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農林水産省から


特別栽培農産物に係る表示ガイドラインの改正について

消費・安全局 表示・規格課


1 特別栽培農産物に係る表示ガイドラインが改正されました

 皆さんは、「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」という言葉をご存じですか。このガイドラインは平成4年に作られたものです。この当時、農薬や化学肥料を減らして栽培された農産物については、生産者の皆さんの独自の基準に基づき、多様な表示で供給されていましたので、流通・消費の面で少なからず混乱が生じておりました。その一方で、このような農産物に対する消費者の皆さんの関心も高まっておりました。このため、生産や表示について一定のルールを決めることにより、生産者の皆さんの努力が評価され、消費者の皆さんがこれら農産物を購入する際の目安となるよう、このガイドラインは制定されたのです。
 このガイドラインが作られてから10年以上経ったわけですが、消費者の皆さんから、これら特別な農産物の表示の仕方(名称)や表示の根拠として比較している基準に対して疑問等が寄せられていたため、生産者や消費者の皆さんの代表者を含めた有識者からなる検討委員会を設置して、表示の手法、表示の信頼性を確保するための方法などについて検討が行われました。この検討によりガイドライン改正案が作成され、さらにパブリック・コメント(意見・情報の募集)の結果を踏まえ、平成15年5月に改正、本年の4月から施行されています。


2 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン改正の概要

今回のガイドラインの改正のポイントは次のページのとおりです。
(1)名称の改正
 今回のガイドラインの改正は、大幅なものとなったわけですが、最大の変更点はこれまで表示してきた「無農薬」「減農薬」などの名称が表示禁止となり、「特別栽培農産物」の名称に統一されたことでしょう。また、これと隣接して、化学合成農薬等使用資材の節減割合や使用していない旨を表示することとされました。
 これは、これまでガイドラインの表示に使われてきた「無農薬」の表示が、生産者の皆さんにとっては、「当該農産物の生産過程等において農薬を使用しない栽培方法により生産された農産物」を指す表示でしたが、この表示から消費者の皆さんは「土壌に残留した農薬や周辺ほ場から飛散した農薬を含め、一切の残留農薬を含まない農産物」であると受け取られ、また、「減農薬」の表示は、削減の比較の対象となる基準が不明確、削減割合が不明確、何が削減されたのか不明確(農薬の使用回数なのか残留量なのか)等、消費者にとって曖昧で分かりにくい表示であったからです。
 このような、消費者の方々からの指摘を踏まえてガイドラインが改正されたところであり、改正後のガイドラインにおいては「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」の表示は表示禁止事項とされ、これらの語は使用できないこととなっております。


(2)環境保全型農業の推進
 生産の現場においては、食料・農業・農村基本法や持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律などの制定に伴い、環境と調和の取れた農業が求められており、堆肥等による土づくりを行うとともに、化学合成農薬等を低減させることが今後の重要な課題となっています。このような状況を踏まえ、消費者の方々により一層特別栽培農産物への理解を深めてもらい、環境保全型農業をさらに進める観点から、土づくりなどの特別栽培農産物の生産の原則を新たに規定するとともに、これまで化学合成農薬と化学肥料のどちらか一方を5割以上削減していればガイドライン表示の対象となったものを、化学合成農薬と化学肥料の双方を慣行栽培の5割以上減らして栽培された農産物のみが対象となることとなりました。
(3)比較の対象となる基準(慣行レベル)の公正化・透明化
 化学合成農薬や化学肥料などの節減割合の比較基準となる慣行レベルについては、これまでは、栽培責任者等の方々が独自に基準を設定してきた場合もありました。改正後のガイドラインにおいては、消費者の方々の要望に応え、基準の客観性・公正性を高め、基準のバラツキを抑えるため、地方公共団体が策定又は確認した基準を使用することとし、使用実態が明確でない場合には特別栽培農産物の表示は行わないこととされております。
 あわせて、地方公共団体が化学合成農薬等の慣行レベルを策定又は確認した場合にあっては、その内容を外部に公開し、生産者、流通業者、消費者等関係者への周知に努め、各慣行レベルについては適宜見直すよう努めることとされております。
(4)情報提供方法(農薬等化学合成資材の使用状況)の多様化
 農薬等化学合成資材の使用状況については、これまで一括表示とセットで表示することとされていましたが、改正後は、容器包装資材への表示だけでなく、インターネット、ビラの添付などによる情報提供方法も可能となりました。

3 おわりに

今回のガイドラインの改正は、平成15年5月26日に行われたところでありますが、このような大幅な改正となりましたので、およそ1年程度の周知期間、移行期間を設け、新しいガイドラインの適用は平成16年4月1日以降に生産された農産物から対象となっています。
 このガイドラインは、特別な農産物の生産、流通、販売に携わる人たちが生産や表示のルールに従って自主的に確認・管理し、関係者の自発的な行動によって守られるものでありますが、生産者・消費者双方の皆さんのニーズに応じて制定されたルールであり、当該ガイドライン表示の規定にしたがって表示することが消費者の皆さんの信頼を得ることにつながりますので、ガイドラインに基づく表示が広く行われることが期待されています。

 今回のガイドラインの改正に関する情報(改正の概要、パンフレット、Q&A集、改正後のガイドライン本文等)は農林水産省のホームページ上に掲載されておりますので、参考にして下さい。
(http//www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/tokusai_gaido.htm)



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