の商品の選択に資するために農林水産大臣が制定した品質表示基準に従った表示を、全ての製造業者又は販売業者等に義務づける「品質表示基準」を定めている。

(2) JAS規格は、JAS法第2条第3項で、「品位、成分、性能等の品質についての基準(一般JAS規格)」と「生産の方法についての基準(特別な生産や製造方法、特色ある原材料に着目した規格等(特定JAS規格))」がある。生産情報公表農産物の日本農林規格は「生産方法についての基準」についてのJAS規格として生産履歴等の情報を正確に記録し、記録を適切に管理した上で生産される農産物についての規格を定めている。

 飲食料品及び油脂のJAS規格については、平成17年6月末現在で、一般JAS規格について、即席めん類、しょうゆ、マーガリン類等49品目が定められており、うち、特定JAS規格については、熟成ハム類、熟成ベーコン類、熟成ソーセージ類、手延べ干しめん、地鶏肉、有機農産物、有機農産物加工食品、生産情報公表牛肉、生産情報公表豚肉及び生産情報公表農産物(平成17年6月30日告示)の10品目が定められている。

 

2.生産情報公表JAS規格の制定の趣旨
 BSEの発生や最近の食品の不正表示事件を背景として、消費者の間に食品の安全に対する不安や食品表示に対する不信が生じており、消費者の「食」に対する信頼の回復を図ることが喫緊の課題となっている。

 このため、トレーサビリティシステムの導入など「食卓から農場まで」顔の見える仕組みを整備することが求められており、この一環として、食品の生産履歴(生産者、給餌情報、動物用医薬品の使用情報など)に関する情報を、意欲のある事業者が消費者に正確に伝えていることを第三者機関(登録認定機関)が認定するJAS規格制度を導入したところである。

 JAS規格の制定にあたっては、食肉のうち、まず、国民の関心が特に高く牛の個体管理の体制が整備されている牛肉について、このJAS規格を制定し、平成15年12月1日から施行し、豚肉についても平成16年7月から施行しているところである。

 今般、生産情報公表JAS規格の3つ目の規格として生産情報公表農産物のJAS規格を平成17年6月30日に制定したところである。

 

3.生産情報公表農産物のJAS規格の具体的な仕組み
(1) 生産情報公表農産物のJAS制度の仕組み(図1)
 生産情報公表JAS制度では、農林水産大臣が登録した登録認定機関から認定生産行程管理者として認定を受けた生産者などが、自らその食品がJAS規格に適合しているか検査を行い、検査に適合している食品にJASマークを付して販売することができる。

 また、JASマークが付された食品を小分けして、小分け後の食品にJASマークを付す場合、登録認定機関から認定を受けた認定小分け業者がJASマークを付して販売することができる。

 このように、食品がJAS規格に適合していることを示すJASマークを付すことができるのは、登録認定機関から認定を受けた生産行程管理者及び小分け業者だけであり、それ以外の者はJASマークを付すことはできない。

 JAS規格に適合している食品に付するマークとして、即席めん類やしょうゆなどに付されている一般JASマーク、熟成ハム類などに付される特定JASマーク及び有機農産物及び有機農産物加工食品に付される有機JASマークの3種類が定められているが、新たなタイプのJAS規格である生産情報公表JAS規格の制定に伴い、4つ目のマークとして生産情報公表JASマークが制定された。生産情報公表農産物のJAS規格に適合した農産物については、生産情報公表JASマークが付されることになる。




(2) 認定生産行程管理者の役割
 認定生産行程管理者は、農産物の生産行程を管理し、又は把握するものとして、農産物の生産段階の生産情報(収穫期間、ほ場等の所在地、農薬の使用情報及び肥料の施用情報など)を責任を持って正確に記録・保管し、公表する必要がある。
 認定を受けた生産者等は、生産情報公表農産物のJASマークと当該農産物の生産単位を識別できる番号など(農産物識別番号)を、生産した農産物に付して販売・流通させることとなる。

(3) 認定小分け業者の役割
 流通業者などが、生産情報公表農産物のJASマークの付いた農産物を小分けする場合には、当該業者が、認定小分け業者として認定を受けた場合に限り、小分け後の農産物にも生産情報公表農産物のJASマークを付することができる。

(4) 消費者への情報の公表

 消費者は、生産情報公表農産物のJASマークが付されている農産物につき、農産物識別番号から、店頭での表示やインターネット、FAX等を通じて、生産情報を入手することができる。(容器又は包装の表示例及び公表情報の例は図2に示すとおり。)
 消費者が入手できる生産情報は、次のとおりとなっている。

 (1) 生産者の氏名又は名称、住所及び連絡先(認定生産行程管理者の情報を公表する場合にあっては、認定生産行程管理者の氏名又は名称、住所及び連絡先並びに生産者の氏名及び住所)
 (2) ほ場等の所在地
 (3) 収穫期間
 (4) 生産者が使用した農薬の用途別分類、種類及び使用回数
 (5) 生産者が使用した特定農薬の用途別分類、種類及び使用回数
 (6) 生産者が施用した肥料の種類及び施用量
 (7) 生産者が施用した土壌改良資材の種類及び施用量
 (8) 生産者が使用又は施用した(4)から(7)までの生産資材以外のものの名称及びその使用又は施用の目的

 さらに、生産情報公表農産物のJAS規格では、上記の生産情報に加えて、化学合成農薬又は化学肥料の削減割合を公表する場合にあっては、次の情報を入手することができる。

○化学合成農薬の削減割合を公表する場合
 平均使用回数(当該農産物の栽培地の属する地域において当該農産物に使用される化学合成農薬の平均使用回数をいう。)及び平均使用回数を定めた地方公共団体等の名称

○化学肥料の削減割合を公表する場合
 施用した化学肥料の窒素成分量、平均窒素成分量(当該農産物の栽培地の属する地域において当該農産物に施用される化学肥料の平均窒素成分量をいう。)及び平均窒素成分量を定めた地方公共団体等の名称

 

4.生産情報公表農産物の今後のスケジュール
 生産情報公表農産物のJAS規格については、平成17年6月30日付けで告示、7月30日から施行されている。また、JAS規格とともに「登録認定機関又は登録外国認定機関となるための登録基準」、「生産情報公表農産物についての生産行程管理者の認定の技術的基準」、「生産情報公表農産物についての小分け業者の認定の技術的基準」、「生産情報公表農産物の生産行程についての検査方法」についても7月29日付けで告示されている。

 JAS規格等の施行後、登録認定機関の登録申請が行われ、審査に適合した機関を農林水産大臣が登録することになる。

 生産者などが生産行程管理者の認定を受けようとする場合には、登録された登録認定機関に認定申請を行い、登録認定機関から「生産情報公表農産物についての生産行程管理者の認定の技術的基準」などに適合しているか審査を受け、適合していれば認定生産行程管理者としてJASの格付を行うことができる。

 流通業者が小分け業者の認定を受けようとする場合には、登録された登録認定機関に認定申請を行い、登録認定機関から「生産情報公表農産物についての小分け業者の認定の技術的基準」などに適合しているか審査を受け、適合していれば認定小分け業者としてJASマークを付すことができる。

 なお、生産情報公表農産物の認定の促進のためJAS規格説明会を、(財)食品産業センターが次の日程(予定)で開催することにしている。


*詳細については、譛食品産業センターホームページに掲載予定。


図1 生産情報公表農産物のJAS規格の認証の仕組み



図2 表示事項及び公表情報<化学合成農薬又は化学肥料の削減割合を表示する場合>
○表示例(容器、包装、農産物に近接した掲示等)


○公表情報の例

 

生産情報公表農産物の日本農林規格(PDF 2.0M)



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